かなりのホラー好きを自認する私が最初にハマったホラー作品は、ゲーム『バイオハザード』でした。幽霊でも妖怪でもなく、ウィルスのせいで巻き起こる阿鼻叫喚の数々がものすごく新鮮で、すっかり夢中になったものです。賛否両論あるようですが、映画版も結構好きなんですよ。
思えば『バイオハザード』以降、<バイオホラー>というジャンルが世間に広く知れ渡った気がします。これは生物技術が絡んだホラー作品のことで、ウィルス、細胞、未知の生命体といった要素がテーマとなることが多いです。心霊はあまり登場せず、科学や物理が通用する敵がメインな分、派手なアクションが繰り広げられることもしばしばですね。先日読んだ作品もそうでした。知念実希人さんの『ヨモツイクサ』です。
こんな人におすすめ
・バイオホラー作品が好きな人
・アイヌ文化に興味がある人
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探偵に向いている資質とは、一体どんなものでしょうか。調査対象をどこまでも追跡できる体力?些細な異変を見逃さない観察力?怪しまれずに周囲に溶け込める社交性?どれも必要でしょうが、一番大事なのは、何があっても動じずに調査を続けるしぶとさだと思います。
古今東西、小説の中で探偵役を務める登場人物達は皆、並々ならぬしぶとさを持っていました。有栖川有栖さんの『作家アリスシリーズ』に登場する火村英生は、銃を突きつけられても犯人追及の手を緩めないし、柴田よしきさんの『花咲慎一郎シリーズ』の花咲慎一郎は、暴力団幹部に命を握られながらも問題解決のため奔走します。それから、しぶとい探偵といえばこの人を忘れちゃいけません。若竹七海さんの『葉村晶シリーズ』に登場する葉村晶。今回取り上げるのは、シリーズ第二弾『依頼人は死んだ』です。
こんな人におすすめ
・皮肉の効いたミステリー短編集が好きな人
・女性探偵の物語に興味がある人
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シリーズ作品には<三作目の壁>というものがあるそうです。物語の始まりである一作目が面白いのは、ある意味、当然。その勢いに乗れば、二作目も高水準を維持できる。問題は三作目で、ここで失速し、評価を落としてしまう作品もしばしばあるとのこと。逆に、この壁を乗り越えれば、レベルの高い人気シリーズになることが多いそうです。
実際、人気のある小説シリーズは、総じて三作目のレベルが高い気がします。綾辻行人さんの『館シリーズ』三作目の『迷路館の殺人』や、東野圭吾さん『ガリレオシリーズ』三作目の『容疑者Xの献身』は、シリーズ中でもお気に入りの作品です。個人的に、この作品も壁を突破していると思います。今邑彩さん『蛇神シリーズ』の三作目『双頭の蛇』です。
こんな人におすすめ
・因習が絡む土着ホラーが好きな人
・『蛇神シリーズ』のファン
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<グロテスク>というのは、元々は異様な人間や動植物に曲線模様をあしらった美術様式を指すのだそうです。語源はイタリア語の<洞窟>で、暴君として名高いローマ皇帝ネロが造った宮殿群を意味するとのこと。これが転じ、<不気味>とか<異様>とかいう意味で使われるようになりました。
現代、小説の世界で<グロテスク>という言葉が使われる場合、生理的嫌悪感を抱かせる、残酷かつ奇怪な作風であることが多いです。血が噴き出し内臓飛び出るスプラッターな内容になることもしばしばなので、けっこう人を選ぶジャンルですよね。かくいう私も得意な方ではありませんが、物語として面白いなら話は別。そして、国内グロ小説としては、これがトップクラスの完成度ではないでしょうか。綾辻行人さんの『殺人鬼-――覚醒篇』です。
こんな人におすすめ
・叙述トリックが仕掛けられたホラーミステリー小説が好きな人
・残酷描写に抵抗がない人
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調査によると、初恋の平均年齢は男性が十一歳で女性が九歳、初めて恋人ができたのは男女共に十六歳が平均だそうです。初めて人に恋愛感情を抱き、その人のことを思って一喜一憂したり、デートの約束に浮かれたりする・・・そんな初々しい恋心は、本人達だけでなく、見ている周囲の人間をも温かな気持ちにさせてくれるものです。
ですが、イヤミスやホラーの世界となると話は別。若く未熟であるがゆえの幼稚さ、周囲の事情が見えない軽率さが強調され、とんでもない悲劇が引き起こされることも少なくありません。そんな狂気とも言える恋心を描かせたら、この作家さんは本当に上手いですね。今回は、新津きよみさんの『婚約者』をご紹介したいと思います。
こんな人におすすめ
女性の狂気を描いたホラーサスペンスが読みたい人
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<血は水よりも濃し>ということわざがあるように、古来より、血縁関係のある家族は固い絆で結ばれていると考えられてきました。実際にはそうでもないケースも多々あるのですが、「あいつとは血が繋がっているから」という理由で過ちが許されたり、恩恵を受けたりする事例が数多く存在することもまた事実。同様の考え方が欧米やアラブ地域にも存在することからも、人類がいかに血縁を重視する生き物かが分かります。
一言で<血縁>といっても親子や兄弟姉妹等、色々な関係がありますが、中でもひときわ特別扱いされるのは<母子>ではないでしょうか。何しろ、この世で唯一、物理的に肉体を共有したことがある間柄です。当然のように多くの創作物のテーマとなり、深く濃い愛憎が描かれてきました。今回取り上げる作品も、母と子の関係が下敷きになっています。澤村伊智さんの『さえづちの眼』です。
こんな人におすすめ
『比嘉姉妹シリーズ』が好きな人
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<モキュメンタリー>という手法があります。これは、フィクション作品を、実際に起こったドキュメンタリー作品のように描写するやり方のこと。ドキュメンタリーとして演出している関係上、作中で明確な謎解きや真相解明がなされないことが多く、与えられた情報から読者が考察する必要があることが特徴です。
古くから存在する手法ですが、知名度を上げたのは、アメリカ発のホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』でしょう。小説なら、長江俊和さんの『放送禁止シリーズ』は、モキュメンタリーの性質をうまく活かしたサスペンスでした。それからこれも、モキュメンタリーの名作として、長く語り継がれる作品だと思います。背筋さんの『近畿地方のある場所について』です。
こんな人におすすめ
モキュメンタリー形式のホラー小説に興味がある人
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当たり前の話ですが、図書館で本を予約した場合、その本がいつ手元に届くか事前には分かりません。特に予約者が大勢いるような人気作となると、順番が回ってくるタイミングは予測不可能。時には、予約本が複数まとめて届いてしまい、返却日を気にしつつ大慌てで読む羽目に陥ったりします。人気作は図書館側の購入冊数も多いため、意外とさくさく順番が進むのかもしれませんね。
逆に、待てども暮らせども予約本が一冊も届かないこともままあります。なぜか「今なら大長編だろうと読む余裕あるのに!」という時に限って、どの本も全然順番が回ってこなかったりするんですよ。最近、そういう状況が続いてモチベーション下がり気味だったので、この本が届いた時は嬉しかったです。近藤史恵さんの『ホテル・カイザリン』です。
こんな人におすすめ
イヤミス多めの短編集が読みたい人
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有難いことに、実家には今なお私の部屋が残っています。昔、私が使っていた日用品の類も、状態の良い物はそのまま保管してくれています。実家を離れてずいぶん経つのに、まだ部屋を残してもらえるなんて、少し照れくさくも嬉しいものです。
そんな私の帰省中のお楽しみ。それは、実家の部屋に並んでいる本を読み返すことです。何度も何度も繰り返し読んだ作品ばかりで、別に目新しいわけではありませんが、読むたびにちゃんと面白いのだから不思議ですね。前回の帰省時には、この作品を再読しました。唯川恵さんの『息がとまるほど』です。
こんな人におすすめ
背筋がゾクッとするような恋愛短編小説集に興味がある人
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短いながらも読者を本の世界にどっぷり浸らせてくれるショートショート、大好きです。特に社会人になってからは、学生時代ほど長く読書時間が確保できないため、長編小説だと途中で読むことを中断せざるを得ないこともしばしば・・・作品によっては、物語の途中から読書を再開すると「あれ、この人誰だっけ?」「なんでこの二人はいがみ合ってるの?」等々、内容を把握するのに時間がかかることもあります。その点、ショートショートなら一話をすぐ読み終われるので安心ですね。
そんなショートショートには、他の長編や短編作品同様、様々なジャンルがあります。どんなジャンルが好きかは人それぞれでしょうが、個人的にはミステリーやホラーが好みです。短い分量でゾクッとさせられる感覚が堪らないんですよ。思えばショートショートの神様・星新一さんの作品も、皮肉たっぷりでブラックな雰囲気のものが多いです。今日取り上げるのも、残暑を吹き飛ばすほどの寒気を味わえるショートショート集です。澤村伊智さんの『一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集』です。
こんな人におすすめ
ホラー小説のショートショート集が読みたい人
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