瀬尾まいこ

はいくる

「僕の明日を照らして」 瀬尾まいこ

テレビや新聞のニュースを見ていると、数日と置かずして家庭内暴力に関する事件が目に付きます。言葉の使用法としては、配偶者への暴力を<ドメスティックバイオレンス>、子どもへの暴力を<児童虐待>と使い分けるんだとか。もちろん、暴力は誰に対してだろうと悪いことなのですが、腕力のない女性や子どもが犠牲になると、「許せない」という気持ちが一層強まります。

しかし、虐待がどんなに酷いものであったとしても、日本が法治国家である以上、「虐待犯は全員海に沈めました。めでたしめでたし」というわけにはいきません。加害者はなぜ虐待に走ってしまったのか。暴力がまかり通った背景は何なのか。そこをしっかり解明し、再発防止に努めないと、第二、第三の犠牲者が出る可能性すらあります。今回ご紹介するのは、瀬尾まいこさん『僕の明日を照らして』。家族間で行われる暴力について、改めて考えさせられました。

 

こんな人におすすめ

児童虐待にまつわる小説に興味がある人

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はいくる

「傑作はまだ」 瀬尾まいこ

「こんなことがもし自分の身の上に起こったら・・・」小説やドラマ、映画を見ていて、そんな風に空想することは誰でもあると思います。暗い作品の時もあるでしょうが、どちらかというと、楽しく明るい作品の方が空想も盛り上がりますよね。かくいう私も、そういう脳内シミュレーションは大好物。その時々でお気に入りのシチュエーションがあるのですが、一時期は<ある日突然、これまで離れ離れだった身内と出会う>という設定にハマっていました。

この設定だと、古くはエーリッヒ・ケストナーの『ふたりのロッテ』がありますし、朝ドラ『だんだん』もそうでした。最近では、坂木司さんの『ホリデーシリーズ』も有名です。今回取り上げるのは、瀬尾まいこさん『傑作はまだ』。家族の、そして人の繋がりについて考えさせられました。

 

こんな人におすすめ

心温まる家族小説が読みたい人

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はいくる

「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ

「世界平和のためには、家に帰って家族を大切にしてあげてください」と言ったのはマザー・テレサ、「人生最大の幸福は家族の和楽」と言ったのは細菌学者の野口英世、「楽しい笑いは家の中の太陽である」と言ったのはイギリスの作家サッカレーです。どれもまったくその通りで、どんな家族の中で育ったかは、その後の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。愛に満ちた家族ならばこれほど幸せなことはないですし、殺伐として冷え切った家族なら人生はさぞ辛く寂しいものでしょう。

家族をテーマにした小説はたくさんありすぎて挙げるのに迷うほどですが、ユーモア小説なら奥田英朗さんの『家日和』や伊坂幸太郎さんの『オー!ファーザー』、虐待が絡むものは下田治美さんの『愛を乞うひと』や青木和雄さんの『ハッピーバースデー~命かがやく瞬間~』、ミステリー要素を求めるなら辻村深月さんの『朝が来る』などが有名です。どの作品にも読み手の胸に残る家族が登場しますが、最近読んだ小説に出てくる家族はとても魅力的でした。瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』です。

 

こんな人におすすめ

家族にまつわる温かな小説が読みたい人

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