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「殺人鬼フジコの衝動」 真梨幸子

殺人鬼。これほど禍々しい響きを与える言葉ってそうそうないんじゃないでしょうか。「殺人」だけでも十分恐ろしいのに、その後に「鬼」が付くなんて。何より恐ろしいのは、そんな殺人鬼が現実にもしっかり存在することでしょう。

一方、フィクションの世界に登場する殺人鬼は、決して恐ろしいだけの存在ではありません。貴志祐介さん『悪の教典』の蓮見聖司然り、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』のレクター博士然り、殺人鬼たちはその残酷さを以て読者を惹きつけます。そんな小説界の殺人鬼名鑑には、彼女の名前も載せるべきでしょう。真梨幸子さん『殺人鬼フジコの衝動』に登場するフジコです。

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「カウントダウン」 真梨幸子

ある日突然、病気で余命宣告されたら。そんな状況に直面した時、人はどういう行動を取るのでしょうか。愛する人とたくさん思い出を作る?やり残した大仕事を片付ける?百人に聞けば百通りの答えが返ってくると思います。

悔いなく最期の瞬間を迎えるための活動「終活」は、今や社会現象となりつつあります。終活を通じて心の整理を行い、限りある人生を豊かに送る人もいるでしょう。反面、終活を行うことで、忘れたい過去を掘り返すことになったりして・・・そんな「黒い終活」を描いた作品がこれ。真梨幸子さん『カウントダウン』です。

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「出会いなおし」 森絵都

人生は出会いと別れの繰り返しです。これは何も大きな出来事だけを指しているわけではありません。何気なく散歩している道にも、買い物しようと立ち寄ったコンビニにも、無数の出会いと別れが溢れています。

そして、一度別れた相手と思いがけない形でまた出会うこともあります。そんな意外な出会いを描いたのが、森絵都さん『出会いなおし』。出会いを繰り返すことの素敵さをしみじみ実感することができました。

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「さよなら神様」 麻耶雄嵩

「苦しい時の神頼み」「触らぬ神に祟りなし」「捨てる神あれば拾う神あり」ぱっと思いつくだけで、神様にまつわることわざはたくさんあります。日本は八百万の神様が存在する国。身近なところに神様がいるのは、何も故事成語に限った話ではありません。

もしすぐ近くに神様がいて救いの手を差し伸べてくれたら・・・?そんな空想をしたことがある人って結構多いのではないでしょうか。でも、少なくともミステリーの世界においては、神様がさっさと犯人を見破ってしまうと物語が成立しませんよね。ですが、そんな「反則技」とも言える手に挑戦した作品があるんです。破天荒で癖のある作風ながら、その独特の世界観が根強い支持を得る麻耶雄嵩さん『さよなら神様』です。

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「淋しい狩人」 宮部みゆき

こんなブログまで開設しているのですから今さら言うまでもありませんが、私は読書が好きです。一番好きなのはミステリーですが、基本的にホラー、恋愛、SF、ヒューマンドラマと何でもござれですし、エッセイや児童文学にも手を出します。親に聞いてみると、昔から本さえ与えておけば何時間でも大人しくしている子どもだったようですね。

そんな私が大好きな場所、それが本屋です。最近、大型書店はどんどん綺麗になり、店内に立派なテーブルやソファを設置して購入前の本を読めるようにしてあったり、併設のカフェからなら飲食物を持ち込めたりするような店も多いです。そういう店ももちろん好きですが、昔ながらの小さな本屋さん、街角にひっそりあるような古本屋さんも大好きですよ。そんな愛すべき本屋を扱った作品といえばこれ。ありとあらゆるジャンルの小説を手がけ、無類のゲーム好きとしても知られる宮部みゆきさん『淋しい狩人』です。

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「リバース」 湊かなえ

私は昔からコーヒー党でした。子どもの頃は砂糖とミルク、今はミルクだけを入れて、ホットで飲むのが好きです。美味しいコーヒーがお供だと、読書の楽しさも三割くらい増す気がします。

作中にコーヒーが登場する小説もたくさんありますよね。有名なところだと、ドラマ化もされた吉永南央さんの『紅雲町珈琲屋こよみ』シリーズ、「このミステリーがすごい!」大賞にノミネートされた『喫茶店タレーランの事件簿』シリーズなどが挙げられます。そんな中、私のお薦めはこれ。「イヤミス」というジャンルを世に広めた、湊かなえさん『リバース』です。

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「三鬼 三島屋変調百物語四之続」 宮部みゆき

子どもの頃からホラー好きだった私が、いつかやりたいと思いつつ未だに実現できていないことがあります。それが「百物語」。参加者たちが合計百話に達するまで怪談を語り合うというお遊びですね。付き合ってくれる怪談好きがなかなか見つからず、いたとしても、合計百話になるまで怪談を語り続けるというのも結構難しいため、実行できる日は通そうです。

言い伝えによると、百話目の怪談を語り終えると、本当に怪奇現象が起こるのだとか・・・真偽のほどはともかく、人が思いを込めて語った話には、何らかの力があるのかもしれません。今日は百物語をテーマにした小説をご紹介します。この方の歴史小説に外れなし、宮部みゆきさん『三鬼 三島屋変調百物語四之続』です。

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「この女」 森絵都

「物書きの主人公が執筆依頼を受けたことを機に、物語が動き出す」。これ、フィクションの世界では結構よくあるシチュエーションです。文章を書くからには当然下調べや取材を行わねばならず、その過程で様々な物事に触れるわけですから、物語の取っ掛かりとして成立しやすいんでしょうね。

どちらかと言えばミステリーやホラーなどのジャンルに多いシチュエーションのような気がしますが、もちろん、その他の分野でも面白い作品はたくさんあります。というわけで、今日はこの作品をご紹介しましょう。大人向け小説だけでなく児童文学も数多く執筆し、二〇〇六年には直木賞を受賞した、森絵都さん「この女」です。

 

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「猫には推理がよく似合う」 深木章子

皆さんは動物が好きですが?たくさんいる動物の中で、特にひいきの動物はいるでしょうか。私はずっとマンション暮らしだったため動物を飼った経験がなく、今は近所の猫カフェに通って癒されています。

フィクションの世界にも、人間以上に生き生きと活躍する動物がたくさんいます。児童文学なら「名犬ラッシー」、ノンフィクションなら「野生のエルザ」、最近の作品だと赤川次郎さんの「三毛猫ホームズ」シリーズなどが有名ですね。今日は、一匹の猫が中心となる小説をご紹介しましょう。深木章子さん「猫には推理がよく似合う」です。

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「怪談のテープ起こし」 三津田信三

「実話系ホラー」というジャンルがあります。その名の通り、「実際の出来事であるかのような体裁のホラー」のことで、貞子やジェイソンのような目に見える化け物が登場することはほとんどない代わり、日常をじわじわと浸食するかのような恐怖感があります。最近では、映画化もされた小野不由美さんの「残穢」などがありましたね。

実話系ホラーの場合、リアリティはある反面、一歩間違えるとヤマもなければオチもなく、怖くも何ともない話になってしまうことが特徴です。ですが、今日ご紹介する作品に関しては、そういう心配は無用ではないでしょうか。実話系ホラーを書かせたら国内随一(と私が勝手に思っている)の三津田信三さん「怪談のテープ起こし」です。

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