新津きよみ

はいくる

「婚約者」 新津きよみ

調査によると、初恋の平均年齢は男性が十一歳で女性が九歳、初めて恋人ができたのは男女共に十六歳が平均だそうです。初めて人に恋愛感情を抱き、その人のことを思って一喜一憂したり、デートの約束に浮かれたりする・・・そんな初々しい恋心は、本人達だけでなく、見ている周囲の人間をも温かな気持ちにさせてくれるものです。

ですが、イヤミスやホラーの世界となると話は別。若く未熟であるがゆえの幼稚さ、周囲の事情が見えない軽率さが強調され、とんでもない悲劇が引き起こされることも少なくありません。そんな狂気とも言える恋心を描かせたら、この作家さんは本当に上手いですね。今回は、新津きよみさん『婚約者』をご紹介したいと思います。

 

こんな人におすすめ

女性の狂気を描いたホラーサスペンスが読みたい人

続きを読む

はいくる

「招待客」 新津きよみ

催し物に誰を呼ぶか。それは主催者にとって大事な問題です。一家庭内で行われる子どもの誕生パーティーですら、招待客の選別などでいじめが生じるという危惧から、実施を禁止する学校もあるんだとか。まして、百名単位の人間が集まるイベントとなると、招待客を考えるのも一苦労。結婚式なんて、その最たる例でしょう。

一生に一度の晴れの舞台だからこそ、心から感謝している人、心から結婚を祝福してほしい人を招きたい。誰もがそう思うでしょうが、事はそう簡単にはいきません。浮世の義理というものがあるし、何より、相手が本当に善人で結婚を祝ってくれるという保証もないからです。もしかして、招こうとしている相手は腹の内でまるで違うことを考えているかも・・・そんな恐怖を描いた作品がこちら。新津きよみさん『招待客』です。

 

こんな人におすすめ

女性目線のサイコホラーが読みたい人

続きを読む

はいくる

「二年半待て」 新津きよみ

ここ数年、「○活」という言葉を聞く機会が急激に増えました。就職活動を略した「就活」はずいぶん昔から使われていましたし、二〇一二年には、人生の最期を自分の望むように準備する「終活」がユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれています。人生のターニングポイントに関するものばかりではなく、朝に勉強や運動を行う「朝活」、体を温めて健康を増進する「温活」などもあります。

留まるところを知らず、あらゆる分野に広がっていく「〇活」。当然、小説のテーマになることも多いですね。そんな様々な「〇活」を取り上げた作品といえばこれ。新津きよみさん『二年半待て』です。

続きを読む

はいくる

「女友達」 新津きよみ

友達って大切です。それを否定する人は滅多にいないでしょう。私自身、これまで何度となく友達に助けられてきました。

でも、悲しいかな、友情とは必ずしも純粋な好意で成り立つとは限らないもの。見栄や優越感、対抗意識から成り立つ友情もまた存在します。女同士の友情の恐ろしさを描いた作品と言えばこれ、数多くのドラマ・映画の原作者としても名高い新津きよみさん「女友達」です。

続きを読む