小説の好き嫌いを判断する一番大事な要素は、当然<内容>だと思います。どんなに装丁やタイトルが秀逸でも、内容がつまらなければ何の意味もありません。それほど大事な内容と比べると、重要度という意味では劣るかもしれないけれど、ビビッと好みにマッチすると嬉しいもの、それが<イラスト>です。
私には、「この人がイラストを担当していたら、とりあえずあらすじをチェックする」というイラストレーターさんが何人かいます。その中の一人が北見隆さん。別にグロテスクでも何でもないにも関わらず、どこか不気味さを感じさせる画風が大好きなんですよ。思い込みかもしれませんが、この方が装画や装丁を担当している小説も私好みのものばかり。恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』、岸田るり子さんの『密室の鎮魂歌』、西澤保彦さんの『夢は枯れ野をかけめぐる』等々、どれも面白かったです。今回取り上げるのは、今邑彩さんの『人影花』。ゾッとさせられる作風と、北見さんのイラストの雰囲気がぴったり合っていました。
こんな人におすすめ
皮肉の効いたホラーミステリー短編集が読みたい人