シリーズ物の作品には、しばしば<大きな変化がなく、決まった流れを繰り返す>というパターンが存在します。よく<サザエさん時空>と呼ばれる、日常系の作品に多いパターンですね。現実には往々にして悲劇的な変化が多い分、物語には不変・不動が求められるのかもしれません。
とはいえ、いくら変わらぬ世界を描いた物語でも、シリーズが進むにつれ多少は変化が出るものです。このケースで一番多いのは<新キャラが登場した>ではないでしょうか。それこそ『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』といった有名作品も、一昔前と比べればずいぶんキャラクターが増えました。さすがにこれほどの長寿作品ではありませんが、このシリーズにも新キャラクターが登場し、今後の期待が増すばかりです。石持浅海さんの『殺し屋、続けてます。』です。
こんな人におすすめ
・殺し屋が登場する小説に興味がある人
・日常の謎をテーマにしたミステリーが好きな人
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フィクションの世界には、<創作だからこそ楽しめる>という要素がいくつもあります。一番分かりやすいのは、犯罪に関するものでしょう。殺人、放火、誘拐、強盗等、現実に起これば許し難いものでも、小説や映画なら物語を盛り上げる重要なポイントとなり得ます。
そんな犯罪に関わる職業の筆頭格、それは<殺し屋>です。非合法な手段で犯罪と関わりまくれるという使い勝手の良さ(?)から、フィクション界で殺し屋はいつも大活躍!もはや古典の貫禄さえある『仕掛け人・藤枝梅安』や『ゴルゴ13』、もっと近年のものだと伊坂幸太郎さんの『グラスホッパー』、逢坂剛さんの『百舌シリーズ』等々、殺し屋が登場する作品は数えきれないほどあります。最近読んだ作品でも、腕のいい殺し屋が意外な形で有能ぶりを発揮していました。今回は、石持浅海さんの『殺し屋、やってます。』を取り上げようと思います。
こんな人におすすめ
・殺し屋が登場する小説に興味がある人
・日常の謎をテーマにしたミステリーが好きな人
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「大嫌いなあいつをぶん殴ってやりたい」「あそこにある金を奪えたら、どんなに楽になるだろう」。そんな不埒な考えが一瞬頭をよぎることは、決して珍しいことではありません。私は昔、ハードなダイエットのせいで精神的にめげていた時、ケーキ売り場を見るたび「この場で商品を片っ端から鷲掴みにして食べられたら、楽しいだろうなぁ」と思ったものです。
多くの人間は、罪を犯す考えが脳裏に浮かんでも、実行せず空想に留めておきます。その理由は様々だと思いますが、突き詰めると、「バレたら大変なことになるから」ではないでしょうか。逮捕されれば犯罪者となり、刑を科され、場合によっては仕事や家庭を失うこともあり得る。自分ばかりか、身内までもが<加害者家族>として世間から後ろ指を指される。大抵の場合、犯罪に走ったってデメリットの方が大きいのです。この本を読んで、改めてそう思いました。石持浅海さんの『あなたには、殺せません』です。
こんな人におすすめ
皮肉の効いた倒術ミステリー短編集が読みたい人
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「オカルト」と「科学」、この二つは相反するものと考えられがちです。実際、その手の検証番組などでは、超自然学者と科学者が喧々諤々の討論を繰り広げていたりしますよね。漫画やドラマなどでも、上記の二者は犬猿の仲として描写されることが多い気がします。
ですが、この世にオカルトなど絶対存在しないという証明は今のところできていません。それならば、「幽霊」「呪い」といった超常現象も「人類」「進化論」などと同じように科学的に証明できる可能性だってあるわけです。一見、摩訶不思議な超常現象に論理的な解釈ができるとしたら・・・そんな面白い作品を読みました。石持浅海さんの『二歩前を歩く』です。
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実は私、若干閉所恐怖症の気があります。幼稚園の頃、エレベーターに閉じ込められた(実際は私がボタンを押していなかっただけ)経験があるからでしょうか。今でも、閉鎖的な空間はどうも苦手です。
様々な人間模様が生まれやすいせいか、閉ざされた状況を扱った小説は多いです。有名なのはアガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』に代表されるクローズド・サークルものでしょうか。しかし、「閉鎖空間」とは、何も物理的に移動できないことばかりではありません。移動そのものは可能でも、様々な原因により今の状況から脱することができない・・・そんなシチュエーションもあると思います。今回取り上げるのは、様々な「逃げられない」状況を扱った短編集、現役サラリーマンでもある石持浅海さんの『三階に止まる』です。
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