<予言>という単語を聞いて多くの人が思い浮かべるのは、かの有名な<ノストラダムスの大予言>でしょう。<一九九九年七か月、空から恐怖の大王が来るだろう>という一文が<一九九九年に人類は滅びる>と解釈され、一時期、テレビや雑誌もその話題で持ちきりでした。かくいう私も、ハラハラドキドキしながら特集雑誌を買い求めた一人です。
こんな風に何かと世間の注目を集める<予言>ですが、これをテーマにした小説となると、あまりお目にかかったことがありません。関係者の中に預言者を名乗る人間がいるケースはありますが、大抵は詐欺まがいの手を使う小悪党というのがお約束。<未来を見通す>という能力の性質上、あまり大々的に取り上げると何でもありのハチャメチャ小説になってしまうからでしょうか。ですが、この小説に出てくる<予言>は一味違いました。澤村伊智さんの『予言の島』です。
こんな人におすすめ
クローズド・サークルを扱ったホラーサスペンスが読みたい人