宮部みゆき

はいくる

「きたきた捕物帖」 宮部みゆき

別作品のレビューで、「小説には、主役にしやすい職業がある」と書きました。ミステリーなら刑事や法曹関係者、ジャーナリスト。経済小説なら銀行員や証券マン。では時代小説はというと、ダントツ一位とまではいかずとも、上位三位に確実に入るのが<岡っ引き>だと思います。これは奉行所の役人などの手足となって働いた協力者のことで、主な役目は情報収集。正式な役職ではなく無給のため、自身あるいは妻が本業を持っているケースが大半だったとのこと。大勢の人間と接触して調査活動を行うという役目の性質上、事件と絡めやすいですし、登場人物も膨らませられるので、時代小説では重要なポジションを担うことが多いです。

岡っ引きが登場する作品と聞いて、一番連想されるのは『半七捕物帖』『銭形平次捕物控』ではないでしょうか。どちらも繰り返し映像化された人気作品ですし、漫画やドラマなどでオマージュ要素が出てくる機会も多々あるので、小説は未読でも名前を知っているという方も多いと思います。今回取り上げる作品も、上記二作品に並ぶ人気シリーズになるのではないかと予想しています。宮部みゆきさん『きたきた捕物帖』です。

 

こんな人におすすめ

人情味溢れるお江戸ミステリーが読みたい人

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「さよならの儀式」 宮部みゆき

私は基本的にどんなジャンルの小説も抵抗なく読む人間ですが、改めて自分の読書歴を振り返ってみると、SF小説の読破率が低いことに気付きました。実際、このブログでも、SF小説の登場頻度は低いです。どうしてだろうと自分で考えた結果、「なんとなく感情移入しにくいから」ではないかなと推測・・・私の理解を遥かに超えたテクノロジーとかの話を持ち出されると、つい一歩引いてしまうみたいです。

逆に、私の頭でも設定や世界観が理解しやすいSF作品なら、楽しく読むことができます。筒井康隆さんの『時をかける少女』や重松清さんの『流星ワゴン』、東野圭吾さんの『パラレルワールド・ラブストーリー』などは、SFながら設定は現代に通じていて、共感できる部分が多かったですね。先日読んだSF作品もそうでした。宮部みゆきさん『さよならの儀式』です。

 

こんな人におすすめ

ビターなSF短編小説集が読みたい人

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「東京下町殺人暮色」 宮部みゆき

<下町>という言葉があります。読んで字の如く、市街地の低地となった部分を指す言葉で、東京では日本橋や浅草、神田などがそれに当たります。また、<下町気質>と言えば、人情味があってお祭り好き、カッとなりやすい所もあるが終わったことは気にしない、面倒見が良くて竹を割ったような性格・・・などが連想されるのではないでしょうか。

独特の文化や気質がある下町は、しばしば物語の舞台に選ばれます。小路幸也さんの『東京バンドワゴンシリーズ』や瀬尾まいこさんの『戸村飯店 青春100連発』など、騒動は起こりつつもどこか心温まる作風が多いような気がしますね。今回は、下町を舞台にしたミステリーをご紹介しようと思います。宮部みゆきさん『東京下町殺人暮色』です。

 

こんな人におすすめ

少年が活躍するミステリーが読みたい人

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「淋しい狩人」 宮部みゆき

こんなブログまで開設しているのですから今さら言うまでもありませんが、私は読書が好きです。一番好きなのはミステリーですが、基本的にホラー、恋愛、SF、ヒューマンドラマと何でもござれですし、エッセイや児童文学にも手を出します。親に聞いてみると、昔から本さえ与えておけば何時間でも大人しくしている子どもだったようですね。

そんな私が大好きな場所、それが本屋です。最近、大型書店はどんどん綺麗になり、店内に立派なテーブルやソファを設置して購入前の本を読めるようにしてあったり、併設のカフェからなら飲食物を持ち込めたりするような店も多いです。そういう店ももちろん好きですが、昔ながらの小さな本屋さん、街角にひっそりあるような古本屋さんも大好きですよ。そんな愛すべき本屋を扱った作品といえばこれ。ありとあらゆるジャンルの小説を手がけ、無類のゲーム好きとしても知られる宮部みゆきさん『淋しい狩人』です。

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「三鬼 三島屋変調百物語四之続」 宮部みゆき

子どもの頃からホラー好きだった私が、いつかやりたいと思いつつ未だに実現できていないことがあります。それが「百物語」。参加者たちが合計百話に達するまで怪談を語り合うというお遊びですね。付き合ってくれる怪談好きがなかなか見つからず、いたとしても、合計百話になるまで怪談を語り続けるというのも結構難しいため、実行できる日は通そうです。

言い伝えによると、百話目の怪談を語り終えると、本当に怪奇現象が起こるのだとか・・・真偽のほどはともかく、人が思いを込めて語った話には、何らかの力があるのかもしれません。今日は百物語をテーマにした小説をご紹介します。この方の歴史小説に外れなし、宮部みゆきさん『三鬼 三島屋変調百物語四之続』です。

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