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「指名手配作家」 藤崎翔

芸能人が小説を書くケースは多いです。その際、「芸能人に小説が書けるのか」という批判が巻き起こるのはお約束。特に、その芸能人が華やかな経歴の持ち主だった場合、批判が激しくなる傾向にあるようです。

ですが、芸能人に小説が書けないと決めつけるのは偏見というものでしょう。文学史上の例を挙げると、『クリスマス・キャロル』などで有名な世界的文豪チャールズ・ディケンズは、役者としての顔も持っていました。現代日本にだって、優れた小説を書く芸能人、あるいは元芸能人は大勢います。その中で私のお気に入りは藤崎翔さん。最近読んだ『指名手配作家』も、スピード感に溢れていて面白かったです。

 

こんな人におすすめ

コメディタッチの逃亡劇が読みたい人

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「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」 降田天

「用があって警察署に行ってきたよ」と言われたら、「え?警察署?何で?」と思う人が多いのではないでしょうか。では、「交番に行ってきたよ」ならどうでしょう。時と場合にもよりますが、私なら「落とし物か何かあったのかな」と軽く流す可能性が高いです。交番は警察署と比べ、生活に密着した印象がありますよね。

もちろん、交番の仕事が気楽だなどと言うつもりは毛頭ありません。交番に勤務する警察官が襲撃される事件は現実でも起こっています。また、小説でも、乃南アサさんの『新米警官・高木聖大シリーズ』や、米澤穂信さん『満願』収録の「夜景」などで、交番で働く警察官たちの苦悩や葛藤が描かれています。今回ご紹介するのは、一風変わった交番勤務の警察官が登場する小説です。降田天さん『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』です。

 

こんな人におすすめ

倒叙ミステリー短編集が読みたい人

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「おれは非情勤」 東野圭吾

社会には様々な仕事、様々な勤務形態が存在しますが、その中に<非常勤>というものがあります。簡単に言えば、労働時間がフルタイム勤務者より短い労働者のことで、単純な補助作業を行う者もいれば、法律や税制のような専門知識を駆使して働くケースもあります。非常勤労働者を使う業界・会社は多いですが、中でも一番耳にするのは教育現場での<非常勤講師>ではないでしょうか。

教諭の席に空きがないため非常勤として働くしかなく、不満を抱える人も当然いるでしょう。しかし、非常勤という形態は、デメリットばかりではありません。他に目指す仕事があり、一時的に収入を得られればいいと思う人だっているはずですし、非常勤だからこそしがらみもなく公平な目で物事を見ることだってできると思います。そんな非常勤講師が登場する作品がこちら、東野圭吾さん『おれは非情勤』。この先生、かなり好きです。

 

こんな人におすすめ

ジュブナイルミステリー小説が読みたい人

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「ベルリンは晴れているか」 深緑野分

昔、とあるドイツ人俳優にハマっていたことがあります。ドイツの歴史映画にたくさん出演しているため、彼拝みたさに出演作を鑑賞しまくったり原作小説を読んだりした結果、すっかりドイツという国に魅せられてしまいました。一時期など、特に意味もなくドイツのガイドブックを借りてうっとり眺めていたことさえあるほどです(笑)

そんな私が思うのは、<日本人作家がドイツを舞台に書いた小説って意外と少ない>ということです。アメリカやフランス、中国などを舞台にした小説は色々ありますが、ドイツとなると、帚木蓬生さんの『ヒトラーの防具』、皆川博子さんの『死の泉』くらいしか知りませんでした。ですので、この作品の存在を知った時は嬉しかったです。深緑野分さん『ベルリンは晴れているか』です。

 

こんな人におすすめ

第二次世界大戦後のドイツを舞台にした小説が読みたい人

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「すみれ屋敷の罪人」 降田天

子どもの頃、友達とよくごっこ遊びをしました。お母さんごっこ、学校ごっこ、レストランごっこ、スパイごっこ・・・お嬢様ごっこもその一つ。この場合の<お嬢様>は、現代でなく戦前の設定であることが多く、「お姉様、舞踏会のドレスはどうしましょう?」「馬車の用意ができましたわ」などと言い合っていたものです。子ども心に、古き良き時代の香りを楽しんでいたのかもしれません。

ドラマを作りやすいからか、そういう時代の上流階級はよく小説でも取り上げられます。太宰治の『斜陽』や三島由紀夫の『豊饒の海』など、読むと自然と言葉使いが「~かしら?」「〇〇だわ」なんてちょっと改まった風に変化していたっけ。この二つは教科書に載ってもおかしくないほど有名なので、今回は別の作品をご紹介します。降田天さん『すみれ屋敷の罪人』です。

 

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戦中戦後の名家が出てくるミステリーが読みたい人

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「偽りの森」 花房観音

私が初めて京都を訪れたのは、高校の修学旅行の時です。あまり滞在時間が長くなかったため、清水寺や三十三間堂といった有名な観光地を数カ所回っただけですが、凛とした情緒溢れる佇まいが強く心に残りました。東京や大阪とはどこか違う雅やかな雰囲気、それこそが京都の魅力だと思います。

あの独特の雰囲気のせいか、京都を舞台にした小説は繊細さと濃厚さ、両方を併せ持つものが多い気がします。『源氏物語』などまさにその代表格ですし、映画化もされた渡辺淳一さんの『愛の流刑地』、サスペンスホラーの金字塔である貴志祐介さんの『黒い家』等々、ねっとりとした人間模様が迫ってくるような作品ばかりです。というわけで今回は、京都を舞台に濃密な愛憎劇が展開される小説をご紹介します。花房観音さん『偽りの森』です。

 

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京都を舞台にしたドロドロの人間模様に興味がある人

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「中島ハルコはまだ懲りてない!」 林真理子

悩みを抱えた時の一番スタンダードな解決方法は、「誰かに相談する」だと思います。ネットで調べる・占いに頼る・趣味に没頭して気を紛らわせる、などの方法もありますが、これだと正確性に欠けたり、根本的な問題解決にならなかったりしますよね。信頼できる誰かと向き合い、悩みを打ち明ければ、たとえ解決策が見つからなくても気持ちが軽くなるものです。

となると次なる問題は「相談相手として誰を選ぶか」ということです。両親や配偶者など、確実に頼れる身内がいる人はいいでしょう。ですが、そういった身内を持たない人もいますし、場合によってはその身内が悩みの種だったりするケースもあります。恋人や友達にしたって、性格や能力その他諸々によっては、「好きだけど、的確な助言をくれる相手ではない」ということだってあり得ます。でも、この人が知人ならば、悩み相談する相手を迷わずに済むんじゃないでしょうか。林真理子さん『中島ハルコはまだ懲りてない!』に登場する中島ハルコです。

 

こんな人におすすめ

コミカルで痛快な人間模様が読みたい人

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「中島ハルコの恋愛相談室」 林真理子

読む本を選ぶ上で、あまり関係ないように見えて実はすごく重要な要素、それは「表紙」です。表紙によって物語の質が変わることはありませんが、魅力的な表紙の本は人の目を引き寄せるもの。「表紙につられて手に取ってみたら、予想以上に面白かった!」ということだってあるでしょう。

かくいう私自身、表紙に惹かれて本を選んだ経験は数えきれないほどあります。中でも、恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』、近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』、村山由佳さんの『野生の風 WILD WIND』の表紙は、その作家さんにはまるきっかけとなったこともあり、今もはっきりと覚えています。そう言えば、この作品の表紙もけっこうインパクトありますね。林真理子さん『中島ハルコの恋愛相談室』です。

 

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すっきり爽快なエンタメ小説が読みたい人

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「女優」 春口裕子

誰しも「こういう人間になりたい」という理想があると思います。依存心が強く運動神経ゼロの私の理想は、男性顔負けの戦闘をもこなす強い女性。映画『バイオ・ハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチなんて、まさに理想そのものでした。

映画のキャラクターなどは難しいにしても、理想に向けて邁進する人は素敵です。努力する姿は美しく、周囲の尊敬を集めることでしょう。ですが、あまりに「理想」を追い求めるあまり、「本当の自分」が押し潰されてしまったら・・・?それはもう妄執としか言えないのではないでしょうか。この本を読んで、そんなことを考えました。春口裕子さん『女優』です。

 

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女性の嫌な面を扱ったサスペンス小説が読みたい人

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「女王はかえらない」 降田天

スクールカースト。読んで字のごとく、学校内における人気順位をカースト制度になぞられた言葉です。上位に位置する者ほど発言権が強く、下位の者はクラスの日陰者、どころか下手すればいじめの対象にもなりえます。私の学生時代にも似たような上下関係はありましたが、当時はネットなどがそれほど普及していなかった分、少なくとも校外には逃げ場がありました。今はSNSなどを使えば、最悪の場合、全世界に悪口をばらまかれる可能性もあるわけですから、つくづく怖いなと思います。

言葉自体が定着したのは割と最近なような気がしますが、スクールカーストを扱った小説は昔からありました。山田詠美さんの『風葬の教室』など一九八八年の作品ですし、二〇〇三年に芥川賞を受賞した綿谷りささんの『蹴りたい背中』も学校内での人間模様がテーマです。最近では、映画版も話題になった朝井リョウさんの『桐島、部活やめるってよ』などが有名ですね。今回は、私が読んだスクールカーストものの中でもトップ3に入るほど陰惨な作品を紹介します。降田天さん『女王はかえらない』です。

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