<グロテスク>というのは、元々は異様な人間や動植物に曲線模様をあしらった美術様式を指すのだそうです。語源はイタリア語の<洞窟>で、暴君として名高いローマ皇帝ネロが造った宮殿群を意味するとのこと。これが転じ、<不気味>とか<異様>とかいう意味で使われるようになりました。
現代、小説の世界で<グロテスク>という言葉が使われる場合、生理的嫌悪感を抱かせる、残酷かつ奇怪な作風であることが多いです。血が噴き出し内臓飛び出るスプラッターな内容になることもしばしばなので、けっこう人を選ぶジャンルですよね。かくいう私も得意な方ではありませんが、物語として面白いなら話は別。そして、国内グロ小説としては、これがトップクラスの完成度ではないでしょうか。綾辻行人さんの『殺人鬼-――覚醒篇』です。
こんな人におすすめ
・叙述トリックが仕掛けられたホラーミステリー小説が好きな人
・残酷描写に抵抗がない人
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一昔前まで「話を順番通りに追うのが面倒」という理由で、作中で時間が進んでいく形式のシリーズ作品はあまり読まなかった私ですが、一作独立型のシリーズは結構読んでいました。作中の出来事や人間関係が基本的に一作ごとに完結しているため、どの作品から読んでも大丈夫なところが気楽だったんです。私は図書館を利用することが多いため、シリーズ作品をきっちり刊行順通りに借りていくのは難しいせいもあるかもしれません。
何より、どこから読んでも置いてけぼりを食らうことなく楽しめるのが独立型シリーズ作品の魅力。そして、こういう形式のシリーズ作品の場合、読者によって一作ごとの好みがよりはっきり分かれる傾向にある気がします。例えば私の場合、赤川次郎さんの『三姉妹探偵団シリーズ』なら四作目『怪奇編』が、田中芳樹さんの『薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ』なら三作目『巴里・妖都変』が好きだったりします。今回ご紹介するのは、綾辻行人さん『囁きシリーズ』の三作目『黄昏の囁き』。シリーズ中、これが一番お気に入りです。
こんな人におすすめ
記憶をテーマにしたサスペンスホラーに興味がある人
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ミステリーでおなじみのシチュエーションを挙げよと言われたら、一体どんな答えが出て来るでしょうか。私なら、<恐ろしい伝説が伝わる屋敷><とても日本とは思えないような洋館><迷路のように広い古城>辺りを思い浮かべます。俗に<館もの>と呼ばれるミステリーによく登場するシチュエーションですね。
脱出困難な館に集められ、次第に疑心暗鬼に囚われて行く登場人物たち・・・アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を筆頭に、今邑彩さん『金雀枝荘の殺人』、近藤史恵さん『演じられた白い夜』、東野圭吾さん『仮面山荘殺人事件』など、多くのミステリー小説でこの設定が使われてきました。そして、国内の<館もの>を語る上で忘れちゃいけないのが綾辻行人さんの『館シリーズ』。新本格ブームの火付け役となったシリーズで、一九八七年に第一作『十角館の殺人』が刊行されて以降、今なお根強く支持され続けています。この『十角館の殺人』は超有名作品なので、今回はシリーズの中でも毛色の違う作品を紹介したいと思います。講談社ミステリーランドの一冊、『びっくり館の殺人』です。
こんな人におすすめ
子ども目線のホラーミステリーが読みたい人
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ミステリーにおけるトリックの一つに、<叙述トリック>というものがあります。一部の情報をわざと曖昧に記述し、読者に思い込みや先入観を抱かせてミスリードを誘うトリックのことです。男性かと思われた人物が実は女性だったり、同じ時代を生きる登場人物たちの物語と見せかけて、実は片方は数十年前の人物だったりと、色々な仕掛け方がありますね。
このテーマを得意とする作家さんといえば、折原一さん、歌野晶午さん、乾くるみさんなどが有名です。そしてもう一人、忘れちゃいけないのが大御所中の大御所が綾辻行人さん。社会派ミステリーが人気を集めていた時代に<新本格>という新たなジャンルを生み出した偉大な方です。綾辻さんといえば『館シリーズ』が有名ですので、今回はちょっと趣向を変えて『緋色の囁き』を取り上げたいと思います。
こんな人におすすめ
・叙述トリックが仕掛けられたミステリーが読みたい人
・少女の残酷さを描いた作品が好きな人
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