<猟奇的>というのは、本来、<奇怪・異常なものを強く求める様子>を指す言葉です。現代では、もともとの意味から少し離れ、<残酷な><グロテスクな>という意味で使われることが多いですね。特に、遺体が激しく損壊されていたり連続殺人だったりする事件を<猟奇殺人>と表現するケースが多いと思います。
現実では絶対に起きてほしくない猟奇殺人ですが、フィクションなら話は別。とにかくインパクトが強いこともあり、作中で猟奇殺人が登場する創作物は枚挙に暇がありません。ここで重要となるのは、<犯人はなぜ猟奇殺人を犯したのか>という動機付け。遺体に手を加えたり、犠牲者を多く出したりすれば、それだけ証拠を残すリスクが高まるわけですから、「なるほど!こんな理由があったから、犯人は逮捕の可能性を承知で猟奇殺人犯になったのね」という理由が必要なわけです。単に犯人が異常者だったから、という作品も一定数ありますが、やはり猟奇殺人の理由が明確にある作品の方が、謎解きの楽しさが味わえます。この作品の猟奇殺人の動機は、かなり強烈でした。貫井徳郎さんの『妖奇切断譜』です。
こんな人におすすめ
猟奇殺人事件を扱った小説が読みたい人