いわゆる<バディもの>と言われる作品の場合、主人公コンビの信頼関係が物語を左右する鍵となります。アガサ・クリスティーの『シャーロック・ホームズシリーズ』でも、名探偵ホームズと助手のワトソン博士の名コンビぶりは世界に知れ渡っています。信頼し、支え合うコンビの姿は、読者をわくわくさせてくれるものです。
その一方、決して友好的とは言い難いコンビの存在も、それはそれで面白いです。例えば、漫画ですが、柩やなさんの『黒執事』。幼い少年貴族と彼に仕える執事が主人公ですが、実はこの執事の正体は悪魔で、少年貴族の魂欲しさに仕えているだけ。当然、両者の間に真の信頼関係などないものの、お互い打算のため主従関係を結ぶ二人の姿は、見ていてとてもスリリングです。最近読んだ小説にも、決して仲良しこよしとは言えない名(迷?)コンビが出てきました。中山七里さんの『人面瘡探偵』です。
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閉鎖的な田舎での連続殺人ミステリーが読みたい人
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先日、雨上がりに虹を見ました。大はしゃぎするような年齢はとっくに過ぎてしまいましたが、青空にかかる七色の帯を見ると、なんとなく気持ちが明るくなります。そう思う人は多いのか、虹を神との契約と捉えたり、虹の根本には宝があると考えたりする文化もあるようです。
そしてもう一つ、様々な色が並んでいる形状から、虹は<多様性><共存>の象徴でもあるとのこと。そのため、虹がキーワードとして出てくる作品は、異なる個性の登場人物達が支え合って物事を進める内容のものが多いですね。例を挙げるなら、逸木裕さんの『虹を待つ彼女』や瀧羽麻子さんの『虹にすわる』といったところでしょうか。そういえばこの作品でも、登場人物達を虹に例えています。加納朋子さんの『レインレイン・ボウ』です。
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悩める女性達の爽やかミステリーが読みたい人
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SF作品の中には、<タイムリープ>という言葉が登場するものがあります。直訳すると<時間跳躍>で、文字通り時間を飛び越えて移動することを意味します。よく似た言葉に<タイムトラベル>があり、正確な差異は定義されていないようですが、<タイムトラベル=移動先を自分で決められる><タイムリープ=勝手に別の時間に移動してしまう>と使い分けられているパターンが多いような気がします。
実はタイムリープという言葉は日本製の造語であり、初出は筒井康隆さんの『時をかける少女』だそうです。何度も映像化・アニメ化され、海外でも人気の高い名作なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。これは有名すぎるほど有名なので、今回は別のタイムリープ小説を取り上げたいと思います。西澤保彦さんの『七回死んだ男』です。
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ユーモラスなSFミステリーが読みたい人
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好意を抱く、心惹かれる、ときめく、思いを寄せる・・・誰かに恋愛感情を抱く表現は色々ありますが、一番一般的なのは<恋に落ちる>という言い方だと思います。この表現の由来は不明ですが、理性ではどうにもならない心理状態にすっぽりはまる様子が<落ちる>と言い表されるのかもしれません。実際、恋が原因でのっぴきならない状態に陥ってしまった人は現実にも大勢存在します。
当然、容易く抜け出せない恋愛をテーマにした小説も数えきれないほどあります。辻仁成さんの『サヨナライツカ』、東野圭吾さんの『夜明けの街で』、山本文緒さんの『恋愛中毒』など、三十代以上の男女を主人公にした、どちらかというと大人向けの作品が多いですね。今回ご紹介する小説にも、どうにもならない恋の沼にはまりこんでしまった男女が出てきます。唯川恵さんの『天に堕ちる』です。
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泥沼のような恋愛模様を描いた短編集が読みたい人
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今、人類は一丸となってコロナウィルスと戦っています。世界各国ではロックダウンの措置が講じられ、オリンピックは延期となり、日本でも非常事態宣言の発令や衛生用品の買い占めなど、平時では考えられなかった事態が次々起こっています。毎日ニュースを見るたび、ウィルスの恐ろしさを実感するとともに、不眠不休で働いてくれている医療従事者や物流業界の方々に頭が下がる思いです。
ですが、嬉しい知らせを聞くこともあります。国内の感染者数は今のところ減少傾向にありますし、非常事態宣言は解除され、以前の日常が戻りつつあると感じる機会も増えました。もちろん、まだまだ油断は禁物ですが、一時の酷い状況を思えば、いい傾向と見ていいでしょう。本好きの私としては、ずっと休館中だった図書館でまた本が借りられるようになったことが嬉しいです。特にこの本は発売前からチェックしていたこともあり、受け取った時は思わずガッツポーズしてしまいました。真梨幸子さんの『坂の上の赤い屋根』です。
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猟奇殺人事件をめぐるイヤミスが読みたい人
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実は私、頭に大が付く虫嫌いです。刺されたとか噛まれたとかいう経験があるわけでもないのですが、あの細い手足やもぞもぞした動きが嫌で嫌で・・・ゴキブリやスズメバチはもちろんのこと、チョウチョやテントウ虫さえ冷や汗をかくレベルです。
ただ、実物が目に映らなければ比較的大丈夫ですので、虫が登場する小説は何冊か読みました。世界的に有名なフランツ・カフカの『変身』、その『変身』をどことなく連想させる黒澤いづみさんの『人間に向いてない』、生理的な気色悪さが読者を襲う貴志祐介さんの『天使の囀り』などは、初読みの時のインパクトを今でもはっきり覚えています。これらはすべて、物理的に虫が存在する作品ですので、今回は嫌悪感やおぞましさの象徴として虫が出てくる作品を取り上げたいと思います。朱川湊人さんの『水銀虫』です。
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後味の悪い短編ホラー小説が読みたい人
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ホラー作品の定番恐怖スポット、それはズバリ<家>です。家で死んだ人間がそのまま幽霊となって化けて出る、というのが最多でしょうが、違う場所で死んだ人間が何らかの理由で家にとり憑くというパターンも結構あります。<家>は人間の生活の基盤であり、良くも悪くも強い思いを抱きやすいからでしょうか。
幽霊屋敷小説と言われて思いつくものを挙げると、海外ならスティーブン・キングの『シャイニング』にヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』、日本なら三津田信三さんの『忌館 ホラー作家の棲む家』やブログで過去に紹介した小池真理子さんの『墓地を見下ろす家』、恩田陸さんの『私の家では何も起こらない』etcetc。じめ~っとした陰気な怪奇小説から、怪異が物理的な攻撃を仕掛けて来るパニックホラーまで、その範囲は多岐に渡ります。では、今回ご紹介する幽霊屋敷小説はどうでしょうか。明野照葉さんの『棲家』です。
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家にまつわるホラー小説が読みたい人
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古今東西の様々な小説を読んでいると、作者と同名の登場人物が出てくる小説にしばしば出くわします。実在する人物の名前が登場すると、物語のリアリティや臨場感が一層高まるもの。また、作者もキャラクターが自分と同名だと、感情移入の度合がより強まるのではないでしょうか。
作者と同じ名前の登場人物が活躍する小説は国内外問わずたくさんありますが、和書だと有栖川有栖さんの『アリスシリーズ』、坂木司さんの『ひきこもり探偵シリーズ』、道尾秀介さんの『真備シリーズ』などが面白かったです。書き手の気合の入り様もあるからか、人気を集めてシリーズ化された作品も多いですね。今回ご紹介するのも、そういったシリーズ作品の一つです。三津田信三さんの『どこの家にも怖いものはいる』です。
こんな人におすすめ
・幽霊屋敷を扱ったホラー短編集が読みたい人
・実話風ホラーが好きな人
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私は女子高出身なので、女友達とのいざこざはそれなりに経験しましたし、見聞きもしました。そして、この手の話だと<女同士は奇数グループだとうまくいかない>という定説がしばしば出てきます。<女は二人で盛り上がる傾向にあるから、三人や五人で仲良しグループを作ると、一人あぶれてしまう>というやつですね。
実際に女の園を経験した身から言わせてもらうと、これはあまり信ぴょう性がありません。仲良しグループの中で寂しさや疎外感を味わった経験は私にもありますが、それは二人組や四人組の時も同様でした。楽しい友達付き合いができるか否かに、人数は関係ないと思います。今回ご紹介する小説には、個性豊かで楽しい三人組が登場します。若竹七海さんの『プラスマイナスゼロ』です。
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コミカルな青春ミステリーが読みたい人
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「一番印象に残っている時代は?」というアンケートがあるとしたら、どんな答えが集まるでしょうか。回答者の立場によって違うと思いますが、ある世代以上の人達なら、恐らくバブルの時代を挙げると思います。これは一九八六年から一九九一年にかけて起きた好景気のことで、地価高騰やリゾート地開発、就職活動における売り手市場など、様々な社会現象が発生しました。私自身は小さかったためほとんど意識しませんでしたが、「バブルの頃はね・・・」と思い出話をされた経験は数えきれないほどあります。きっと、それほど強烈な印象を残す時代だったのでしょう。
バブルの時代を扱った小説の例を挙げると、黒木亮さんの『トリプルA 小説格付会社』、楡周平さんの『修羅の宴』、当ブログで過去に紹介した貫井徳郎さんの『罪と祈り』などがあります。いずれも、バブルの波に揉まれ、踊らされる人間の業の深さをテーマにしていました。そういう話ももちろん面白いのですが、ずっしりした小説を読んだ後には、明るく口当たりのいい小説が読みたくなるもの。今回は、バブル期に前向きに逞しく生きていく女性達の小説を取り上げたいと思います。林真理子さんの『トーキョー国盗り物語』です。
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女性の幸せ探しをテーマにした小説が読みたい人
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