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「聖母」 秋吉理香子

「母親の愛」は、しばしば「無償の愛」「海より深い」といった表現をされます。見返りを求めず、自分の命すら顧みず、ただひたすらに我が子を想う。それは確かに愛情以外の何ものでもないでしょう。

でも、くれぐれもご用心。美しく崇高であるはずの母の愛が、時に暴走し、狂気へと変わっていくこともあるのです。今日ご紹介するのは、アニメや映画の制作活動でも活躍する、秋吉理香子さん「聖母」です。

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「スイングアウト・ブラザース」 石田衣良

「恋活」「婚活」という言葉が出てきて久しいです。一昔前は、恋愛や結婚は日常生活の中で自然に行うのがベストとされていました。ですが今は、「ただ待っていたってチャンスはやって来ない」「いい恋愛や結婚は努力して掴み取るべき」という考え方も決して少なくありません。

「恋活」や「婚活」をテーマにした創作物はたくさんありますが、どちらかというと女性目線の作品が多いですよね。そんな中、男性視点による婚活小説を紹介したいと思います。直木賞受賞作家である石田衣良さん「スイングアウト・ブラザース」です。

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「いつもの朝に」 今邑彩

皆さんに兄弟姉妹はいるでしょうか?いるとして、その仲は良好ですか?私は一人っ子なので、昔から兄弟姉妹のいる家庭が羨ましかったものです。

親子とも友達とも違う兄弟姉妹。では、その相手に恐ろしい出生の秘密があったとしたらどうするでしょう?今日は、血の繋がりの因縁を描いたミステリ、2013年に早すぎる死を迎えた今邑彩さん「いつもの朝に」を紹介します。

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「木曜組曲」 恩田陸

「女の敵は女」「女同士の腹の探り合いってすごく怖い」こういうフレーズを耳にすることってよくあります。同じ女として微妙な気持ちになる反面、一理あると思ってしまうこともまた事実。女性同士の掛け合いって、男女のやり取りでは決して出ない、ある種の緊張感があると思います。

そんな女性の心理戦を心行くまで味わいたい時は、これなんてどうでしょう。「ノスタルジアの魔術師」と称される恩田陸さんの初期の傑作、「木曜組曲」です。

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