ミステリーやホラーのように<真相究明><問題解決>に重きが置かれる作品の場合、「なぜ主人公は必死に事件に取り組むのか」という動機付けが重要となります。ここをすんなりクリアするための方法の一つは、主人公の職業をマスコミ関係者にすること。何しろ調査・取材することが仕事ですし、犯罪性が高くないと捜査できない警察と違い、まだ物理的な被害が出ていない(判明していない)事件や、何十年も前に起きた未解決事件に対してでも動けます。
マスコミ関係者が登場する小説といえば、ぱっと思いつくのは鈴木光司さんの『リング』。雑誌記者である主人公は、その調査能力を使い、呪いのビデオの謎を解こうとします。また、最近映画化もされた塩田武士さんの『罪の声』には、三十一年前に起きた未解決事件の真相に迫る新聞記者が出てきます。上記二作品に比べるとノリはやや軽めながら、この小説の主人公もけっこう大変な目に遭っていました。澤村伊智さんの『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』です。
こんな人におすすめ
街の怪奇事件がテーマの短編集が読みたい人