ホラーの中には、<サイコロジカルホラー>というジャンルがあります。サイコロジカル(心理的)という単語が付くだけあって、人間の狂気がテーマとなっており、日本では<サイコホラー>と省略されることが多いです。モンスターが大暴れするタイプのホラーとは異なり、じわじわネチネチと精神を蝕まれるような恐怖描写が特徴です。
この手のジャンルの有名どころといえば、我孫子武丸さん『殺戮にいたる病』、貴志祐介さん『黒い家』、中山七里さん『連続殺人鬼カエル男シリーズ』などがあります。海外作品だと、『サイコ』や『ミザリー』などは映画版も有名ですね。サイコホラーにおける重要なポイントは、怨霊や呪いといったオカルト要素ではなく、生身の人間による恐怖を演出すること。その点、今日ご紹介する作品はとても秀逸だと思います。新井素子さんの『おしまいの日』です。
こんな人におすすめ
女性の静かな狂気を描いたサイコホラーに興味がある人
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ミステリーの技法の一つに<読者への挑戦>というものがあります。これは、作中の探偵役が、推理を披露する前に一旦話を止め、読者に対して「あなたには真相が分かりましたか?」と問いかけてくる形式のこと。このやり方を実施するためには、きちんと推理できるよう、読者に向けてフェアに証拠を提示する必要があります。
<読者への挑戦>で有名なのは、エラリー・クイーンの『国名シリーズ』。それに強い影響を受けた、有栖川有栖さんの『学生アリスシリーズ』。島田荘司さんの『占星術殺人事件』などがあります。どれも面白かったですが、インパクトという点では、これが一番ではないでしょうか。今回は、綾辻行人さんの『どんどん橋、落ちた』をご紹介したいと思います。
こんな人におすすめ
犯人当てを楽しめるミステリー短編集に興味がある人
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地図。その名の通り、土地の情報を記号や文字などを用いて平面上に表した図面のことです。文明の進歩に伴い、地図も進化してきましたが、原型となるものは旧石器時代から存在したのだとか。地理を視覚的に理解させ、適切な移動や情報分析を可能とする地図は、社会に必要不可欠な道具です。
現代において<地図>といえば、スマホやタブレット、パソコン上で簡単に検索でき、望めば目的地までナビしてくれる優れものですが、一昔前は違いました。必要な情報を得るため、紙の地図をじっくり眺め、ああでもないこうでもないと試行錯誤する必要があったのです。不便といえば不便なのかもしれませんが、そういう時代だからこそできる地図の使い方もあったのではないでしょうか。この小説を読んで、そんな風に思いました。今回は、雨穴さんの『変な地図』を取り上げたいと思います。
こんな人におすすめ
・閉鎖的な村が登場するミステリーが好きな人
・『変な~シリーズ』のファン
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料理というのは、意外とサスペンスと相性がいい要素です。食欲は人間の三大欲求の一つ。そして、殺意や憎悪、妄執、狂気といったサスペンスに欠かせない感情も、悲しいかな、人間と切っても切り離せません。不可欠なもの同士、しっくり馴染むのは、ある意味で当然なのかもしれませんね。
料理と絡んだミステリーやサスペンス小説といえば、一番最近読んだのは近藤史恵さんの『ときどき旅に出るカフェ』。美味しそうな料理と、居心地良さそうなカフェの情景、温かみと同時に時折ほの暗さを感じさせる人間模様の描写が秀逸でした。それから今回ご紹介する小説にも、作中に料理がたくさん登場します。秋吉理香子さんの『悪女たちのレシピ』です。
こんな人におすすめ
女性の殺意をテーマにしたサスペンスに興味がある人
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フィクション界隈において、私が好きなジャンルはホラー、イヤミス、サスペンス。昔からずっとそうで、周囲で片山恭一さん『世界の中心で、愛をさけぶ』が流行るのを横目に、私は五十嵐貴久さんの『リカ』を読んでいたものです。人目が気になって仕方ないお年頃だったので、あらすじを教えてと友達に言われ、口ごもったこともあったっけ。
とはいえ、ホラーやイヤミスの方が好みというだけで、決して恋愛小説を避けているわけではありません。有川浩さんの『植物図鑑』、辻村深月さん『傲慢と善良』、山田詠美さん『放課後の音符(キイノート)』等々、夢中になった恋愛小説もたくさんあります。中でもこれは、今でも定期的に読み返すほどお気に入りの一冊です。恩田陸さんの『ライオンハート』です。
こんな人におすすめ
SF要素のあるラブストーリーに興味がある人
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どんなジャンルもそうであるように、ミステリー作品はしばしば批判の対象となることがあります。ネタが古い、キャラクターが凡庸、内容がごっちゃになっていて分かりにくい・・・物語に唯一絶対の正解はない以上、ある程度は避けられないことなのかもしれません。
ミステリーでよくある批判内容として、<謎解きがフェアじゃない>というものがあります。読者に対して正しく情報が提示されておらず、「これで真相を見破るの無理だろ!」という場合に出てくる言葉ですね。ミステリーはホラーと違い、基本的に謎解きを楽しむものですから、それが無理となると批判したくなるのも当然。逆に言えば、ここをクリアしていれば、ミステリーとしての評価はグンと上がる傾向にある気がします。その点、今回取り上げる作品はとても満足度が高かったですよ。歌野晶午さんの『そして名探偵は生まれた』です。
こんな人におすすめ
意外性たっぷりのミステリー短編集が読みたい人
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「嘘ついたら針千本飲ます」「嘘つきは地獄で閻魔様に舌を抜かれるよ」。誰しも人生で一度や二度、こうしたフレーズを見聞きしたことがあると思います。嘘というのは、事実とは異なる言葉を言って他者を騙すことなわけですから、基本的には良くないものとされがちです。昔からある民話にも、嘘つきがひどい目に遭い、正直者が報われるというパターンは山ほどあります。
とはいえ、すべての嘘が悪いものなのか、断罪されるべきものなのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。時には誰かのためを思って嘘をつくことだってあるでしょう。一言で<嘘>といっても、そこには無数の背景や事情が存在するのです。今回は、様々な嘘が出てくる作品を取り上げたいと思います。小倉千秋さんの『嘘つきたちへ』です。
こんな人におすすめ
嘘と騙しに満ちたミステリー短編集に興味がある人
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元教師、元医者、元社長、元プロアスリート・・・現役から退いたこれらのポジションは、フィクション界隈で重要な役割を果たすことが多いです。現役時代に培った技能と経験と人脈がある一方、退職済であるがゆえに職権はない。有能さと不自由さ、両方を描写することができ、物語を盛り上げやすいことが理由のような気がします。
そんな中、ミステリーやサスペンスで一番登場率が高いのは<元刑事>ではないでしょうか。都筑道夫さんの『退職刑事』をはじめ、元刑事が活躍する小説は数えきれないほど存在します。今回取り上げる作品でも、元刑事が実にいい働きをしていましたよ。芦沢央さんの『嘘と隣人』です。
こんな人におすすめ
日常の悪意を描いた連作短編集に興味がある人
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寝ている間に見る<夢>は、とても不思議な存在です。体は寝ていて脳は覚醒している<レム睡眠>中に多く見られる現象で、時として五感を伴い、無自覚の願望や記憶が表れることもある・・・と言われているものの、正確なメカニズムは今なお不明。その神秘性から、古今東西、「夢で未来を予知した」「夢の中でお告げを受けた」等のエピソードも数えきれないほど存在します。
それだけ謎の多い現象なだけあって、多くのクリエイター達が自作のテーマとして夢を取り上げてきました。洋画『エルム街の悪夢シリーズ』には夢で殺戮を繰り広げる殺人鬼・フレディが登場しますし、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』はヒロイン・アリスが見る夢の中の物語です。夢という存在のミステリアスさは、特にファンタジーやホラーのジャンルに映えますね。今回ご紹介するのは、夢が重要な役割を果たすホラー小説、明野照葉さんの『感染夢』です。
こんな人におすすめ
夢をテーマにしたサスペンスホラーが読みたい人
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何年、下手をすると何十年も前に読んだ作品のことが、急に気になり出す。再読したくてたまらなくなる。私にはこういうことが結構あります。何かきっかけがあったわけではなく、それこそ雷に打たれたかのように、「あ、あれがまた読みたい!」となるのですけど、あれってどういう思考回路なのでしょう?
こういう場合、一番困るのは、あまりに昔に読んだ作品だと作者名やタイトルが分からないケースがままあることです。あらすじをひたすらインターネットで検索しまくり、それらしい作品を見つけては、あれでもないこれでもないと悩むこともしばしば・・・今回取り上げる作品も、該当作を見つけるまでしばらくかかりました。赤川次郎さんの『遅刻して来た幽霊』です。
こんな人におすすめ
現実味あるサスペンス短編集が読みたい人
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