人間が一番無防備になる時、それは肌を見せる瞬間だと思います。それゆえ、基本的に着替えは人目につかない場所で行うものですし、捕虜やスパイに対する精神的拷問として、裸で行動させるというものもあるのだとか。すべての服を取り払って裸になるという行為は、それだけ禁忌だという意識が強いのでしょう。
しかし、時に人は、わざわざお金を払ってまで人前に肌を晒すことがあります。それは、エステサロンに行く時です。場合によっては全裸になってマッサージや脱毛処理をしてもらうわけですから、理解できない人にとってはもはや苦行の域かもしれません。ですが、そのために大枚をはたく人達がいることもまた事実。今回取り上げるのは、エステを舞台に繰り広げられる人間の欲望劇を描いた作品です。永井するみさんの『ビネツ』です。
こんな人におすすめ
美容業界での愛憎劇に興味がある人

ひと頃、学園ものにハマっていた時期がありました。成長過程にある少年少女の人間模様とか、学校特有の閉塞感とか、子どもであるが故の残酷さとか、もう大・大・大好物。小学生や大学生メインでも面白い作品はたくさんありましたが、一番読み漁ったのは中学生・高校生が主役になる小説です。この世代の、子ども一辺倒ではないけれど大人にもなりきれていないアンバランスさが、物語を盛り上げるのに一役買っていた気がします。
世界各国には様々な童話があります。勧善懲悪のヒーロー話からおどろおどろしい怪異譚、くすりと笑えるほのぼのストーリーまで、その作風は千差万別。物語として面白いだけでなく、現代にも通じる教訓や風刺が込められているものも多く、大人になってから読んでも楽しめます。
古今東西、数多く存在する<心中>の形の中で、<ネット心中>の異質さは際立っています。そもそも<心中>とは、引き裂かれそうな恋人同士があの世で結ばれることを願ってとか、家族が生活苦から逃れるためとか、そこに何らかの個人的な感情が絡むもの。一方、ネット心中の場合、縁もゆかりもない人間達が「一人で死ぬのは嫌だから」という動機で集まり、一緒に死ぬもの。当然、お互いに対する深い愛憎はありません。インターネットが発達し、何の接点もない人間同士が簡単にコミュニケーションを取れるようになったからこそ現れた心中方法です。
<精神病院>とは、文字通り、精神の病気を治療するための病院です。当然ながら世界各国に精神病院は存在しているわけですが、日本の精神医療の場合、諸外国と比較すると大きな特徴があります。それは、入院期間の長さ。日本は先進国の中でも精神疾患に対する偏見が強く、一度入院してしまうと社会復帰させるための環境がなかなか整わないため、必然的に入院期間が長期化するのだとか。場合によっては三十年以上に渡って入院生活を続けることもあるそうです。
<シリアルキラー>という言葉が使われ出したのは、一九八四年、捜査関係者がアメリカの連続殺人鬼テッド・バンディを指して言ったことが始まりだそうです。意味は、何らかの心理的欲求のもと、長期間に渡って殺人を繰り返す連続殺人犯のこと。<serial=続きの>という言葉が示す通り、複数の犠牲者を出すことがシリアルキラーの定義とされています。
<ニート>の正式名称をご存知でしょうか。<Not in Education,Employment or Training>の略称で、勉強することも就労することも職業訓練を受けることもない者を指します。年齢は、一般的には十五歳から三十四歳までと定義されているとのこと。「五体満足な人間が、教育や勤労の義務も果たさずだらだらしているなんて」と、世間の厳しい目に晒されることが多い立場です。
別作品のレビューで、「小説には、主役にしやすい職業がある」と書きました。ミステリーなら刑事や法曹関係者、ジャーナリスト。経済小説なら銀行員や証券マン。では時代小説はというと、ダントツ一位とまではいかずとも、上位三位に確実に入るのが<岡っ引き>だと思います。これは奉行所の役人などの手足となって働いた協力者のことで、主な役目は情報収集。正式な役職ではなく無給のため、自身あるいは妻が本業を持っているケースが大半だったとのこと。大勢の人間と接触して調査活動を行うという役目の性質上、事件と絡めやすいですし、登場人物も膨らませられるので、時代小説では重要なポジションを担うことが多いです。
皆様、明けましておめでとうございます。無事に2021年を迎えた当ブログですが、残念ながら、世界的に見ると幸せ一杯の新年というわけにはいきません。コロナウィルスは今なお猛威を振るい続けており、医療従事者やサービス業者など、この災厄で心身共に疲弊した人々の数は天井知らず。医者でも研究者でもない私にウィルスの駆除方法など分かりませんが、三密を避け、手洗いうがいを心がけ、一日も早い騒動の収束を願うばかりです。
大人はしばしばこういう言葉を口にします。「子どもはいいな。何の悩みもなくて」。確かに、必死で生活費を稼いだり、育児や介護に追われたりする大人からすれば、子どもはいつも屈託なく無邪気に見えるかもしれません。というか、そうあって欲しいというのが、大人の本音なのでしょう。