サスペンス

はいくる

「スリーピング事故物件」 西澤保彦

ミステリーやサスペンスの場合、<真相解明に至る手がかり>がとても重要な要素となります。目撃証言、指紋、血液型、防犯カメラ、DNA、インターネットの検索履歴etcetc。舞台となる時代によって手がかりの質も変化していたりして、なかなか面白いです。

そうした手がかりの中で、時代を問わず最重要視されるのは<被害者本人の証言>ではないでしょうか。何しろ一番渦中にいる人物の証言なわけですから、重きを置かれて当然。とはいえ、暴行、傷害、殺人未遂などならともかく、殺人事件となると、被害者本人は死んでいるので証言を得ることはできません・・・・・と思いきや、予想外の手段でそれを可能にした作品がありました。今回は、西澤保彦さん『スリーピング事故物件』を取り上げたいと思います。

 

こんな人におすすめ

多重解決ミステリーが読みたい人

オカルトが絡んだ物語に興味がある人

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「3分で読める!一日の終わりに読むお酒の物語」 「このミステリーがすごい!」編集部

実は私、お酒がまったく飲めません。若い頃は「練習すれば強くなる」という言葉を信じてせっせと飲んでいましたが、どれだけ経っても、一口二口飲んだだけで胸やけと眩暈のダブルパンチ。血縁者にも下戸が多いので、遺伝なのかもしれません。現在はすっかり諦めの境地に達し、お酒の場でもノンアルコールを貫いています。

ただ、こういう体質のせいもあってか、飲酒を楽しむことに対して憧れはあります。その点、小説の中なら、お酒の味や心地良い酔いを体験できていいですね。先日読んだ小説にも、お酒がたくさん出てきました。今回は、「このミステリーがすごい!」編集部による『3分で読める!一日の終わりに読むお酒の物語』を取り上げたいと思います。

 

こんな人におすすめ

お酒がたくさん登場するミステリー短編集に興味がある人

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「幸福な生活」 百田尚樹

日本国内において、小説は単行本出版→数年経ってから文庫化という流れになることが多いです。出版社にしてみれば、まず儲けが出る単行本を出し、人気・評価が安定した頃を見計らって文庫版を出版した方が、高い収益を見込めるのでしょう。単行本より文庫の方が安いし、収納スペースも小さくて済むし、持ち運びもしやすいから、買うならやっぱり文庫版で!!という方は、将来の文庫化を楽しみに待つしかありません。

かくいう私も、文庫化を楽しみにしている方です。その理由は、前述した値段や場所の問題に加えてもう一つ。文庫化に当たって、単行本未収録の短編やあとがきが追加されることがしばしばあるからです。昔から、こういうボーナス要素に弱い人間なんですよ。今回取り上げる作品にも、文庫化の際、短編が一話追加されていてお得感ありました。百田尚樹さん『幸福な生活』です。

 

こんな人におすすめ

ラスト一行の衝撃が売りの短編小説に興味がある人

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「波乱万丈な頼子」 真梨幸子

年を取るにつれて、悲しいかな、本のタイトルとあらすじだけでは既読か未読か判断できないということが増えました。「好きな作家さんの著作一覧に、覚えのない本がある!新刊の時に気づいていなかったかな?」と思い、図書館でウキウキ借りたところ、実はもう読んでいたということもしばしばです。二十代くらいまでは、こんなことなかったんだけどなぁ・・・

ただ、こういう形で予期せず再読するのも、悪いことばかりではありません。オチを知った上で最初から読むと「なるほど、この台詞が伏線だったのね」「あ、実は序盤に犯人がちらっと登場してた!」というような面白さがありますし、読む時の年齢や生活環境次第で感想が変わることもあり得るでしょう。この作品も、既読だということを忘れて再読しましたが、それはそれで面白かったです。真梨幸子さん『波乱万丈な頼子』です。

 

こんな人におすすめ

インターネット文化と絡んだイヤミスに興味がある人

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「ストレート・チェイサー」 西澤保彦

フィクションの世界においては「え、このジャンルをまとめちゃうの?それで作品は成り立つの?」という組み合わせがしばしば存在します。私が過去一番驚いた組み合わせは、実写映画化もされた海外小説『高慢と偏見とゾンビ』。古典恋愛とゾンビホラーを組み合わせるという荒業ぶりでしたが、予想以上に面白かったです。つまるところ、<絶対にそぐわない組み合わせ>などというものは、この世に存在しないのでしょう。

「一見合わなさそうだけど、実は・・・」という組み合わせとしては、他にSF×本格推理を挙げる人も多そうな気がします。未来世界や異星のテクノロジーがガンガン絡むSFと、現実的・論理的な思考が重要な本格推理とでは絶対にミスマッチ・・・と思いきや、構成がしっかりしているとすごく面白いんですよ。そして、SF本格推理といえば、私の中ではこの方なんです。今回は西澤保彦さん『ストレート・チェイサー』をご紹介したいと思います。

 

こんな人におすすめ

SF要素のある本格推理小説が読みたい人

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「幸せな家族 そしてその頃はやった唄」 鈴木悦夫

名作、傑作、凡作、駄作、迷作・・・すべて、作品の出来を評価する言葉です。こういうことに唯一絶対の正解はありませんから、ある人にとっての名作が、ある人にとっては駄作となることも決して珍しくありません。レビューサイトなどで十人十色の感想を読み比べるのも、なかなか楽しいですよ。

こうした作品の評価に、<怪作>というものがあります。王道を行く大傑作とは言えないかもしれないけれど、独特の世界観で読者に強いインパクトを残す作品がこう呼ばれます。<怪>という字が付いているだけあって、不気味だったり不穏だったりすることも多いようですね。先日読んだ作品は、まさに怪作と言うにふさわしい衝撃度でした。鈴木悦夫さん『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』です。

 

こんな人におすすめ

連続殺人が出てくるサスペンスが好きな人

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「復讐の泥沼」 くわがきあゆ

「今日は救いようがないイヤミスを読みたいな」と思った時、私はタイトルを参考にすることが多いです。胸糞悪いイヤミスやホラーって、タイトルもそれらしいケースがしばしばなんですよ。もちろん、タイトル詐欺という場合も結構多いんですけどね。

過去に読んだ作品を例に挙げると、櫛木理宇さんの『依存症シリーズ』、貫井徳郎さんの『慟哭』『愚行録』、真梨幸子さんの『殺人鬼フジコの衝動』などは、期待通りの後味の悪さを味わえました。タイトルもまた作品の一部。表紙に手をかけた瞬間の予想がドンピシャで当たるのは、なかなか嬉しいものです。今日ご紹介するのも、「これは絶対にどす黒いイヤミスだろ」と思いながら読み始め、見事に予想的中した作品です。くわがきあゆさん『復讐の泥沼』です。

 

こんな人におすすめ

どんでん返しのあるサイコサスペンスが読みたい人

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「首なし晩餐 スローライフ警視の事件簿」 櫛木理宇

<スローライフ>とは、効率重視の生活を見直し、時間や義務に追われず自分らしくゆったり生きようという思想のことです。現在は生き方全般を指すことが多いようですが、この思想誕生当初は、食生活・食文化の見直しを意味していました。ファストフードの代表であるマクドナルドがイタリアに初出店した際、一部のイタリア国民が猛反発し、そこからスローフード運動が始まったのだとか。こういう経緯があったと知った時は「へええ」と唸ってしまいました。

実際、スローライフが描かれる小説には、美味しそうな料理が出てくることが多いです。小川糸さんの『食堂かたつむり』などがいい例ですね。食生活は、人生の基盤。美味しそうな食事描写が出てくると、読んでいるこちらの気持ちも満たされます。今回、ご紹介する作品もそうでした。櫛木理宇さん『首なし晩餐 スローライフ警視の事件簿』です。

 

こんな人におすすめ

・人間の悪意が光る警察ミステリーに興味がある人

・美味しそうな料理が登場する小説が読みたい人

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「おしまいの日」 新井素子

ホラーの中には、<サイコロジカルホラー>というジャンルがあります。サイコロジカル(心理的)という単語が付くだけあって、人間の狂気がテーマとなっており、日本では<サイコホラー>と省略されることが多いです。モンスターが大暴れするタイプのホラーとは異なり、じわじわネチネチと精神を蝕まれるような恐怖描写が特徴です。

この手のジャンルの有名どころといえば、我孫子武丸さん『殺戮にいたる病』、貴志祐介さん『黒い家』、中山七里さん『連続殺人鬼カエル男シリーズ』などがあります。海外作品だと、『サイコ』や『ミザリー』などは映画版も有名ですね。サイコホラーにおける重要なポイントは、怨霊や呪いといったオカルト要素ではなく、生身の人間による恐怖を演出すること。その点、今日ご紹介する作品はとても秀逸だと思います。新井素子さん『おしまいの日』です。

 

こんな人におすすめ

女性の静かな狂気を描いたサイコホラーに興味がある人

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「どんどん橋、落ちた」 綾辻行人

ミステリーの技法の一つに<読者への挑戦>というものがあります。これは、作中の探偵役が、推理を披露する前に一旦話を止め、読者に対して「あなたには真相が分かりましたか?」と問いかけてくる形式のこと。このやり方を実施するためには、きちんと推理できるよう、読者に向けてフェアに証拠を提示する必要があります。

<読者への挑戦>で有名なのは、エラリー・クイーンの『国名シリーズ』。それに強い影響を受けた、有栖川有栖さんの『学生アリスシリーズ』。島田荘司さんの『占星術殺人事件』などがあります。どれも面白かったですが、インパクトという点では、これが一番ではないでしょうか。今回は、綾辻行人さん『どんどん橋、落ちた』をご紹介したいと思います。

 

こんな人におすすめ

犯人当てを楽しめるミステリー短編集に興味がある人

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