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「奥様はクレイジーフルーツ」 柚木麻子

夫婦関係を続けるに当たって、一番大事なものって何でしょうか。恋愛感情?信頼関係?経済力?聞く人ごとに、違った答えが出てきそうです。

そして、夫婦生活を考える上で切っても切り離せないのが、ズバリ、セックス問題。もし、夫婦間で性生活がなくなってしまったら?答えの出ないセックスレス問題について描いているのが、柚木麻子さん「奥様はクレイジーフルーツ」です。

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「鬼畜の家」 深木章子

登場人物の証言形式で構成された話、大好きです。有名なところでは、湊かなえさんの「告白」や宮部みゆきさんの「理由」、このブログでも紹介した貫井徳郎さんの「愚行録」などがありますね。語り手が変わるごとに二転三転する展開に、ついついのめり込んでしまいます。

小説の世界において、このように語り手によって読者をミスリードする手法のことを「信頼できない語り手」といいます。今日は、私がお気に入りの「信頼できない語り手」作品をご紹介しましょう。六十歳まで弁護士として活躍、リタイア後に作家デビューを果たした深木章子さん「鬼畜の家」です。

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「結婚詐欺師」 乃南アサ

保険金詐欺に催眠商法、振り込め詐欺に寸借詐欺・・・この世には、たくさんの詐欺が存在します。人を騙して金品を奪い、損害を与える憎むべき犯罪行為です。そして、どれだけ世が移り変わろうと、決してなくならない犯罪でもあります。

一体なぜ人は詐欺師に騙されるのか。詐欺師はいかにして人の心を欺くのか。今日は、結婚詐欺について取り上げられた本を紹介しようと思います。直木賞受賞作家、乃南アサさん「結婚詐欺師」 です。

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「悪母」 春口裕子

親業って大変ですよね。何しろ子育ては仕事と違い、定時もなければ定休日もなし。必要とあらば二十四時間年中無休で子どもと向き合う、それが親の役目です。そんなハードな毎日を乗り切るため、家族はもちろんのこと、同じような境遇のママ友と支え合い励まし合う人も多いでしょう。

ですが、そのママ友は本当に信頼できる相手でしょうか?自分だけではなく子どもも交えて付き合うママ友と、もしトラブルを起こしてしまったら?今日ご紹介するのは、ママ友付き合いの闇を描いたサスペンス、春口裕子さん「悪母」です。

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「匿名交叉」 降田天

インターネットって便利で面白いですよね。その場を動かず世界中の情報を知ることができるし、別世界に生きる人達と友達になることができる。私がこうして本について語ることができるのも、インターネットがあるからこそです。

でも、当たり前の話ですが、インターネットには恐ろしい部分もたくさんあります。情報の発信者も受信者も姿が見えないため、その気になれば何の責任も負うことなく人を傷つけ、貶めることができるのです。インターネットの匿名性の恐怖を描いた作品と言えばこれ、漫画や映画のノベライズ作家としても実績のある、降田天さん「匿名交叉」です。

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「FEED」 櫛木理宇

『思えば、あれが運命の分かれ道だった』・・・小説や映画でよく登場するフレーズです。人生の明暗を分ける分岐点に遭遇する可能性は、誰にだってあります。

たった一つの分岐点を機に、行く先が天国と地獄に分かれてしまったら。今日ご紹介するのは、対照的な人生を歩むことになる少女達を描いた青春小説、櫛木理宇さん「FEED」です。

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「クール・キャンデー」 若竹七海

「イヤミス」というジャンルが流行り始めて、もうずいぶん経ちます。文字通り、「読むと嫌な気分になるミステリー」の略で、最初にこの用語を使ったのは批評家の霜月蒼氏とのこと。代表的な作家としては、湊かなえ、真梨幸子、沼田まほかるなどが挙げられます。

かくいう私自身、イヤミスが大好きで、有名作品は一通り読んでいると思います。そこで今日は、個人的に「イヤミスの女王」と思っている作家、若竹七海さん「クール・キャンデー」を紹介します。

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「女友達」 新津きよみ

友達って大切です。それを否定する人は滅多にいないでしょう。私自身、これまで何度となく友達に助けられてきました。

でも、悲しいかな、友情とは必ずしも純粋な好意で成り立つとは限らないもの。見栄や優越感、対抗意識から成り立つ友情もまた存在します。女同士の友情の恐ろしさを描いた作品と言えばこれ、数多くのドラマ・映画の原作者としても名高い新津きよみさん「女友達」です。

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「凶宅」 三津田信三

八月も半ばに差し掛かろうとしていますが、まだまだ夏真っ盛り。連日暑い日が続いています。こう暑いと、プールや海水浴、アイスクリームなどで体を冷やしたいですね。

こういう暑い時こそ、ゾクリとする怪談話が欲しくなるもの。日本を代表するホラー・ミステリ作家として海外でも人気の三津田信三さん「凶宅」を紹介します。

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「欲しい」 永井するみ

「欲しい物はありますか?」と聞かれて、皆さんは何と答えるでしょうか。お洒落な服?新しい車?素敵な恋人?私は美味しい特大スイーツと答えるかもしれません(笑)

欲しい物を求める気持ちは、人間なら誰でも持つもの。今日は、人間の尽きぬ欲望を描いた名作、永井するみさん「欲しい」を紹介します。

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