一昔前に比べると、調査活動や情報発信はとても効率良く行えるようになりました。特にインターネットが発展してから、その傾向は顕著になった気がします。ネットを使えば、百年以上前の出来事を調べることも、遥か遠くに住む人々とやり取りすることも思いのまま。そうやって目的を達成しようとする人達の奮闘記としては、櫛木理宇さんの『虎を追う』などがあります。
その一方、<会話で情報収集する>という昔ながらのやり方も侮れません。対面し、相手の顔を見ながら話を聞いてこそ伝わってくるものもあるはずです。そして、<直に会話する>という手法の効果が一番表れる分野、それは怪談ではないでしょうか。ネット上で集めた怪談話ももちろん怖いのですが、語り手の恐怖や不安を直接見聞きした時の恐ろしさは格別だと思います。今回ご紹介するのは、三津田信三さんの『逢魔宿り』。相変わらず、フィクションの現実の区別がつかなくなるような恐怖を堪能しました。
こんな人におすすめ
実話風ホラー短編集が読みたい人