<死蝋>という現象をご存知でしょうか。これは遺体が腐敗菌の繁殖を免れ、かつ、長期間に渡って外気との接触を遮断された結果、蠟状ないしチーズ状に変化したもののことを指します。時として意図せず遺体が死蝋化することもあり、最古のものとしては、紀元前四世紀に生きていた男性の遺体が死蝋となって発見されています。
死蝋化自体は単なる現象の一つなのですが、<遺体が蝋orチーズ状になる>というインパクトある性質のせいか、フィクションにおいては、禍々しい状況下で登場することが多いです。何しろ西洋には、絞首刑になった人間の片手を死蝋化させ、ロウソクをくっつけた<栄光の手>なる呪具が存在するぐらいですから、何かしら人知を超えたオーラのようなものを感じてしまうのかもしれません。この作品での死蝋の使われ方も、非常に衝撃的でした。櫛木理宇さんの『死蝋の匣』です。
こんな人におすすめ
・猟奇殺人をテーマにしたイヤミスに興味がある人
・『元家裁調査官・白石洛シリーズ』のファン