「雷親父」という言葉は、今や死語になりつつあります。雷のように大声で怒鳴る、何かと口やかましい親父のことですが、今のご時世では迂闊に怒鳴り声を上げると一歩間違えれば警察沙汰。『サザエさん』に登場する波平さんのような雷親父は生きにくい社会なのでしょう。
ですが、私には雷親父が不要な存在だとは思えません。筋を通し、節度を重んじ、若者を教え導く気骨ある老人は、絶対に必要なのだと思います。今回取り上げるのは中山七里さんの『秋山善吉工務店』。このおじいちゃん、かなり素敵ですよ。
「雷親父」という言葉は、今や死語になりつつあります。雷のように大声で怒鳴る、何かと口やかましい親父のことですが、今のご時世では迂闊に怒鳴り声を上げると一歩間違えれば警察沙汰。『サザエさん』に登場する波平さんのような雷親父は生きにくい社会なのでしょう。
ですが、私には雷親父が不要な存在だとは思えません。筋を通し、節度を重んじ、若者を教え導く気骨ある老人は、絶対に必要なのだと思います。今回取り上げるのは中山七里さんの『秋山善吉工務店』。このおじいちゃん、かなり素敵ですよ。
いじめ、体罰、スクールカースト、試験勉強etc。学校には様々な問題が山積みです。私自身、特に中学校では、人間関係のいざこざで苦労した記憶があります。誰かがこの問題を解決し、穏やかな学校生活を送らせてくれないものかと、他力本願なことを考えたりもしました。
もしも本当にそんな存在がいたとしたら、学校はより良い場所になるのでしょうか。そんな「もしも」を描いた作品を読みました。薬丸岳さんの『ガーディアン』です。
私は子どもの頃、夏休みや冬休みになると、飛行機で祖父母の家に遊びに行っていました。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんと遊ぶのはもちろん楽しみでしたが、それと同じくらい、飛行機に乗ることも嬉しくて仕方なかったものです。電車やバスのように毎日乗れる乗り物とは違って、飛行機には何となく特別な雰囲気を感じていたんだと思います。
海を越えた土地同士を繋ぎ、ひとたび離陸すれば巨大な密室と化す飛行機。ミステリーの設定として、これほど魅力的なものはそうないのではないでしょうか。今回ご紹介するのは秋吉理香子さんの『機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト』。空の旅を味わっている気分に浸れますよ。
「お遍路」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。弘法大師の足跡を辿って四国八十八カ所を巡ることで、功徳を積むために行われます。一昔前は徒歩で巡るしか移動手段がありませんでしたが、今は車やバスツアーでの移動もあるようですね。
お遍路に関する小説は色々ありますが、私が真っ先に思い浮かべるのは松本清張の『砂の器』。故郷を追われた親子が遍路する姿が印象的でした。この場面の印象があまりに強いからか、私はお遍路という言葉を聞くと、暗く悲しいものを連想してしまいます。ですが、最近読んだ小説の影響で、少し印象が変わってきました。柚月裕子さんの『慈雨』です。
数年前から「終活」という言葉をよく見聞きするようになりました。文字通り「人生の終わりのための活動」のことで、葬儀や財産分与に関する準備をしておいたり、身の回りのものを片付けておいたりするようですね。少子高齢化が進む現代社会においては、とても重要な意味を持つ活動だと思います。
終活をテーマにしたフィクション作品といえば、ジャック・ニコルソンとモーガンフリーマンが出演した『最高の人生の見つけ方』、アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『おくりびと』、伊丹十三の監督デビュー作である『お葬式』など、映画が多い気がします。小説ではないのかな・・・と思っていたら、面白いものを見つけました。芦沢央さんの『雨利終活写真館』です。
番外編、アナザーストーリー、スピンオフetc。いずれも物語の裏話や脇役にスポットライトを当てた話を指す言葉です。あの話の裏側ではどんな物語が繰り広げられていたのか。あの時現れたあの人は、その後一体どうなったのか。そんな素朴な疑問を解き明かすことができ、とても面白いですね。
当ブログでも取り上げた『七月に流れる花』には、姉妹編となる作品が存在します。『七月に~』で残されていた謎は、この本の中で完全に解き明かされました。恩田陸さんの『八月は冷たい城』です。
我が家の近所にある図書館は、児童書コーナーがなかなか充実しています。子ども向けの小説や図鑑、伝記など、様々なジャンルの本が揃っていますし、乳幼児向けの絵本のラインナップも豊富。私もよくうろついていますが、面白そうな本が多すぎてどれを借りようか悩むほどです。
「子ども向け」と銘打っておきながら、大人が読んでも面白い作品はたくさんありますよね。今回ご紹介するのは、講談社が児童書として発行した書籍レーベル「講談社ミステリーランド」の中の一冊です。恩田陸さん『七月に流れる花』です。
私は生まれてこの方根っからのインドア派。昔から体育は大の苦手で、運動会やマラソン大会は早く終わってくれるよう祈っていました。だからこそ、アスリートを描いた小説は大好き。自分とは縁のない世界な分、無条件に憧れてしまいます。
スポーツ界を舞台にした小説と言えば、箱根駅伝がテーマの三浦しをんさん『風が強く吹いている』、ダイビングに打ち込む少年が主役の森絵都さん『DIVE!!』、高校ボクシング部の青春模様を描く百田尚樹さん『ボックス!』など、面白い作品がたくさんあります。今回は、障がい者スポーツを扱った小説を紹介します。中山七里さん『翼がなくても』です。
フィクションの世界にはよくマスコミが登場します。マスコミ側が主役の時もあれば、主役と対峙する敵役として登場することもありますね。主役の時は巨悪を追いかける一匹狼、敵役の時は人の私生活を土足で踏み荒らす卑劣漢のような描かれ方をすることが多い気がします。
あらゆる意味で、マスコミには世間を騒がせる力があります。その力が正しく使われれば良いのですが、悪い方向に使われれば、取り返しのつかない悲劇を招いてしまうことも・・・・・今日は、マスコミの在り方について考えさせられる作品を紹介します。中山七里さんの『セイレーンの懺悔』です。
小説でもドラマでも映画でも「こういうの大好き!」というシチュエーションってあると思います。たとえば「住む世界の違う二人が偶然出会って恋に落ちる」とか「突如襲来したモンスターに名もなき一般市民が立ち向かう」とか。設定が好みだと、物語の面白さがグンと増しますよね。
私の場合、「子ども時代の出来事を大人になって振り返る」というシチュエーションが大好きです。映画化もされた『スタンド・バイ・ミー』のように、ノスタルジックな雰囲気が好きなんですよ。さらにイヤミス好きとしては、そこに謎解き要素が加われば言うことありません。そんな私の欲求を満たす一冊を見つけました。二〇一六年に第三回新潮ミステリー大賞を受賞した生馬直樹さんの『夏をなくした少年たち』です。