とある人物の生涯について書いた本を<一代記>といいます。主人公は実在の人物のこともあれば架空の人物のこともありますが、どちらにせよ社会を大きく動かす出来事に関わったり、歴史上の人物に出会ったりと、波乱万丈な人生を送ることが多いです。最近の作品では、森絵都さんの『みかづき』や柚木麻子さんの『らんたん』などが挙がるでしょう。
しかし、人間、歴史上のビッグイベントに関わる機会がそうそうあるわけではありません。全体的な比率でいえば、波乱万丈とは程遠い、平々凡々な人生を送る人の方がきっと多いはずです。そんな人間の人生を描いた小説はつまらないでしょうか。それがそうとも言い切れないと、この作品が証明してくれました。恩田陸さんの『なんとかしなくちゃ。青雲編』です。
こんな人におすすめ
問題解決に邁進する女性の一代記が読みたい人