真梨幸子

はいくる

「まりも日記」 真梨幸子

ペットを飼うことは、ここで書ききれないほどの幸せをもたらしてくれます。毎日同じ屋根の下で寝起きし、食事をし、一緒に遊んだり、気まぐれに振り回されたり、甘えておねだりされたり・・・・・こんな風に家族として過ごしていれば、ペットの死により心を病む人がいるというのも頷けます。

ですが、ペットがもたらすのは喜びばかりではありません。どんな物事もそうであるように、辛いこと、大変なことも山ほどあります。体力的な辛さとか、精神的なプレッシャーとか、色々ありますが、突き詰めていけば最終的にお金の問題になるのではないでしょうか。動物を飼うためにはふさわしい住環境や餌を準備しなくてはなりませんし、病気や怪我をするたび、高額の医療費がかかります。こうやって列挙しただけでは苦労が分かりにくいかもしれませんが、この本を読めば少しはイメージが湧くかも・・・・・真梨幸子さん『まりも日記』です。

 

こんな人におすすめ

猫を絡めたイヤミスが読みたい人

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「フシギ」 真梨幸子

<不思議>という言葉を辞書で引いてみると、「そうであることの原因がよく分からず、なぜだろうと考えさせられること。その事柄」とあります。この「原因がよく分からない」というところが最大のポイント。<怖い小説>や<ハラハラさせられる小説>の場合、大抵はその原因が作中で判明しますが、<不思議な小説>はその限りではありません。登場人物にも読者にも、事態の真相や全容が分からないまま終わることだってあり得ます。

不思議な小説の代表格として真っ先に挙がるのは、やはりルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』でしょう。主人公アリスの夢オチなだけあって、作中の出来事は因果関係も物理法則も完全無視。ここまでではないにせよ、恩田陸さんの『いのちのパレード』や梨木香歩さんの『家守綺譚』なども不思議な魅力いっぱいの小説でした。この作品にも、読者を混乱させる不思議がたくさん詰まっていましたよ。真梨幸子さん『フシギ』です。

 

こんな人におすすめ

謎めいたホラーミステリーが読みたい人

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「縄紋」 真梨幸子

歴史上、どの時代が好きかという質問があったら、どんな答えが集まるでしょうか。有名な英傑が大勢登場する戦国時代や幕末、陰陽師を扱った作品によく取り上げられる平安時代、文化面で大きな発展があった江戸時代などが挙がりやすい気がします。

その一方、名前が挙がりにくい時代もあると思います。縄文時代なんて、その筆頭格。あまりに昔すぎて、<坂本龍馬>とか<関ヶ原の戦い>とかいった超ド級のインパクトある偉人や出来事が確認できないことが一因でしょう。そのせいか、縄文時代がテーマの小説も少なめで、私はこれまで荻原浩さんの『二千七百の夏と冬』くらいしか知りませんでした。他にはないのかな・・・と思っていたら、先日、予想外の形で縄文時代が出てくる作品を見つけました。真梨幸子さん『縄紋』です。

 

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縄文時代が絡んだイヤミスが読みたい人

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「坂の上の赤い屋根」 真梨幸子

今、人類は一丸となってコロナウィルスと戦っています。世界各国ではロックダウンの措置が講じられ、オリンピックは延期となり、日本でも非常事態宣言の発令や衛生用品の買い占めなど、平時では考えられなかった事態が次々起こっています。毎日ニュースを見るたび、ウィルスの恐ろしさを実感するとともに、不眠不休で働いてくれている医療従事者や物流業界の方々に頭が下がる思いです。

ですが、嬉しい知らせを聞くこともあります。国内の感染者数は今のところ減少傾向にありますし、非常事態宣言は解除され、以前の日常が戻りつつあると感じる機会も増えました。もちろん、まだまだ油断は禁物ですが、一時の酷い状況を思えば、いい傾向と見ていいでしょう。本好きの私としては、ずっと休館中だった図書館でまた本が借りられるようになったことが嬉しいです。特にこの本は発売前からチェックしていたこともあり、受け取った時は思わずガッツポーズしてしまいました。真梨幸子さん『坂の上の赤い屋根』です。

 

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猟奇殺人事件をめぐるイヤミスが読みたい人

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「三匹の子豚」 真梨幸子

桃太郎、かぐや姫、シンデレラ、眠れる森の美女・・・・・世界各国には様々な童話が存在します。一見、非現実的なフィクションと思われがちですが、童話には現実世界でも通用する教訓が込められているもの。だからこそ、何百年、何千年にも渡って各地で伝わり続けてきたのでしょう。

そんな童話の初版を調べてみると、子どものトラウマになりかねないほど残酷なものが多いです。『白雪姫』の初版で、悪いお妃が焼けた鉄靴を履かされ死ぬまで踊らされるという展開など、そのいい例と言えるでしょう。上記の特性から、童話を現代風にアレンジした小説はたくさんあります。『ヘンゼルとグレーテル』『赤ずきん』『ラプンツェル』などはモチーフになりやすいので、今回は目新しい作品を取り上げたいと思います。真梨幸子さん『三匹の子豚』です。

 

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母と娘にまつわる愛憎劇が読みたい人

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「初恋さがし」 真梨幸子

ミステリーには、<主役にしやすい職業>というものがあります。高い調査能力や行動力を持ち、事件と関わる確率の高い職業の方が、物語を始めやすいですからね。たとえば刑事や弁護士、検事、ジャーナリストなどなど。探偵もその一つです。

日本の名探偵といえば金田一耕助や明智小五郎などが有名ですが、現代日本において探偵が堂々と大事件に関わる機会はそうそうありません。現代では<探偵事務所>や<興信所>の職員が、人探しや素行調査を行う過程で事件と関わるというパターンが多いです。加納朋子さんの『アリスシリーズ』、柴田よしきさんの『花咲慎一郎シリーズ』などがそうですね。今回ご紹介する小説もその一つ。真梨幸子さん『初恋さがし』です。

 

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テンポの良いイヤミスが読みたい人

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「ツキマトウ  警視庁ストーカー対策室ゼロ係」 真梨幸子

映画『羊たちの沈黙』を初めて見た時の衝撃は、今でもよく覚えています。ヒロイン役のジョディ・フォスターの演技やスリリングなストーリー展開、手に汗握るクライマックスなど見所はたくさんありますが、何と言っても一番インパクトがあるのはアンソニー・ホプキンス演じるレクター博士の存在感でしょう。残虐な猟奇殺人を犯しておきながら人並み外れた知能を持ち、収監されているにも関わらず警察から捜査協力を求められるほどの天才犯罪者。その紳士的でありながら凶悪なキャラクターは、現在に至るまで多くの観客を魅了し続けています。

現実でこんなことがあるのかどうかは分かりませんが、「犯罪者が獄中から捜査協力する」というシチュエーションはなかなか面白いです。視覚的に映えるからか映画やドラマではよくあるんですが、小説ではあまりないな・・・と思っていたら、最近読んだ小説がまさにそういう設定でした。真梨幸子さん『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係』です。

 

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ストーカー犯罪を扱ったイヤミスが読みたい人

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「向こう側の、ヨーコ」 真梨幸子

SF作品の中では、しばしば「パラレルワールド」という言葉が登場します。この世界と並行して存在する別の世界のことで、A世界で死んだ人間がB世界では生存していたり、C世界では敵同士だった人間がD世界では恋人同士だったりと、無限のパターンがあります。現実離れした考えと思われがちですが、実は物理学の世界でも存在が議論されるテーマだそうですね。

「もしあの時、違う選択肢を選んでいたら」・・・そんなifの世界を描くことができる特性上、パラレルワールドを扱った作品はSF分野に偏りがちです。ちなみに私が見た最初のパラレルワールド作品は、アニメ映画『ドラえもん のび太の魔界大冒険』。子ども向けアニメとは思えないくらい練られた世界観と緻密な伏線の張り方が印象的な名作でした。SF方面のパラレルワールド作品は山のようにあるので、今回はちょっと毛色の違う「もう一つの世界」を描いた小説をご紹介します。真梨幸子さん『向こう側の、ヨーコ』です。

 

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中年女性の愛憎ミステリーに興味がある人

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「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで」 真梨幸子

昔、友達と「もし大金持ちだったら言ってみたい台詞」を考える遊びをしたことがあります。私が考えたのは、(1)「端から端まで全部頂くわ」(2)「映画監督のAさん?いい方よ。レマン湖畔の乗馬倶楽部でよくご一緒するの」(3)「〇〇って最近流行っているみたいね。うちの外商さんに取り寄せてもらおうかしら」でした。三つのうち、(1)は店を選べば(駄菓子屋とか)実現可能、(2)は今生では恐らく無理なので来世に期待、(3)はかなり難しいけど(2)に比べればまだ可能性あるかも・・・というところでしょうか。友達の間では、この外商ネタが一番共感してもらえました。

先日読んだ小説によると、そもそも外商とは呉服屋の御用聞き制度が元になっており、顧客の生活すべてをサポート、必要とあらば悩み相談にも応じるコンパニオン的存在だったんだとか。確かに百貨店ならば衣食住すべてに関わる商品を扱っていますし、その商品を顧客のため用意する外商は、「暮らしのトータルコーディネーター」と呼べるのかもしれません。もしも、対価と引き換えにあらゆる相談事に応じてくれる外商がいれば、生活がどれほど楽になるでしょうか。真梨幸子さん『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで』には、そんな凄腕外商が登場するんです。

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「殺人鬼フジコの衝動」 真梨幸子

殺人鬼。これほど禍々しい響きを与える言葉ってそうそうないんじゃないでしょうか。「殺人」だけでも十分恐ろしいのに、その後に「鬼」が付くなんて。何より恐ろしいのは、そんな殺人鬼が現実にもしっかり存在することでしょう。

一方、フィクションの世界に登場する殺人鬼は、決して恐ろしいだけの存在ではありません。貴志祐介さん『悪の教典』の蓮見聖司然り、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』のレクター博士然り、殺人鬼たちはその残酷さを以て読者を惹きつけます。そんな小説界の殺人鬼名鑑には、彼女の名前も載せるべきでしょう。真梨幸子さん『殺人鬼フジコの衝動』に登場するフジコです。

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