私が子どもの頃、前世をテーマにした漫画やアニメが人気でした。その流れで、「自分の前世は何だったのだろう」と考えたことも一度や二度ではありません。外国人だったり、特殊な能力を持っていたり、異世界の住人だったり・・・今では<中二病>と呼ばれてしまうのでしょうが、あれこれ空想を巡らすのは楽しかったです。
しかし、よくよく考えてみれば、仮に前世が存在したとしても、楽しいものとは限らないですよね。ウィルスやアメーバだったかもしれないし、奴隷として悲惨な最期を遂げたかもしれないし、憎悪と軽蔑を一身に受ける極悪人だったかもしれない。そんな前世、思い出さない方が間違いなく心穏やかなはずです。今回ご紹介する作品には、厄介な前世問題と関わってしまった主人公が登場します。恩田陸さんの『不安な童話』です。
こんな人におすすめ
前世が絡んだサイコミステリーが読みたい人