近藤史恵

はいくる

「胡蝶殺し」 近藤史恵

人生において、「趣味は何ですか」と聞かれる機会って意外と多いです。私の場合、そう聞かれた場合の答えは、子どもの頃から「読書です」。その趣味を大人になるまで続けた結果、こういうブログまで始めてしまいました。人間、好きなものについて語ることは楽しいですし、ついつい熱が入ります。

それはプロの世界でも同様らしく、趣味の分野において、面白い作品を書かれた作家さんは大勢存在します。例えば、ボクシング愛好家の百田尚樹さんは『ボックス!』で、将棋ファンである芦沢央さんは『神の一手』で、臨場感溢れる世界観を作り出しました。どちらも、読みながら作者の対象への愛情をひしひし感じたものです。それから、この作品もそうでした。近藤史恵さん『胡蝶殺し』です。

 

こんな人におすすめ

歌舞伎界を舞台にした小説に興味がある人

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「山の上の家事学校」 近藤史恵

家事。読んで字の如く、掃除・洗濯・食事の支度といった<家の仕事>を指す言葉です。今は家電が発達し、資金に余裕があれば外注という手段もあるとはいえ、細々とした家事の数はそれこそ無限大。不器用で要領の悪い私など、やるべき家事が多い時は、しばらくフリーズして現実逃避に走ることさえあります。

一昔前の<男は外、女は内>という時代では、家事は女性の仕事でした。その影響か、共働きが珍しくもなんともない現代でさえ、女性が家事の中心と見なされる場面が少なくない気がします。当事者同士が納得しているならそれで全然構わないのですが、こういう場合、往々にして家事従事者の方に一方的にしわ寄せが行き、不満を溜めやすいもの。どんな形で家事分担をするにせよ、構成員全員が「自分の家庭の一員である」ことを自覚して行動しないと、取り返しのつかないことになりかねません。この作品を読んで、改めそう実感しました。近藤史恵さん『山の上の家事学校』です。

 

こんな人におすすめ

家事をテーマにしたヒューマンストーリーに興味がある人

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「ホテル・ピーベリー」 近藤史恵

私が人生で初めて行った外国はハワイです。特大サイズの料理に、日本のそれとは色合いが違う海や浜辺、華やかな民族衣装を着た現地の人々・・・ドラマや漫画で見るような光景にワクワクしっぱなしだったことを覚えています。

とはいえ、どの国もそうであるように、ハワイは桃源郷というわけではありません。人間が集まって暮らしを営む以上、暗い面や怖い面があって当然です。先日読んだ小説では、ハワイの明るい陽射しの下、冷ややかで薄暗い人間模様が繰り広げられていました。今回は、近藤史恵さん『ホテル・ピーベリー』を取り上げたいと思います。

 

こんな人におすすめ

・ハワイが登場する小説に興味がある人

・海外が舞台のサスペンスが好きな人

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「薔薇を拒む」 近藤史恵

薔薇という花には、とにかく豪奢で華麗なイメージが付きまといます。華やかな色合いや、花びらが重なったフォルムがそうさせるのでしょうか。エジプト女王のクレオパトラ七世やナポレオンの最初の妻・ジョゼフィーヌ等、薔薇を愛した歴史上の人物も大勢います。

と同時に、薔薇は時に、<不吉><残酷>の象徴としても扱われます。日本の桜と同様、あまりに鮮烈な美しさが、逆に見る者に不安を覚えさせるのかもしれませんね。創作の世界においても、殺人鬼が薔薇を好んでいたり、吸血鬼が薔薇から生命力を吸い取るシーンがあったりと、禍々しく不気味な小道具として登場しがちです。この作品でも、薔薇がゾッとするような使われ方をしていました。近藤史恵さんの『薔薇を拒む』です。

 

こんな人におすすめ

不穏な雰囲気のゴシックサスペンスが好きな人

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「ホテル・カイザリン」 近藤史恵

当たり前の話ですが、図書館で本を予約した場合、その本がいつ手元に届くか事前には分かりません。特に予約者が大勢いるような人気作となると、順番が回ってくるタイミングは予測不可能。時には、予約本が複数まとめて届いてしまい、返却日を気にしつつ大慌てで読む羽目に陥ったりします。人気作は図書館側の購入冊数も多いため、意外とさくさく順番が進むのかもしれませんね。

逆に、待てども暮らせども予約本が一冊も届かないこともままあります。なぜか「今なら大長編だろうと読む余裕あるのに!」という時に限って、どの本も全然順番が回ってこなかったりするんですよ。最近、そういう状況が続いてモチベーション下がり気味だったので、この本が届いた時は嬉しかったです。近藤史恵さん『ホテル・カイザリン』です。

 

こんな人におすすめ

イヤミス多めの短編集が読みたい人

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「幽霊絵師火狂 筆のみが知る」 近藤史恵

残念ながら私は画才に恵まれませんでした。子どもの頃から、図画工作や美術は苦手な教科の筆頭格。教室の後ろに自分の絵を飾られることが本気で憂鬱だったものです。

そんな私ですが、絵を見る方は結構好きです。正確には、絵そのものを見るというより、絵に関する背景やエピソードを知ることが好きなんですよ。ゴヤの<カルロス四世の家族>にはひっそりとゴヤ本人も描き込まれているとか、ダ・ヴィンチの<最後の晩餐>の向かって右側三人は「誰が裏切り者なんだ?」ではなく「今、キリスト先生が何て仰ったか聞き取れなかった!」と騒いでいるとか、夢中になって調べました。こうしたエピソードは、単に面白いだけでなく、画家の宗教観や死生観、当時の社会情勢などを知る手掛かりにもなるんですよね。今回ご紹介する作品にも、絵に込められた様々な思いや秘密が登場します。近藤史恵さん『幽霊絵師火狂 筆のみが知る』です。

 

こんな人におすすめ

・絵にまつわる不思議なミステリーが読みたい人

・市井の人々が出てくる時代小説が好きな人

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「たまごの旅人」 近藤史恵

コロナ禍でできなくなったこと、制限されるようになったことはたくさんあります。例えば、大人数が集まっての会食。例えば、屋内でのイベント。海外旅行もその一つです。海外の場合、衛生状態や医療体制が日本とは違うこともあり、いつになったら自由に行き来できるようになるのか、皆目見当もつきません。

不自由の多い昨今ですが、本の中でなら、昔と同じく気ままに海外を楽しむことができます。異国情緒を堪能できる作品と言えば、以前、当ブログで貫井徳郎さんの『ミハスの落日』を取り上げました。貫井作品の中でも三本の指に入るくらい好きな小説ですが、全体的に苦い後味の話が多く、中には苦手と感じる読者もいるかもしれませんね。でも、こちらは後味爽やかなので万人向けだと思いますよ。近藤史恵さん『たまごの旅人』です。

 

こんな人におすすめ

海外旅行を通して描かれる成長物語が読みたい人

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「黄泉路の犬---南方署強行犯係」 近藤史恵

私は子どもの頃からずっとペット禁止のマンション住まいだったこともあり、動物を飼った経験がありません。ですが、身近には動物好きの人が多く、ペットにまつわるあれこれを聞く機会もしょっちゅうありました。自分を無心に慕ってくれる生き物と暮らすのは、とても幸せなことでしょう。

とはいえ、悲しいかな、ペットに関する悲しい話もたくさんあります。例えば保健所での殺処分問題や、多頭崩壊問題。無機物であるゴミの処分問題だって深刻なのですから、相手が生き物となると、その酷さはとても言葉で語り尽くせるものではありません。こうした問題を扱った書籍となると、どうしてもノンフィクション寄りになりがちですが、今回は小説をご紹介したいと思います。近藤史恵さん『黄泉路の犬-――南方署強行犯係』です。

 

こんな人におすすめ

日本のペット問題を扱った小説に興味がある人

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「歌舞伎座の怪紳士」 近藤史恵

私は自他共に認める運動下手な人間ですので、体を動かす遊びはあまり得意ではありません。反面、インドア系の趣味は色々やりました。読書はもちろんのこと、映画鑑賞、音楽鑑賞、観劇、お菓子作り、ジグソーパズル、猫カフェ巡りetc。そんな中、歌舞伎には何となく興味を持てませんでした。あの独特の台詞回しや化粧に馴染めなかったんだと思います。

ですが、歌舞伎を現代風にアレンジしたスーパー歌舞伎を見て、歌舞伎に対する印象が変わりました。考えてみれば、歌舞伎とはそもそも庶民の娯楽。演目だって、心中だの敵討ちだの三角関係だの、生臭く人間味溢れるテーマがたくさんあります。今回は、そんな歌舞伎がより身近に感じられる小説を取り上げたいと思います。近藤史恵さん『歌舞伎座の怪紳士』です。

 

こんな人におすすめ

歌舞伎をテーマにしたミステリー小説が読みたい人

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「震える教室」 近藤史恵

ホラー好きな私が思うに、怪談話が発生するためにはいくつか条件があります。例えば<過去にその場所で悲惨な出来事が起こっている(ex.遺体発見現場)>だったり<すぐには逃げられないほど無防備になる場所(ex.トイレ)>だったり。意外かもしれませんが、「人の気配を感じる場所である」というのもその一つ。この世はすべて表裏一体、生者がいるからこそ死者がいて、幽霊もいます。簡単に行き来できない無人島が怪談の舞台になりにくいのは、この辺りが原因ではないでしょうか。

大勢の人の気配を感じるホラースポットの代表格と言えば、やはり「学校」。普段はたくさんの子どもや教職員が出入りして賑やかな分、無人になった時の不気味さが際立ち、多くの怪談話が発生しました。学校を舞台にしたホラー小説といえば、綾辻行人さんの『Another』や辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』などが有名です。最近読んだ学園ホラーはこちら。近藤史恵さん『震える教室』です。

 

こんな人におすすめ

・学校を舞台にしたホラー小説が好きな人

・ホラー小説デビューしたい人

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