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「ぼぎわんが、来る」 澤村伊智

「そんな悪い子はお化けにさらわれちゃうよ」。子どもの頃、そういう脅し文句を耳にした人は少なくないでしょう。「お化け」が「鬼」「幽霊」「人さらい」に変わることはあっても、基本的な構造はどれも同じ。どこからともなく現れ、人間を遠くへ連れ去る怪異の存在は、古今東西たくさん語られています。

もしそんな化け物が現実に現れたら・・・自分や家族が狙われるようになったら・・・考えただけで背筋が寒くなりそうですね。というわけで、今日はこの作品をご紹介しましょう。二〇一五年に日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智さんのデビュー作、「ぼぎわんが、来る」です。

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「女子的生活」 坂木司

「女子」という言葉を聞いて、どんなものが思い浮かびますか。お洒落、合コン、甘いお菓子・・・そんな可愛くて楽しいイメージが強いのではないでしょうか。実際、ドラマや雑誌に出てくる女の子の日常には、明るく華やかなものが溢れています。

とはいえ、実際に女子の生活が楽しいことだけかというと、そんなわけありません。幸せのため戦い、前進しなければならないのは、男も女も一緒です。今日は、そんな女子の暮らしを描いた作品をご紹介しましょう。性別すら未公表の覆面作家、坂木司さん「女子的生活」です。

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「主夫のトモロー」 朱川湊人

父「主夫」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。文字通り、家事・育児を担当する夫のことで、日本ではまだ一般的とは言い難いですね。日本の場合、今なお「家のことは女性の仕事」という考え方が根強いのかもしれません。

主夫の奮闘を描いた作品は色々ありますが、今日ご紹介するのは、自らも主夫の経験を持つ直木賞作家、朱川湊人さん「主夫のトモロー」です。

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「紫のアリス」 柴田よしき

皆さんはどんな童話が好きですか?「白雪姫」「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」etcetc。私も子どもの頃、図書館から何冊も童話を借りてきては、夢中になって読みました。

でも、童話って、けっこう残酷な要素が多いですよね。最近は、童話の持つグロテスクな部分をクローズアップした作品も多く、ハマる大人も多いようです。今日は、童話の不気味さをテーマにした作品として、柴田よしきさんの初期の名作、「紫のアリス」を紹介します。

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