ホラー作品は、大きく分けて二つのタイプがあると思います。それは<自業自得>系と<理不尽>系。前者は、恐怖体験をする原因が(善意悪意は問わず)自分自身にあるタイプで、五十嵐貴久さんの『リカ』や今邑彩さんの『赤いべべ着せよ・・・』などがこれに当たります。
後者の<理不尽>系はというと、主人公サイドには何の落ち度も因果もなく、「そこにいたから」「怪異に目を付けられたから」という理由で恐ろしい思いをするタイプの作品です。登場人物が何か原因となる行動を取ったわけではないので、読者に「もしかしたら私もこんな目に遭うかも・・・」と思わせる怖さがありますね。例を挙げると、明野照葉さんの『棲家』や、ブログでも紹介した小池真理子さんの『墓地を見おろす家』などがあります。先日読んだホラー小説も、このタイプの作品でした。澤村伊智さんの『ひとんち』です。
こんな人におすすめ
バラエティー豊かなホラー短編集が読みたい人