ミステリーの探偵役は、とにもかくにも個性的でインパクト抜群なタイプが多いです。シャーロック・ホームズや金田一耕助は言うに及ばず、坂木司さん『ひきこもり探偵シリーズ』の鳥井は精神的負荷がかかると幼児返りする引きこもりで、東川篤弥さん『謎解きはディナーのあとでシリーズ』の影山は毒舌執事。赤川次郎さん『三毛猫ホームズシリーズ』にいたっては、謎解きの中心となるのがなんと猫です。現実では到底出会えないようなキャラクターが生き生き事件解決しているのを見るのは楽しいですね。
その一方、個性や人間味の描写がないからこそ輝くタイプのキャラクターもいます。例えば、当ブログでも何度か取り上げた西澤保彦さん『腕貫探偵シリーズ』の<腕貫男>。腕貫を付けた地味な容姿の市役所職員で、シリーズ通して内面描写はほぼないにも関わらず、その脂っけのなさが逆に印象的なんです。それから、この作品の主人公も、人間味を見せない所にある種の魅力を感じました。米澤穂信さんの『可燃物』です。
こんな人におすすめ
正当派警察ミステリー短編集が読みたい人
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私の居住地は地方都市なので、公共施設に行くと<Uターン・Iターン相談会><Uターン・Iターンフェア>などといったポスターをよく目にします。Uターンとは、何らかの理由で出身地を離れた人が、再び故郷に戻って働くこと。Iターンとは、出身地以外の土地で仕事を得て暮らすことを意味します。
どちらもそれぞれ楽しいこともあれば辛いこともあるのでしょうが、まるで馴染みのない土地で一から生活基盤を作らなければならないという意味では、Iターンの方が大変な気がします(その分、しがらみがないというメリットもありますが)。先日読んだ小説では、Iターンにまつわる悲喜こもごもが描かれていました。今日ご紹介するのは、米澤穂信さんの『Iの悲劇』です。
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限界集落を舞台にしたミステリーが読みたい人
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子どもの頃から本好きだった私は、当然ながら図書室や図書館も大好きでした。本屋も好きですが、やはり<その場で好きなだけ本が読める>というシチュエーションは魅力です。学生時代の委員会は当然のように図書委員。紙の劣化防止のためエアコンが設置されていた快適さもあり、半ば<ぬし>扱いされるほど図書室に入り浸っていたものです。
ここでふと思うのは、<図書館>をテーマにした小説は数多くあれど、<図書室>がテーマのものが意外に少ないということです。私が今まで読んだことのある小説に限って言えば、瀬尾まいこさんの『図書館の神様』と竹内真さんの『図書室のキリギリス』くらいしか思いつきません。ですから、この作品では図書室がメインの舞台と知り、読むのを楽しみにしていました。米澤穂信さんの『本と鍵の季節』です。
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ほろ苦い青春ミステリーが読みたい人
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英語圏には「羊とヤギを分ける」ということわざがあります。聖書に由来することわざで、「善(羊)と悪(ヤギ)を分ける」という意味。このことわざの中で、羊は善の象徴です。日本でも、羊にはなんとなく「大人しく温厚」というイメージがありますね。
ですが、油断は大敵。「羊の皮をかぶった狼」などという言葉もあるように、羊の内面が本当に大人しく穏やかとは限りません。もしかしたら、優しげな顔の下には思わぬ本性が隠れているのかも・・・・・今回取り上げる本には、そんな恐ろしい羊たちが登場します。米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』です。
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皮肉の効いたイヤミス短編小説が読みたい人
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短編小説と長編小説、どちらが好きですか?私はというと、どちらも好き(笑)それぞれに面白さがあり、どちらが優れていると決められるものではありません。
ただ、個人的な意見として、ミステリーやホラーのジャンルでびしっと決まる短編小説を書くのは難しい気がします。トリックや人間関係が入り組んでいる場合が多い分、少ないページでまとめるのが大変に思えるのです。そんな困難を乗り越え、面白い短編小説を集めた作品はたくさんありますが、今日ご紹介するのはこれ。「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」でいずれも一位を獲得した、米澤穂信さんの『満願』です。
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