<不思議>という言葉を辞書で引いてみると、「そうであることの原因がよく分からず、なぜだろうと考えさせられること。その事柄」とあります。この「原因がよく分からない」というところが最大のポイント。<怖い小説>や<ハラハラさせられる小説>の場合、大抵はその原因が作中で判明しますが、<不思議な小説>はその限りではありません。登場人物にも読者にも、事態の真相や全容が分からないまま終わることだってあり得ます。
不思議な小説の代表格として真っ先に挙がるのは、やはりルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』でしょう。主人公アリスの夢オチなだけあって、作中の出来事は因果関係も物理法則も完全無視。ここまでではないにせよ、恩田陸さんの『いのちのパレード』や梨木香歩さんの『家守綺譚』なども不思議な魅力いっぱいの小説でした。この作品にも、読者を混乱させる不思議がたくさん詰まっていましたよ。真梨幸子さんの『フシギ』です。
こんな人におすすめ
謎めいたホラーミステリーが読みたい人