柚月裕子

はいくる

「合理的にあり得ない 上水流涼子の解明」 柚月裕子

私が面白いと思う作品には、名コンビが登場することが多いです。ホームズの横にはワトソン、ポアロの横にはヘイスティングズ。異なる長所を持つ二人が助け合い、自分の持ち味を活かして物事に臨む様子は、読んでいてわくわくさせられます。

最近は、パートナーが動物や悪魔など人外の存在だったり、主人公と仲が悪かったりするなど、ユニークなコンビが登場する作品もありますね。では、この作品に出てくる二人はどうでしょうか。柚月裕子さん『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』です。

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「慈雨」 柚月裕子

「お遍路」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。弘法大師の足跡を辿って四国八十八カ所を巡ることで、功徳を積むために行われます。一昔前は徒歩で巡るしか移動手段がありませんでしたが、今は車やバスツアーでの移動もあるようですね。

お遍路に関する小説は色々ありますが、私が真っ先に思い浮かべるのは松本清張の『砂の器』。故郷を追われた親子が遍路する姿が印象的でした。この場面の印象があまりに強いからか、私はお遍路という言葉を聞くと、暗く悲しいものを連想してしまいます。ですが、最近読んだ小説の影響で、少し印象が変わってきました。柚月裕子さん『慈雨』です。

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「あしたの君へ」 柚月裕子

法曹界を舞台にした作品って面白いですよね。有名なところでは横山秀夫の「半落ち」、海外ならジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」やジョン・グリシャムの「評決のとき」、ゲームですが「逆転裁判」シリーズなどがそれに当たります。複雑な司法問題と、絡み合う人間模様に、手に汗握らずにはいられません。

そして、法廷での攻防戦を描いた作品以外にも、面白いものはたくさんあります。今日取り上げるのは、「家庭裁判所調査官」という職業を扱った作品です。「このミステリーがすごい!」大賞受賞者である、柚月裕子さん「あしたの君へ」です。

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