先日、<ジェントルゴースト・ストーリー>という言葉を知りました。意味は<優しい幽霊の物語>といったところでしょうか。人を祟ったり呪ったりしない、心優しい幽霊が出てくるほのぼのストーリーを指すそうです。こういう幽霊のことを、怪談研究家の東雅夫さんは<優霊>と訳したそうですが、実に名訳だと思います。
幽霊ならぬ優霊物語といえば、赤川次郎さんの『ふたり』、加納朋子さんの『ささらさや』、辻村深月さんの『ツナグ』などが思い浮かびます。どの作品に登場する霊達も、憎悪や恨みにとらわれることなく、遺された大事な人への愛情に溢れていました。最近読んだこの本に出てくる霊も、優霊と言っていいのではないでしょうか。荻原浩さんの『押入れのちよ』です。
こんな人におすすめ
バラエティ豊かなホラー短編集が読みたい人