小学校時代、図書室に置いてあった本は、当然ながら子ども向けの児童書が主でした。それから中学、高校と進むにつれて図書室のラインナップは徐々に大人向けになっていきましたし、自分で本屋巡りをして一般書籍を買う機会も増加。大人向けの本の方が生々しく露骨な描写が多いこともあり、イヤミスやホラー好きの私は児童書から遠ざかりました。
しかし、ある程度の年になってから読み返してみると、児童書は<子ども向け>ではあっても決して<稚拙>ではないことに気付きました。特に、ティーンエイジャー向けのヤングアダルト小説は、文章は平易ながら、この世の心理を鋭く衝いていたり、深刻な社会問題を取り上げたりしているものがたくさんあります。いじめ問題をテーマにしたブロック・コールの『森に消える道』、母子の歪んだ愛情を描いた篠原まりさんの『マリオネット・デイズ』、少年少女が様々なトラブルに立ち向かう宗田理さんの『ぼくらシリーズ』等、どれも心に残る面白い作品です。今回ご紹介するのは、森絵都さんの『宇宙のみなしご』。私の大好きなヤングアダルト小説の一つです。
こんな人におすすめ
中学生が主役の青春小説が読みたい人