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「ウェンディのあやまち」 美輪和音

文芸作品の中には<読むのが嫌になる小説>というものが存在します。決してつまらないわけなく、文章力や構成はとても優れているものの、あまりの悲惨さや恐ろしさにページをめくるのが怖くなる、という意味です。昨今のイヤミスブームの影響もあってか、一時期に比べるとこの手の作品が増えた気がします。

私はフィクションならけっこう耐性あるのですが、それでも「読むのが辛い・・・」と思った作品がいくつかあります。ダントツ一位は、海外作品ですが、ジャック・ケッチャムの『隣の家の少女』。国内だと、歴史を感じさせる吉村昭さんの『羆嵐』や遠藤周作さんの『沈黙』、現代ミステリーなら宮部みゆきさんの『模倣犯』、東野圭吾さんの『さまよう刃』など、どれも本を家に置いておくのさえ辛いと思うくらい衝撃的でした。最近読んだこの作品も、胸をえぐられるようなショックを受けました。小説家であると同時に脚本家としての顔も持つ、美輪和音さん『ウェンディのあやまち』です。

 

こんな人におすすめ

児童虐待をテーマにしたミステリーが読みたい人

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「ブロードキャスト」 湊かなえ

新年あけましておめでとうございます!趣味丸出しのこのブログも、皆様のおかげで無事に2019年を迎えることができました。今年も相変わらず独断と偏見に満ちた内容になるでしょうが、呆れずお付き合いくださると幸いです。

何度も何度も繰り返してきましたが、私はイヤミスやホラーが好きです。とはいえ、明るく軽快な作品が読みたい時だって当然あります。特にこの時期は、新年にふさわしい爽やかな小説が読みたくなるもの。というわけで、今回取り上げるのは湊かなえさん『ブロードキャスト』。ここ最近読んだ小説の中で、読後感の良さではトップクラスでした。

 

こんな人におすすめ

部活に打ち込む高校生の青春物語が読みたい人

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「偽りの森」 花房観音

私が初めて京都を訪れたのは、高校の修学旅行の時です。あまり滞在時間が長くなかったため、清水寺や三十三間堂といった有名な観光地を数カ所回っただけですが、凛とした情緒溢れる佇まいが強く心に残りました。東京や大阪とはどこか違う雅やかな雰囲気、それこそが京都の魅力だと思います。

あの独特の雰囲気のせいか、京都を舞台にした小説は繊細さと濃厚さ、両方を併せ持つものが多い気がします。『源氏物語』などまさにその代表格ですし、映画化もされた渡辺淳一さんの『愛の流刑地』、サスペンスホラーの金字塔である貴志祐介さんの『黒い家』等々、ねっとりとした人間模様が迫ってくるような作品ばかりです。というわけで今回は、京都を舞台に濃密な愛憎劇が展開される小説をご紹介します。花房観音さん『偽りの森』です。

 

こんな人におすすめ

京都を舞台にしたドロドロの人間模様に興味がある人

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「少女達がいた街」 柴田よしき

「青春」という言葉の成り立ちは案外古く、古代中国の五行思想に登場しているそうです。本来は「春」という季節を意味する単語であり、転じて日本では「人生において、未熟ながら若々しく元気に溢れた時代」という使われ方をするようになったんだとか。何歳が青春なのかというと、これは人それぞれ考え方があるでしょうが、一般的には大体中学生くらいから二十歳前後といったところでしょうか。

「未熟な登場人物が成長する」というストーリーを成立させやすい分、青春時代を扱った小説は数限りなくあります。あまりにありすぎて挙げるのが大変なくらいですが、ぱっと思いつくだけでも恩田陸さんの『夜のピクニック』、金城一紀さんの『GO』、山田詠美さんの『放課後の音符(キイノート)』などなど名作揃い。これらはすべて切なくも瑞々しい青春時代を描いた爽やかな物語ですが、中には青春の苦さ、痛々しさをテーマにした作品もあります。それがこれ、柴田よしきさん『少女達がいた街』です。

 

こんな人におすすめ

ノスタルジックな雰囲気のあるミステリーが読みたい人

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「私の家では何も起こらない」 恩田陸

他のジャンルがそうであるように、ホラーという分野にも「ブーム」が存在します。ここ最近ヒットしたホラー作品を見る限り、今は「一番怖いのは人間だよ」ブーム。人間の欲望や狂気が引き起こす恐怖は、現実にも起こりそうな臨場感があって怖いですよね。

ですが、人外の存在が巻き起こす意味不明な恐怖もまた恐ろしいです。この世の常識が通用せず、ただ「関わってしまったから」という理由で怪異に見舞われる登場人物たち。この手の作風は三津田信三さんがお得意ですが、この方の小説もかなりのものでした。今回取り上げるのは恩田陸さん『私の家では何も起こらない』。王道をいく幽霊譚が楽しめますよ。

 

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スタンダードな幽霊屋敷小説を読みたい人

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「女が死んでいる」 貫井徳郎

以前、別の記事で、図書館の予約システムについて書きました。読みたい本を確実に読めるよう貸出予約を入れるというもので、当然、人気の本には何百件もの予約が殺到します。となると、なかなか本を借りにこない予約者をいつまでも待ち続けるわけにもいかないので、大多数の図書館では予約本の取り置き期間というものを設けています。自治体によって違うようですが、基本、十日~二週間というケースが多いようですね。

取り置き期間内に本を引き取りに行ければ万事オーケー。しかし、体調や仕事、身内の用事など様々な事情で期間内に図書館に行くことができず、涙を飲んで予約をキャンセルせざるをえないことだってあるでしょう。私自身、そういう憂き目にあった経験がありますが、この本は期間終了間際にどうにか時間を作り、図書館に引き取りに行くことができました。それがこれ、貫井徳郎さん『女が死んでいる』です。

 

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どんでん返しが仕掛けられたミステリー短編集が読みたい人

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「TAS 特別師弟捜査員」 中山七里

子どもの頃から推理小説好きだった私には、憧れのシチュエーションがあります。それは<警察の信頼を得て捜査協力を求められる少年少女>というもの。現実にはおよそあり得ないんでしょうが、「もし自分がこんな風に事件に関わることができたなら・・・」とワクワクドキドキしたものです。

この手の設定で一番有名なのは赤川次郎さんの作品でしょう。『三姉妹探偵団シリーズ』『悪魔シリーズ』『杉原爽香シリーズ』などには、刑事顔負けの推理力・行動力を発揮するティーンエイジャーがたくさん登場します。人気を集めやすい状況だからか、長期シリーズ化することも多いようですね。だったら、この作品も今後シリーズ化されるのかな。中山七里さん『TAS 特別師弟捜査員』です。

 

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高校生探偵が登場する学園ミステリーが読みたい人

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「ガラスの殺意」 秋吉理香子

人生を築き上げていく上で、大事なものはたくさんあります。愛情が最も大事だという人もいれば、お金こそ一番と感じる人もいるでしょう。そんな中、つい忘れられがちですが、<記憶>もまた生きていく上で大切な要素です。日々の記憶を積み重ねることで人生は成り立つもの。もしその記憶を保つことができなければ、人生はどれほど辛く寂しいものになるでしょうか。

<記憶喪失>ではなく<記憶を保持できない>登場人物が出てくる物語となると、愛川晶さんの『ヘルたんシリーズ』、小川洋子さんの『博士の愛した数式』、西尾維新さんの『忘却探偵シリーズ』などが思い浮かびます。最近読んだ小説にも、記憶を保てないことに悩み苦しむヒロインが登場しました。秋吉理香子さん『ガラスの殺意』です。

 

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記憶障害をテーマにした小説が読みたい人

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「ショコラティエの勲章」 上田早夕里

私は友人知人から<スイーツ女王>と言われるほどの甘党です。中でも目がないのは、チョコレートパフェやガトーショコラといったチョコレート系のスイーツ。昔、デザートビュッフェでチョコレート系のスイーツばかり三十個近く食べ、カフェインを摂りすぎたせいか全く眠れなくなったこともありました(笑)

美味しそうなスイーツが登場する小説はたくさんあるものの、チョコレートがメインとなると、意外と少ないです。有名どころだと、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』と、大石真さんの『チョコレート戦争』くらいでしょうか。この二作品ほどの知名度はないかもしれませんが、今回ご紹介する小説にも、それはそれは美味しそうなチョコレート・スイーツが出てきますよ。上田早夕里さん『ショコラティエの勲章』です。

 

こんな人におすすめ

スイーツが登場するコージー・ミステリーが読みたい人

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「未来」 湊かなえ

幸せないっぱいの人生を送りたい。これは、私を含む大多数の人間の望みでしょう。自分で言うのも何ですが私は甘ったれな人間なので、「贅沢言わないから、健康で、普通に遊んだり美味しい物を食べたりできる程度の財産があって、人間関係にも恵まれた一生を送りたいな」などと、ぼんやり夢見ることがよくあります。

現実では幸せを願うのが一般的なんでしょうが、小説や映画の世界ならば、登場人物が悲惨な目に遭うことで逆に物語の面白さが増すこともあります。ヴィクトル・ユーゴーの『ああ無情』はその典型的な例ですよね。他にも、山田宗樹さんの『嫌われ松子の一生』、百田尚樹さんの『モンスター』、田中慎弥さんの『共喰い』などの登場人物たちは、幸福とは程遠い人生を歩んでいますが、その重苦しさが読者を強く魅了します。今回取り上げるのは、湊かなえさんの直木三十五賞候補作『未来』。この作品で描かれる不幸の数々もかなりのものでした。

 

こんな人におすすめ

陰鬱な雰囲気のミステリーが読みたい人

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