サスペンス

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「招待客」 新津きよみ

催し物に誰を呼ぶか。それは主催者にとって大事な問題です。一家庭内で行われる子どもの誕生パーティーですら、招待客の選別などでいじめが生じるという危惧から、実施を禁止する学校もあるんだとか。まして、百名単位の人間が集まるイベントとなると、招待客を考えるのも一苦労。結婚式なんて、その最たる例でしょう。

一生に一度の晴れの舞台だからこそ、心から感謝している人、心から結婚を祝福してほしい人を招きたい。誰もがそう思うでしょうが、事はそう簡単にはいきません。浮世の義理というものがあるし、何より、相手が本当に善人で結婚を祝ってくれるという保証もないからです。もしかして、招こうとしている相手は腹の内でまるで違うことを考えているかも・・・そんな恐怖を描いた作品がこちら。新津きよみさん『招待客』です。

 

こんな人におすすめ

女性目線のサイコホラーが読みたい人

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「懐かしい骨」 小池真理子

小説では、しばしば<パンドラの箱>という表現が登場します。元ネタは、ギリシア神話に登場する、ゼウスによってすべての悪と災いが詰め込まれた箱(本来は壺ですが)。人類最初の女性・パンドラがこの箱を開けてしまったことで、この世には様々な不幸が蔓延するようになります。このことから、<パンドラの箱>とは<暴いてはならない秘密><知りたくなかった真相>というような意味で使われることが多いですね。

パンドラの箱を開けてしまったことが導入となる物語はたくさんあります。特にミステリーやホラーといったジャンルに多いのではないでしょうか。この作品でも、封印されていたパンドラの箱が開いたことで、登場人物たちは混乱と不安のどん底に突き落とされます。小池真理子さん『懐かしい骨』です。

 

こんな人におすすめ

記憶にまつわるミステリーが読みたい人

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「慟哭」 貫井徳郎

小説の分野においては、「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」というものが存在します。文字通り、最後の最後で読者に衝撃を与える物語のことで、ミステリーやホラーのジャンルに多いですね。作品の最終ページが近づき、やれやれ・・・と思った瞬間に与えられる驚きや恐怖は、読者に強烈なインパクトを与えます。

この手の小説で有名なものはたくさんありますが、インターネットで検索すると、「最後の一撃にこだわった」と作者本人が公言する米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』が一番多くヒットするようです。その他、我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』や百田尚樹さんの『幸福な生活』、このブログでも紹介した荻原浩さんの『噂』など、どれも面白い作品でした。そういえば、この作品の最後の一行も強烈だったなぁ。貫井徳郎さんのデビュー作『慟哭』です。

 

こんな人におすすめ

・読後感の悪い本格推理小説が読みたい人

・新興宗教を扱った作品に興味がある人

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「殺意の構図 探偵の依頼人」 深木章子

推理小説やミステリー映画などの感想を読んでいると、「まさに<藪の中>」という文言をしばしば目にします。私自身、このブログでよく使っていますが、由来は芥川龍之介の『藪の中』。とある事件を巡って次々と証人が現れ、そのたびに真相が変化していく様を描いた短編小説です。このことから<藪の中>とは<関係者の言い分が食い違っていて、真相が分からないこと>という意味で使われます。

大多数のミステリー作品には、多かれ少なかれ<藪の中>の要素があります。今まで紹介したことのない作品だと、恩田陸さんの『ユージニア』や貫井徳郎さんの『プリズム』、塔山郁さんの『毒殺魔の教室』などがありますね。私がこの手の作風が大好きということもあり、あらすじを読んで<藪の中>的な要素を感じるとついつい飛びついてしまいます。今回は、そんな私の個人的<藪の中>ランキングでトップクラスに入る作品を取り上げたいと思います。深木章子さん『殺意の構図 探偵の依頼人』です。

 

こんな人におすすめ

二転三転する本格ミステリーが読みたい人

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「ガラスの殺意」 秋吉理香子

人生を築き上げていく上で、大事なものはたくさんあります。愛情が最も大事だという人もいれば、お金こそ一番と感じる人もいるでしょう。そんな中、つい忘れられがちですが、<記憶>もまた生きていく上で大切な要素です。日々の記憶を積み重ねることで人生は成り立つもの。もしその記憶を保つことができなければ、人生はどれほど辛く寂しいものになるでしょうか。

<記憶喪失>ではなく<記憶を保持できない>登場人物が出てくる物語となると、愛川晶さんの『ヘルたんシリーズ』、小川洋子さんの『博士の愛した数式』、西尾維新さんの『忘却探偵シリーズ』などが思い浮かびます。最近読んだ小説にも、記憶を保てないことに悩み苦しむヒロインが登場しました。秋吉理香子さん『ガラスの殺意』です。

 

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記憶障害をテーマにした小説が読みたい人

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「鵜頭川村事件」 櫛木理宇

ゆっくりと穏やかな生活を目指す<スローライフ>が注目されるようになったのは、二〇〇年を過ぎた頃かららしいです。同時に、都会の喧騒を離れた田舎暮らしに憧れる人達も増え始めました。この流れを受けたせいでしょうか。最近は田舎暮らしをテーマにした小説でも、<都会から来た主人公が、色々ありながらも近隣住民と絆を作り、困難を乗り越えて田舎暮らしに馴染む>という爽やかな作風のものが多い気がします。

もちろん、こういう小説も面白いのですが、あくまでフィクションの世界限定ならば、田舎の閉鎖的でドロドロした空気を描く作品もけっこう好きだったりします。この手の作品で一番有名なのは、やはり『金田一耕介シリーズ』でしょうか。ここ最近なら、辻村深月さんの『水底フェスタ』や中山七里さんの『ワルツを踊ろう』も、地方都市の閉ざされた世界観が巧みに描写されていました。今回ご紹介する作品でも、日本の村社会の恐ろしさがテーマになっています。櫛木理宇さん『鵜頭川村事件』です。

 

こんな人におすすめ

田舎を舞台にしたパニック小説が読みたい人

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「ツキマトウ  警視庁ストーカー対策室ゼロ係」 真梨幸子

映画『羊たちの沈黙』を初めて見た時の衝撃は、今でもよく覚えています。ヒロイン役のジョディ・フォスターの演技やスリリングなストーリー展開、手に汗握るクライマックスなど見所はたくさんありますが、何と言っても一番インパクトがあるのはアンソニー・ホプキンス演じるレクター博士の存在感でしょう。残虐な猟奇殺人を犯しておきながら人並み外れた知能を持ち、収監されているにも関わらず警察から捜査協力を求められるほどの天才犯罪者。その紳士的でありながら凶悪なキャラクターは、現在に至るまで多くの観客を魅了し続けています。

現実でこんなことがあるのかどうかは分かりませんが、「犯罪者が獄中から捜査協力する」というシチュエーションはなかなか面白いです。視覚的に映えるからか映画やドラマではよくあるんですが、小説ではあまりないな・・・と思っていたら、最近読んだ小説がまさにそういう設定でした。真梨幸子さん『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係』です。

 

こんな人におすすめ

ストーカー犯罪を扱ったイヤミスが読みたい人

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「向こう側の、ヨーコ」 真梨幸子

SF作品の中では、しばしば「パラレルワールド」という言葉が登場します。この世界と並行して存在する別の世界のことで、A世界で死んだ人間がB世界では生存していたり、C世界では敵同士だった人間がD世界では恋人同士だったりと、無限のパターンがあります。現実離れした考えと思われがちですが、実は物理学の世界でも存在が議論されるテーマだそうですね。

「もしあの時、違う選択肢を選んでいたら」・・・そんなifの世界を描くことができる特性上、パラレルワールドを扱った作品はSF分野に偏りがちです。ちなみに私が見た最初のパラレルワールド作品は、アニメ映画『ドラえもん のび太の魔界大冒険』。子ども向けアニメとは思えないくらい練られた世界観と緻密な伏線の張り方が印象的な名作でした。SF方面のパラレルワールド作品は山のようにあるので、今回はちょっと毛色の違う「もう一つの世界」を描いた小説をご紹介します。真梨幸子さん『向こう側の、ヨーコ』です。

 

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中年女性の愛憎ミステリーに興味がある人

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「女優」 春口裕子

誰しも「こういう人間になりたい」という理想があると思います。依存心が強く運動神経ゼロの私の理想は、男性顔負けの戦闘をもこなす強い女性。映画『バイオ・ハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチなんて、まさに理想そのものでした。

映画のキャラクターなどは難しいにしても、理想に向けて邁進する人は素敵です。努力する姿は美しく、周囲の尊敬を集めることでしょう。ですが、あまりに「理想」を追い求めるあまり、「本当の自分」が押し潰されてしまったら・・・?それはもう妄執としか言えないのではないでしょうか。この本を読んで、そんなことを考えました。春口裕子さん『女優』です。

 

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女性の嫌な面を扱ったサスペンス小説が読みたい人

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「チェインドッグ」 櫛木理宇

「この世で最も憎むべきものが何か分かる?戦争と冤罪なの」これは、私が昔見ていたドラマの台詞です。当時は子どもだったので聞き流しましたが、成長するにつれ、この言葉の意味が少しずつ分かるようになりました。犯人以外の人間が無実の罪で裁かれる。冤罪は、決して許されるものではありません。

冤罪をテーマにした小説といえば、高野和明さんの『13階段』や大門剛明さんの『テミスの求刑』、ややテイストは違いますが伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』などが有名です。これらの作品の中で犯罪者として告発された人物は、自分は潔白だと訴えていました。では、自らが犯罪者であることは認めた上で、告発された罪の一部が冤罪だと訴えた場合はどうでしょうか?ただでさえ難しい冤罪問題が、より複雑になることは想像に難くありません。今日紹介するのは、櫛木理宇さん『チェインドッグ』。タイトルの意味も含めて、考えさせられるところの多い作品でした。

 

こんな人におすすめ

サイコパスが出てくるミステリー小説が読みたい人

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