作家名

はいくる

「人影花」 今邑彩

小説の好き嫌いを判断する一番大事な要素は、当然<内容>だと思います。どんなに装丁やタイトルが秀逸でも、内容がつまらなければ何の意味もありません。それほど大事な内容と比べると、重要度という意味では劣るかもしれないけれど、ビビッと好みにマッチすると嬉しいもの、それが<イラスト>です。

私には、「この人がイラストを担当していたら、とりあえずあらすじをチェックする」というイラストレーターさんが何人かいます。その中の一人が北見隆さん。別にグロテスクでも何でもないにも関わらず、どこか不気味さを感じさせる画風が大好きなんですよ。思い込みかもしれませんが、この方が装画や装丁を担当している小説も私好みのものばかり。恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』、岸田るり子さんの『密室の鎮魂歌』、西澤保彦さんの『夢は枯れ野をかけめぐる』等々、どれも面白かったです。今回取り上げるのは、今邑彩さん『人影花』。ゾッとさせられる作風と、北見さんのイラストの雰囲気がぴったり合っていました。

 

こんな人におすすめ

皮肉の効いたホラーミステリー短編集が読みたい人

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はいくる

「結婚案内ミステリー風」 赤川次郎

<婚活>という言葉が一般的になったのは最近の話ですが、結婚に向けた色々な活動は、ずっと昔から存在していました。この手の活動で一番古いものは、恐らくお見合い。ですが、お見合いでは家族や仕事など、どこかで繋がりのある相手としか出会えません。そこで台頭してきたのが、結婚相談所です。相談所を介することで本来なら接点のなかった相手と知り合えること、家族や仕事絡みの義理がないので気楽なことがメリットとして挙げられるようですね。

私が今まで読んだ小説の中には、結婚相談所が登場するものもいくつかありました。例えば朝比奈あすかさんの『人生のピース』や平安寿子さんの『幸せ嫌い』、以前このブログでも紹介した、秋吉理香子さんの『婚活中毒』などなど。他にはどんな作品があったかなと考えた時、二十年以上前に読んだ小説にも結婚相談所が出てきたことを思い出しました。それがこれ、赤川次郎さん『結婚案内ミステリー風』です。

 

こんな人におすすめ

結婚にまつわるユーモアミステリーが読みたい人

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「暗い越流」 若竹七海

別の記事で、「小説が映像化されると、世間一般の認知度・関心度が一気に上がる」と書きました。<はいくる>の場合、それが一番顕著に表れたのは、山本文緒さんの『あなたには帰る家がある』。ドラマ化が発表されるや否や、記事の閲覧件数が一日で三千件を越し、仰天したものです。

ここ最近は、若竹七海さんの著作を検索してこのブログを見つける方が多いようです。これは恐らく、若竹さんの『葉村晶シリーズ』が、NHKで『ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~』としてドラマ化されたからでしょう。私も視聴しましたが、シシドカフカさんの乾いた演技が葉村晶のイメージにぴったりで、とても面白かったです。せっかくなので流れに便乗し、若竹七海さんの短編集『暗い越流』を取り上げたいと思います。

 

こんな人におすすめ

ブラックな短編ミステリーが読みたい人

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はいくる

「逢魔」 唯川恵

本は好きだから国語も好き。でも古典は苦手・・・という人って多いのではないでしょうか。かくいう私もそうでした。何と言っても文体が違いますし、<音きこゆ>だの<さう思へ>だのといった文章を訳するだけで一苦労。学生時代の古典の先生が結構怖かったこともあり、作品を楽しむより授業を無事終えられるかどうかばかり気にしていました。

それが変わったのは、大和和紀さんの『あさきゆめみし』を読んだことがきっかけです。概ね原作の『源氏物語』に忠実ながら、現代でも分かりやすいオリジナルの描写やエピソードが挟まれていたことで、物語の世界観をすんなり受け入れることができました。この頃から段々と「古典も面白いじゃん!」と思い始めましたし、古典を下敷きにした創作物への興味も生まれました。今回ご紹介するのも、古典をモチーフにした小説です。唯川恵さん『逢魔』です。

 

こんな人におすすめ

・男女の愛憎をテーマにしたホラーが好きな人

・古典をアレンジした小説に興味がある人

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はいくる

「極上の罠をあなたに」 深木章子

結婚や出産を経験してからというもの、昔と比べて家の衛生状態が気になるようになりました。エアコンや網戸、ベランダの汚れなど、自分一人の時は特に気にも留めていませんでしたが、同居人がいるとなると話は別。さっさと掃除してしまえれば話は簡単ですが、子どもが小さいとなかなか手が回りません。そういう時、我が家は近所の便利屋さんに頼むことにしています。それなりに料金はかかるものの、仕事は確実ですし、作業中、私は子どもの相手や他の家事を行えるところが有難かったです。

場合によっては人のプライベートに深く関わるところ、警察官や医者に比べると堅苦しさが少ない(と感じるのは私だけ?)ところなどから、便利屋はフィクションの世界に登場させやすい存在です。私がぱっと思いつくのは、三浦しをんさんの『まほろ駅前シリーズ』。瑛太さんと松田龍平さん主演で映画・ドラマ化されているので、ご存知の方も多いと思います。今回ご紹介する小説にも、印象的な便利屋が出てきました。深木章子さん『極上の罠をあなたに』です。

 

こんな人におすすめ

悪党だらけの連作ミステリーが読みたい人

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はいくる

「さよならの儀式」 宮部みゆき

私は基本的にどんなジャンルの小説も抵抗なく読む人間ですが、改めて自分の読書歴を振り返ってみると、SF小説の読破率が低いことに気付きました。実際、このブログでも、SF小説の登場頻度は低いです。どうしてだろうと自分で考えた結果、「なんとなく感情移入しにくいから」ではないかなと推測・・・私の理解を遥かに超えたテクノロジーとかの話を持ち出されると、つい一歩引いてしまうみたいです。

逆に、私の頭でも設定や世界観が理解しやすいSF作品なら、楽しく読むことができます。筒井康隆さんの『時をかける少女』や重松清さんの『流星ワゴン』、東野圭吾さんの『パラレルワールド・ラブストーリー』などは、SFながら設定は現代に通じていて、共感できる部分が多かったですね。先日読んだSF作品もそうでした。宮部みゆきさん『さよならの儀式』です。

 

こんな人におすすめ

ビターなSF短編小説集が読みたい人

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はいくる

「いつかパラソルの下で」 森絵都

小説のテーマになりがちな問題は色々あります。<親子の確執>はその筆頭格と言えるのではないでしょうか。近い血の繋がりがあり、本来なら愛情と信頼で結ばれるはずの親子。ですが、近いからこそ、場合によっては憎しみや葛藤の対象ともなり得ます。下田浩美さんの『愛を乞う人』や山崎豊子さんの『華麗なる一族』、唯川恵さんの『啼かない鳥は空に溺れる』などでは、そんな親子の愛憎劇が描かれました。

ただ、上記の例からも分かる通り、小説に出てくる親子の確執は<父と息子><母と娘>というケースが多い気がします。やはり同性同士の方が、反発や共感の情が湧きやすいからでしょうか。もちろん、それらもとても面白いのですが、今回はあえて<父と娘>の確執を取り上げた小説をご紹介します。森絵都さん『いつかパラソルの下で』です。

 

こんな人におすすめ

家族の確執をテーマにした小説が読みたい人

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はいくる

「ファミリーランド」 澤村伊智

SF小説の舞台になりやすい設定として、<違う惑星><異次元>と並んで多いのが<未来社会>です。私個人としては、今からほんの少し先の時代を描いた近未来小説が好きだったりします。何百年、何千年も未来の話だとファンタジーとしか思えませんが、何十年レベルの未来なら「こういうこともありそうだな」と感情移入しやすいです。

<状況がリアルに想像できる>という性質からか、近未来を舞台にした小説は、闇を感じさせたり希望がなかったりするケースが多い気がします。恩田陸さんの『ロミオとロミオは永遠に』や中村文則さんの『R帝国』などでは、時代が進んだが故の狂気や絶望が描かれました。今回取り上げるのは、澤村伊智さん『ファミリーランド』。少し文明が進んだ時代の恐怖が楽しめます。

 

こんな人におすすめ

・近未来を舞台にした小説が読みたい人

・嫁姑や介護など、家族の問題をテーマにしたホラーに興味がある人

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はいくる

「むかし僕が死んだ家」 東野圭吾

小説が世間の注目を集めるきっかけは、<映像化される>もしくは<文学賞を受賞する>の二つが多いと思います。もちろん、口コミのみで広がっていく名作もたくさんありますが、有名監督の手で映像化されたり、賞を獲ったことがメディアに取り上げられたりすると、普段本を読まない層の関心を惹くこともできます。当ブログでも、掲載した作品がドラマ化されたことで、その記事の閲覧数が一気に何千件に跳ね上がったりすることもありました。

こうした有名作品も面白いものですが、それと同時に、世の中には<隠れた名作>というものも存在します。今のところ大々的に映像化されたわけでも、名のある賞を受賞したわけでもなく、世間一般の知名度はやや低いものの、面白さは保証つきの作品。かつてブログで紹介した歌野晶午さんの『家守』などはそれに当たるのではないかと、個人的に思っています。今回取り上げる作品もそうではないでしょうか。東野圭吾さん『むかし僕が死んだ家』です。

 

こんな人におすすめ

記憶にまつわるホラーミステリーが読みたい人

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はいくる

「Iの悲劇」 米澤穂信

私の居住地は地方都市なので、公共施設に行くと<Uターン・Iターン相談会><Uターン・Iターンフェア>などといったポスターをよく目にします。Uターンとは、何らかの理由で出身地を離れた人が、再び故郷に戻って働くこと。Iターンとは、出身地以外の土地で仕事を得て暮らすことを意味します。

どちらもそれぞれ楽しいこともあれば辛いこともあるのでしょうが、まるで馴染みのない土地で一から生活基盤を作らなければならないという意味では、Iターンの方が大変な気がします(その分、しがらみがないというメリットもありますが)。先日読んだ小説では、Iターンにまつわる悲喜こもごもが描かれていました。今日ご紹介するのは、米澤穂信さん『Iの悲劇』です。

 

こんな人におすすめ

限界集落を舞台にしたミステリーが読みたい人

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