子どもの頃、<契約>というのはものすごく複雑かつ高度なもので、身近には存在しないと思っていました。漫画やドラマの中で、社運を賭けたプロジェクトに挑む会社員が契約書を取り交わしたり、悪徳商人に売り飛ばされた主人公が奴隷契約を結ばされたり、悪魔に願いを叶えてもらうのと引き換えに魂を渡す契約を結んだり・・・・・ただの<約束>とは違う仰々しさを感じていたものです。
ですが、成長した今になって考えてみると、契約とはそれほど物々しく現実離れしたものではありません。それどころか、日常生活の至る所に契約は溢れています。店で物を買うのだって一種の契約ですし、新しくサイトに登録したりアプリをダウンロードしたりする時に契約書が表示されることもしょっちゅうです。これほど機会が多いと、契約というものに対するハードルが低くなってしまいがちですが・・・・・その契約、本当に結んで大丈夫ですか?契約書の内容、ちゃんと読んでいますか?この作品を読んだ後は、気軽に契約を結ぶことができなくなってしまうかもしれません。明野照葉さんの『契約』です。
こんな人におすすめ
女性の執念を描いたサスペンスが読みたい人