死刑のことを<極刑>と表現することがあります。意味は、それ以上重い罰がない究極の刑罰ということ。己の罪を命を以て償う死刑は、確かに<極刑>という言葉がふさわしいと思います。
ですが、よく考えてみれば、死が万人にとって究極の刑罰とは限りません。「もう死刑でいいや」と投げやりになる犯罪者もいるでしょうし、極端な例だと「生きていても面白くないことばかりだけど、自殺は面倒。死刑囚は三食付きで労役もないし、ぜひ死刑になりたい」と考える不心得者もいるようです。こうした考えの人間を望み通り死刑にしたって、それは果たして究極の刑罰と言えるのでしょうか。生を望み、死を恐れる者に対してこそ、死刑は<極刑>たりえるのだと思います。今回取り上げるのは、薬丸岳さんの『最後の祈り』。死刑というものの意味について考えさせられました。
こんな人におすすめ
教誨師が登場する小説に興味がある人

近年、インターネット文化の発展ぶりは目を見張るものがあります。世に現れた当初は<調べ物をするのに役立つシステム>程度の扱いだった気がしますが、今やテレビや新聞、電話などに取って代わる勢いです。特に<技術があれば一般人でもテレビのような作品を作れる>という点から、ネット動画の数は日に日に増える一方。私自身、いくつか贔屓にしているチャンネルがありますが、中にはテレビ以上の企画力や構成力を感じるものもあって驚かされます。
ミステリーないしサスペンス作品に最も多く登場する職業は何でしょうか。仮にランキングを作ったとしたら、上位三位の中には<警察関係者>が入っていると思います。というか、上記のジャンルの作品で、主要登場人物の中に警察関係者が一人もいないケースの方がレアでしょう。
いじめ、体罰、スクールカースト、試験勉強etc。学校には様々な問題が山積みです。私自身、特に中学校では、人間関係のいざこざで苦労した記憶があります。誰かがこの問題を解決し、穏やかな学校生活を送らせてくれないものかと、他力本願なことを考えたりもしました。
犯罪を扱った物語を読む時、一番興味を持つ点はどこでしょうか。犯人の意外な正体?複雑怪奇なトリック?私の場合、それは「動機」です。登場人物たちはなぜ罪を犯し、犯罪者になったのか。その理由に惹かれてやみません。