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「怪奇博物館」 赤川次郎

私は自他共に認めるホラー作品大好き人間ですが、そんな私をしても、ホラーというジャンルは人を選ぶと思います。<horror(恐怖)>という言葉が示す通り、恐怖現象を見聞きして楽しむことが目的なわけですが、「怖い思いをして楽しむなんてできっこないじゃん」という人は大勢いるでしょう。ジャンルの性質上、時に血飛沫が飛び内臓がまき散らされる・・・なんていう状況になり得ることも、人を選ぶ原因の一つかもしれません。

ですが、だからといってホラー作品すべてを忌避するのは早計というもの。櫛木理宇さんの『ホーンテッド・キャンパスシリーズ』や瀬川ことびさんの『お葬式』のように、どことなくユーモアがある上に読後感も悪くないホラー小説はたくさんあります。今回取り上げるのも、そんな軽妙なホラー小説です。赤川次郎さん『怪奇博物館』です。

 

こんな人におすすめ

ライトで読みやすいホラー短編集が読みたい人

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「死霊の跫」 雨宮町子

ホラー作品の<怖い>と思いポイントは人それぞれです。恐ろしい化け物が登場するとか、登場人物の誰一人として助からないとか、読者によって恐怖ポイントがあるでしょう。もちろん、私にも色々ありますが、その中の一つは<身近なところから物語が始まる>というものです。<スペースシャトル内で宇宙飛行士達が体験する恐怖>とか言われても状況が想像しにくいですが、私と似たような生活を送っている登場人物なら、場面を思い浮かべるのは容易。「こんなことが本当に起きたらどうしよう・・・」と、恐怖感がより高まります。

身近なシチュエーションから始まるホラー小説と言えば、やはり鈴木光司さんの『リング』は外せないでしょう。呪いのビデオを見てしまった。ただそれだけで死へのカウントダウンが始まる登場人物達の恐怖や焦りが、手に取るように伝わってきました。今回取り上げる小説にも、私達の身近な場所から始まる恐怖が登場します。雨宮町子さん『死霊の跫』です。

 

こんな人におすすめ

正統派ジャパニーズホラー短編集が読みたい人

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「間宵の母」 歌野晶午

ミステリー作品には、論理的な謎解きが必要とされます。対してホラー作品は、人知を超えた存在や現象が登場し、それらに翻弄される人間達の恐怖劇がメイン。<謎めいた出来事はすべて幽霊の仕業でした。終わり>という展開になることも少なくありません。

まるで相容れないように見えるミステリーとホラー、二つを合わせた<ホラーミステリー>というジャンルが存在します。これは、一見ホラーながら、恐怖に何らかのルールなり理由なりを持たせ、その真相を論理的な推理で暴こうとする作品のこと。綾辻行人さんの『Another』や鈴木光司さんの『リング』、三津田信三さんの『刀城言耶シリーズ』などがそれに当たります。先日、図書館で受け取った作品も、なかなかに不気味で恐ろしいホラーミステリーでした。歌野晶午さん『間宵の母』です。

 

こんな人におすすめ

人の狂気の怖さを描いたホラーミステリーが読みたい人

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「棲家」 明野照葉

ホラー作品の定番恐怖スポット、それはズバリ<家>です。家で死んだ人間がそのまま幽霊となって化けて出る、というのが最多でしょうが、違う場所で死んだ人間が何らかの理由で家にとり憑くというパターンも結構あります。<家>は人間の生活の基盤であり、良くも悪くも強い思いを抱きやすいからでしょうか。

幽霊屋敷小説と言われて思いつくものを挙げると、海外ならスティーブン・キングの『シャイニング』にヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』、日本なら三津田信三さんの『忌館 ホラー作家の棲む家』やブログで過去に紹介した小池真理子さんの『墓地を見下ろす家』、恩田陸さんの『私の家では何も起こらない』etcetc。じめ~っとした陰気な怪奇小説から、怪異が物理的な攻撃を仕掛けて来るパニックホラーまで、その範囲は多岐に渡ります。では、今回ご紹介する幽霊屋敷小説はどうでしょうか。明野照葉さん『棲家』です。

 

こんな人におすすめ

家にまつわるホラー小説が読みたい人

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「象と耳鳴り」 恩田陸

人気のある小説や漫画、アニメ作品には、しばしば<スピンオフ>なるものが存在します。和訳すると<派生作品>のことで、本編で人気のあった脇役が主役になるというパターンが多いですね。<続編>ではないので本編より過去の出来事が分かったり、本編では触れられなかったキャラクターの背景が判明したりする楽しみがあります。

すでに世界観が出来上がっているためストーリーが作りやすく、本編ファンの注目も集まるというメリットのせいか、ありとあらゆる創作物でスピンオフは作られています。小説に限定すると、柴田よしきさんの『麻生龍太郎シリーズ』、宮部みゆきさんの『楽園』、米澤穂信さんの『ベルーフシリーズ』などが印象的でした。今回ご紹介するのも、私の中で五本の指に入るくらい好きなスピンオフ作品です。恩田陸さん『象と耳鳴り』です。

 

こんな人におすすめ

本格推理短編集が読みたい人

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「人影花」 今邑彩

小説の好き嫌いを判断する一番大事な要素は、当然<内容>だと思います。どんなに装丁やタイトルが秀逸でも、内容がつまらなければ何の意味もありません。それほど大事な内容と比べると、重要度という意味では劣るかもしれないけれど、ビビッと好みにマッチすると嬉しいもの、それが<イラスト>です。

私には、「この人がイラストを担当していたら、とりあえずあらすじをチェックする」というイラストレーターさんが何人かいます。その中の一人が北見隆さん。別にグロテスクでも何でもないにも関わらず、どこか不気味さを感じさせる画風が大好きなんですよ。思い込みかもしれませんが、この方が装画や装丁を担当している小説も私好みのものばかり。恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』、岸田るり子さんの『密室の鎮魂歌』、西澤保彦さんの『夢は枯れ野をかけめぐる』等々、どれも面白かったです。今回取り上げるのは、今邑彩さん『人影花』。ゾッとさせられる作風と、北見さんのイラストの雰囲気がぴったり合っていました。

 

こんな人におすすめ

皮肉の効いたホラーミステリー短編集が読みたい人

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「結婚案内ミステリー風」 赤川次郎

<婚活>という言葉が一般的になったのは最近の話ですが、結婚に向けた色々な活動は、ずっと昔から存在していました。この手の活動で一番古いものは、恐らくお見合い。ですが、お見合いでは家族や仕事など、どこかで繋がりのある相手としか出会えません。そこで台頭してきたのが、結婚相談所です。相談所を介することで本来なら接点のなかった相手と知り合えること、家族や仕事絡みの義理がないので気楽なことがメリットとして挙げられるようですね。

私が今まで読んだ小説の中には、結婚相談所が登場するものもいくつかありました。例えば朝比奈あすかさんの『人生のピース』や平安寿子さんの『幸せ嫌い』、以前このブログでも紹介した、秋吉理香子さんの『婚活中毒』などなど。他にはどんな作品があったかなと考えた時、二十年以上前に読んだ小説にも結婚相談所が出てきたことを思い出しました。それがこれ、赤川次郎さん『結婚案内ミステリー風』です。

 

こんな人におすすめ

結婚にまつわるユーモアミステリーが読みたい人

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「灼熱」 秋吉理香子

サスペンス、ホラー、ハードボイルドなどの創作物の場合、<なぜそういう状況になったのか>という設定作りが重要です。登場人物たちは日常とはかけ離れた世界に身を投じるわけですから、あまりにぶっ飛んだシチュエーションだと、読者が感情移入できません。例えばパニックアクション作品で<大災害>という設定を持ってくると、「確かに、こういう非常事態が起こったら、人間はこういう行動を取るかもな」と想像しやすいわけです。

こうした設定の王道パターンとして<復讐>があります。自分自身や大事な相手が傷つけられ、その復讐のため過酷な世界に身を投じる主人公。こういう状況は読者の同情を集め、主人公が道に外れた行いをしても「あれだけのことをされたんだから、気持ちは分かる」と共感されます。『巌窟王』や『嵐が丘』が今なお世界的名作として読み継がれているのは、そんな理由があるからかもしれません。最近読んだ小説も、一人の女性の悲しい復讐劇でした。秋吉理香子さん『灼熱』です。

 

こんな人におすすめ

愛憎絡んだサスペンス小説が読みたい人

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「幻坂」 有栖川有栖

私の昔の職場は、大阪の会社と合併したせいもあって大阪出身の社員が多く、大阪への出張も頻繁にありました。職種がサービス業だったことも関係しているでしょうが、大阪という町やその出身者には、明るく賑やかなイメージがあります。実際、大阪を舞台にした小説も、伊集院静さんの『琥珀の夢』や万城目学さんの『プリンセス・トヨトミ』など、スケールが大きい陽性の作品が多い気がします。同じ関西でも、京都を舞台にした作品がしっとりした雰囲気になりがちなのと対照的と言えるでしょう。

とはいえ、当たり前の話ですが、人が生活する場である以上、いつもいつも明るくパワフルでいられるわけがありません。活気溢れる大阪という町にも、しんみりした部分や切ない部分がたくさんあります。今日ご紹介するのは、有栖川有栖さん『幻坂』。しっとりと胸に染み入るホラーファンタジーでした。

 

こんな人におすすめ

大阪を舞台にしたホラー小説が読みたい人

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「びっくり館の殺人」 綾辻行人

ミステリーでおなじみのシチュエーションを挙げよと言われたら、一体どんな答えが出て来るでしょうか。私なら、<恐ろしい伝説が伝わる屋敷><とても日本とは思えないような洋館><迷路のように広い古城>辺りを思い浮かべます。俗に<館もの>と呼ばれるミステリーによく登場するシチュエーションですね。

脱出困難な館に集められ、次第に疑心暗鬼に囚われて行く登場人物たち・・・アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を筆頭に、今邑彩さん『金雀枝荘の殺人』、近藤史恵さん『演じられた白い夜』、東野圭吾さん『仮面山荘殺人事件』など、多くのミステリー小説でこの設定が使われてきました。そして、国内の<館もの>を語る上で忘れちゃいけないのが綾辻行人さんの『館シリーズ』。新本格ブームの火付け役となったシリーズで、一九八七年に第一作『十角館の殺人』が刊行されて以降、今なお根強く支持され続けています。この『十角館の殺人』は超有名作品なので、今回はシリーズの中でも毛色の違う作品を紹介したいと思います。講談社ミステリーランドの一冊、『びっくり館の殺人』です。

 

こんな人におすすめ

子ども目線のホラーミステリーが読みたい人

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