ホラーやイヤミスの世界において、<子ども>というのは特別な存在になりがちです。子どもは可能性の塊であり、未来の象徴。そのせいか、モンスターや殺人鬼が跋扈し、多数の犠牲者が出る中、子どもだけはなんとか生き残るという展開も多いです。
その一方、子どもが容赦なく犠牲になる話も一定数あります。命の価値は平等とはいえ、やはり子どもが惨い末路を辿ると、絶望感が一気に高まるんですよね。櫛木理宇さん、澤村伊智さん、三津田信三さん等の作品で、生還フラグが立っている子どもが呆気なく死に、一体何度打ちのめされたことか・・・・・そう言えば、この方の作品も、子どもが過酷な結末を迎える傾向にある気がします。今回取り上げるのは、朱川湊人さんの『いっぺんさん』です。
こんな人におすすめ
郷愁漂うホラー短編集に興味がある人