ミステリーやサスペンスにおいて、謎解き役というのはとても重要なポジションです。シャーロック・ホームズ然り明智小五郎然り、難事件をピシッと解決する探偵は格好いいもの。数多の作品で主役を張るのも納得です。
その一方、<謎解き役>ではなく<謎解きのヒントを与えるアドバイザー役>の方が存在感を放つ作品も一定数存在します。『羊たちの沈黙』のレクター博士と言えば、想像しやすいでしょうか。こういう作品の場合、意外と大事なのは、アドバイザー役がなぜ謎解き役にわざわざヒントを与えるのかという理由付け。ここが曖昧だと、ただのご都合主義に思えてしまうんですよね。その点、今回取り上げる作品はしっくりきました。櫛木理宇さんの『逃亡犯とゆびきり』です。
こんな人におすすめ
悲惨な事件が出てくるサスペンス連作短編集に興味がある人