大人はしばしばこういう言葉を口にします。「子どもはいいな。何の悩みもなくて」。確かに、必死で生活費を稼いだり、育児や介護に追われたりする大人からすれば、子どもはいつも屈託なく無邪気に見えるかもしれません。というか、そうあって欲しいというのが、大人の本音なのでしょう。
当たり前の話ですが、子どもに悩みがないなどというのは間違いです。世界中には、稼ぎ手として必死に働かなければならない子どもが大勢います。まがりなりにも平和で豊かとされている日本にも、虐待や貧困、いじめなどに苦しむ子どもの数は数えきれません。それに、授業や習い事、学校行事に関するあれこれだって、子どもにとっては大きな悩み事になり得ます。そんな子ども達が抱える痛みと苦しみについて、この作品を読んで考えてしまいました。芦沢央さんの『僕の神さま』です。
こんな人におすすめ
子ども目線の切ないミステリーが読みたい人