澤村伊智

はいくる

「斬首の森」 澤村伊智

私は読む本を選ぶ時、必ずあらすじをチェックします。「好きな作家さんの作品は事前情報ゼロで楽しみたい!」という方も多いのでしょうが、私は大まかなところを把握してから読み始めたいタイプ。ばっちり好みに合いそうな話だった時は、読書前のワクワク感もより高まります。

ですが、世間には、あらすじからは予想もつかないような方向に進んでいく作品も存在します。私がこの手の作品で真っ先に思いつくのは、鈴木光司さんの『リングシリーズ』。おどろおどろしいジャパニーズホラーかと思いきや、続編『らせん』『ループ』と進むにつれてどんどん新事実が発覚し、SF小説の様相を呈してくる展開が衝撃的でした。それからこの本も、あらすじから想像していた話とは全然違う方向に進んでいきます。澤村伊智さん『斬首の森』です。

 

こんな人におすすめ

予想もできないようなホラーミステリーが読みたい人

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「すみせごの贄」 澤村伊智

クリエイターは作品を創り出して当然と思われがちですが、人間である以上、創作ペースには個人差があります。心身や周辺環境等の事情により、思うように仕事ができないことだってあるでしょう。シリーズ作品の連載が中断されたり、新作が出ないことがあっても、あまりピリピリせず気長に待った方が、消費者にとっても気楽です。

とはいえ、好きな作家さんの作品がどんどん出たら嬉しいのが人情というもの。おまけにそのレベルが高いなら、これほど幸せなことはありません。多作な作家さんと言えば、最近なら中山七里さん辺りが挙がりそうですが、この方だって負けてはいませんよ。今回ご紹介するのは澤村伊智さん『すみせごの贄』です。

 

こんな人におすすめ

『比嘉姉妹シリーズ』が好きな人

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「さえづちの眼」 澤村伊智

<血は水よりも濃し>ということわざがあるように、古来より、血縁関係のある家族は固い絆で結ばれていると考えられてきました。実際にはそうでもないケースも多々あるのですが、「あいつとは血が繋がっているから」という理由で過ちが許されたり、恩恵を受けたりする事例が数多く存在することもまた事実。同様の考え方が欧米やアラブ地域にも存在することからも、人類がいかに血縁を重視する生き物かが分かります。

一言で<血縁>といっても親子や兄弟姉妹等、色々な関係がありますが、中でもひときわ特別扱いされるのは<母子>ではないでしょうか。何しろ、この世で唯一、物理的に肉体を共有したことがある間柄です。当然のように多くの創作物のテーマとなり、深く濃い愛憎が描かれてきました。今回取り上げる作品も、母と子の関係が下敷きになっています。澤村伊智さん『さえづちの眼』です。

 

こんな人におすすめ

『比嘉姉妹シリーズ』が好きな人

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「一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集」 澤村伊智

短いながらも読者を本の世界にどっぷり浸らせてくれるショートショート、大好きです。特に社会人になってからは、学生時代ほど長く読書時間が確保できないため、長編小説だと途中で読むことを中断せざるを得ないこともしばしば・・・作品によっては、物語の途中から読書を再開すると「あれ、この人誰だっけ?」「なんでこの二人はいがみ合ってるの?」等々、内容を把握するのに時間がかかることもあります。その点、ショートショートなら一話をすぐ読み終われるので安心ですね。

そんなショートショートには、他の長編や短編作品同様、様々なジャンルがあります。どんなジャンルが好きかは人それぞれでしょうが、個人的にはミステリーやホラーが好みです。短い分量でゾクッとさせられる感覚が堪らないんですよ。思えばショートショートの神様・星新一さんの作品も、皮肉たっぷりでブラックな雰囲気のものが多いです。今日取り上げるのも、残暑を吹き飛ばすほどの寒気を味わえるショートショート集です。澤村伊智さん『一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集』です。

 

こんな人におすすめ

ホラー小説のショートショート集が読みたい人

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「ぜんしゅの跫」 澤村伊智

地球温暖化が叫ばれて久しい昨今、夏の暑さの到来もどんどん早くなっている気がします。今年で言えば、五月半ばの時点ですでに三十度を超える地方があったとのこと。これから夏本番ですし、暑さ対策をしっかり行い、元気に過ごしたいものですね。

読書好きが行える暑さ対策として一番古典的な方法は、やっぱりホラー作品を読んで背筋をゾッとさせることでしょう(ですよね?)。どんなホラーにゾッとするかは人それぞれだと思いますが、私個人としては、納涼という意味では古典的なジャパニーズホラーがぴったりな気がします。というわけで、今回取り上げるのはこちら。澤村伊智さん『ぜんしゅの跫』です。

 

こんな人におすすめ

・バラエティ豊かなホラー短編集が読みたい人

・『比嘉姉妹シリーズ』が好きな人

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「ばくうどの悪夢」 澤村伊智

一説によると、人間の三代欲求(食欲、睡眠欲、性欲)の中で一番緊急度が高いのは<睡眠欲>だそうです。「あれ、食欲じゃないの?」と思う向きもありそうですが、なかなかどうして、睡眠を侮ることはできません。食欲の場合、<断食>が一部の宗教や健康法に取り入れられていることからも分かる通り、適切な条件下での制限なら、心身を害することはありません。対して睡眠欲の場合、満たされない場合の肉体的・精神的なダメージは計り知れないものがあります。眠らせないという拷問が存在することが、その証と言えるでしょう。

そして、心ゆくまで睡眠欲を満たすために意外と無視できないのが<夢>です。いい夢を見れば、翌朝の目覚めも心地良いもの。一方、たとえ寝ること自体はできたとしても、毎日毎日悪夢ばかり見る羽目になれば、睡眠は地獄と化すに違いありません。意識的に夢を作ることは難しいですが、できるだけ環境を整え、いい夢を見たいものですね。今回取り上げるのは、夢にまつわるホラー小説、澤村伊智さん『ばくうどの悪夢』です。

 

こんな人におすすめ

夢をテーマにしたホラー小説に興味がある人

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「怪談小説という名の小説怪談」 澤村伊智

いっぱしの読書家を気取っている私ですが、最近、買う本の冊数はずいぶん減りました。読みたい本がある時は、図書館で借りるのが基本。欲しい本を片っ端から買っていくとあっという間に財布が空になってしまいますし、本の置き場所も無限にあるわけではありません。子どもの頃はあまりよく考えず小遣いをどんどん本に費やしていましたが、成人した今となってはそうもいかないのが現状です。

ですが、「それでもこの方の本は大好き!よっぽどのことがない限り買いたい!」という作家さんも存在します。一人目は西澤保彦さん。今は少し刊行ペースが緩やかになりましたが、一時期、短期間でどんどん新刊が出ていたので、ひいひい言いながらもどうにか費用を捻出したものです。それからもう一人、澤村伊智さんも、新刊を見かけるたびに買ってしまいます。この本も買いましたが、期待通り面白かったですよ。『怪談小説という名の小説怪談』です。

 

こんな人におすすめ

ジャパニーズホラー小説短編集が読みたい人

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「怖ガラセ屋サン」 澤村伊智

皆さんは、どんな都市伝説がお好きですか?国内外合わせると膨大な数の都市伝説が存在しますが、ホラー大好き人間な私は、やっぱり怪談系の都市伝説に惹かれます。口裂け女、赤マント、三本足のリカちゃん、さとるくん、ひきこさん・・・話を聞いた人のところに現れる<カシマさん>なんて、怖すぎてパニック起こしそうになったっけ。

都市伝説はインパクトがある上に想像の余地が多く、著者のオリジナリティを出しやすいからか、よく創作物のテーマになります。直木賞候補にもなった朱川湊人さんの『都市伝説セピア』や、ドラマ化された長江俊和さんの『東京二十三区女』などは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。どの作品でも、ゾクッとさせられる都市伝説がたくさん書かれていましたが、今日ご紹介するこの本も負けていませんよ。澤村伊智さん『怖ガラセ屋サン』です。

 

こんな人におすすめ

恐怖をテーマにしたホラー短編集が読みたい人

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「うるはしみにくし あなたのともだち」 澤村伊智

「人は中身が大事」「外見より心の美しさの方が価値がある」誰しも一度は聞いたことのあるフレーズだと思います。そうであってほしいと心底思うものの、悲しいかな、人の立ち位置を決める上で、容姿が重要なファクターとなることは事実。美しい人間が尊ばれ、そうでない人間が蔑まれる場面は、日常の至る所に溢れています。

美醜をテーマにした作品といえば、漫画なら岡崎京子さんの『ヘルタースケルター』や楳図かずおさんの『洗礼』、小説なら百田尚樹さんの『モンスター』、ブログでも紹介した唯川恵さんの『テティスの逆鱗』などがあります。これらの作品の共通点は、美に取りつかれた人間は時として化物じみてくるということ。美しさを求めるあまり人間離れしてしまうなんて、なんとも皮肉な話ですよね。今回取り上げる小説にも、美という呪いにかかった人間たちが登場します。澤村伊智さん『うるはしみにくし あなたのともだち』です。

 

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スクールカーストが出てくるホラーミステリーが読みたい人

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「アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿」 澤村伊智

ミステリーやホラーのように<真相究明><問題解決>に重きが置かれる作品の場合、「なぜ主人公は必死に事件に取り組むのか」という動機付けが重要となります。ここをすんなりクリアするための方法の一つは、主人公の職業をマスコミ関係者にすること。何しろ調査・取材することが仕事ですし、犯罪性が高くないと捜査できない警察と違い、まだ物理的な被害が出ていない(判明していない)事件や、何十年も前に起きた未解決事件に対してでも動けます。

マスコミ関係者が登場する小説といえば、ぱっと思いつくのは鈴木光司さんの『リング』。雑誌記者である主人公は、その調査能力を使い、呪いのビデオの謎を解こうとします。また、最近映画化もされた塩田武士さんの『罪の声』には、三十一年前に起きた未解決事件の真相に迫る新聞記者が出てきます。上記二作品に比べるとノリはやや軽めながら、この小説の主人公もけっこう大変な目に遭っていました。澤村伊智さん『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』です。

 

こんな人におすすめ

街の怪奇事件がテーマの短編集が読みたい人

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