「悪法もまた法なり」。かつて、学者ソクラテスが言ったとされている言葉です(本当に言ったかどうかは諸説あり)。実際にはかなり哲学的な意味があるようですが、今はストレートに「たとえ間違った法律でも、法治国家である以上は従わないといけませんよ」という意味で使われることが多いようですね。確かに、各自が勝手に「あの法律は変だから守らない!」「こんな間違った法律に従う必要はない!」などと言い出したら、社会は成り立ちません。法律が間違っているなら、定められた法改正の手続きを取れというのは、決しておかしな話ではないでしょう。
しかし、法律を作るのが人間である以上、完璧にはなり得ないというのもまた事実です。法律が誰かを救う一方、また別の誰かを苦しめていたとしたら・・・・・少年法をはじめ、多くの法律が長年論争の種になるのは、この辺りが原因ではないでしょうか。今回取り上げるのは、貫井徳郎さんの『紙の梟 ハーシュソサエティ』。法と社会の在り方について考えさせられました。
こんな人におすすめ
死刑をテーマにしたサスペンス短編集が読みたい人