一説によると、鳥類の中で一番賢いのは鴉だそうです。その知能は霊長類に匹敵し、記憶力・観察力にも優れ、人間の顔を見分けたり、道具を使ったりすることも朝飯前。分野によってはサルを超える成績を出すこともあるのだとか。その賢さや真っ黒な外見、敵を集団で攻撃する習性などから、不吉の象徴であり、魔女や悪魔の手先とされることが多いです。
その一方、鴉は太陽に向かって飛んでいくように見えることから、神の使いとして崇められることもしばしばでした。日本でも三本足の鴉<八咫烏>を導きの神として崇拝する文化がありますよね。鴉は視力が優れていることもあり、善きものにせよ悪しきものにせよ、<使者><斥候>というイメージがあるのでしょう。今回は、そんな鴉が印象的な使われ方をしている作品を取り上げたいと思います。櫛木理宇さんの『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』です。
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社会の歪みをテーマにしたミステリーが読みたい人