はいくる

「結婚詐欺師」 乃南アサ

保険金詐欺に催眠商法、振り込め詐欺に寸借詐欺・・・この世には、たくさんの詐欺が存在します。人を騙して金品を奪い、損害を与える憎むべき犯罪行為です。そして、どれだけ世が移り変わろうと、決してなくならない犯罪でもあります。

一体なぜ人は詐欺師に騙されるのか。詐欺師はいかにして人の心を欺くのか。今日は、結婚詐欺について取り上げられた本を紹介しようと思います。直木賞受賞作家、乃南アサさん「結婚詐欺師」 です。

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様々な立場と名前を使い分け、平凡に生きる女たちを騙し続ける結婚詐欺師。主人公である刑事は、結婚詐欺師を追う捜査の中で、かつて愛し合った女が詐欺師のターゲットにされていることを知る。洗練された立ち居振る舞いで世間を欺く詐欺師は、今回も逃げおおせてしまうのか。女性たちは、なぜ詐欺師に人生のすべてを捧げてしまうのか。刑事と詐欺師、二人の視点を通し、現代を生きる男女の心の隙間を描いた傑作サスペンス。

 

本作が一九九六年、今から二十年前に書かれた作品だという事実にまずびっくり。時代は違えど、登場人物たちの孤独や迷いは、今と少しも変わりません。当たり前の話ですが、人の心というものは、今も昔も同じものなのだなと思いました。

 

作品の中心となる人物は二人、刑事である主人公と、主人公に追われる結婚詐欺師です。主人公は公僕として懸命に働いていますが、不規則な仕事の性質上、家庭では子どもとコミュニケーションが取れず、妻と口論になることもしばしばです。一方、結婚詐欺師は紛れもなく犯罪者で、たくさんの女性を騙し金を奪う反面、彼女たちに一時の幸福感を与えています。

 

この二人の対比は巧妙の一言。特に結婚詐欺師に関しては、その騙しのテクニックのあまりの見事さに、「彼女たちも騙されている間は幸せだっただろうな」と思ってしまいます。真面目に生きているのに私生活に隙間風が吹く主人公と、人を騙しながらも確実に相手を(一旦は)幸せにする詐欺師。対照的な生き方の描写に引き込まれました。

 

ここまでなら単なる犯罪小説なのですが、主人公の元恋人が詐欺師の次なる標的になったことで、物語は一気に加速します。犯罪の証拠がない以上、元恋人が詐欺師の毒牙にかかりかけていると知っても、刑事である主人公は彼女に忠告してあげることができません。職務と感情の狭間で葛藤する主人公が、果たしてどんな行動を取るか。それは、ぜひ読んで確かめてください。

 

詐欺師のテクニックに騙されそうになる度★★★★☆

多忙なお父さんも辛いよね度★★★☆☆

 

こんな人におすすめ

・男の女の複雑な心理に興味がある人

・詐欺を扱った作品が好きな人

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