小学校高学年から中学生にかけて、海外の児童小説にハマった時期があります。友達とのパジャマパーティー、珍しいアイスやケーキ、信じられないくらい長い夏休み、ボーイフレンドと出かけるダンスパーティー・・・外国ではこんなお洒落な生活が送れるのかと、うっとりしながら読みふけったものです。
もっとも、きらきらしているだけに見えたのは私の読み方が浅かったからで、しっかり内容を考えれば、そうそう甘いことばかり書いていたわけじゃなかったと分かります。イリーナ・コルシュノフの『ゼバスチアンからの電話』では世代を超えたジェンダー問題を、ウィロ・デイビス・ロバーツの『ねじれた夏』では田舎の入り組んだ人間関係を、キット・ピアソンの『丘の家、夢の家族』ではネグレクトに苦しむ子どもの戦いを、とても丁寧に描いていました。今回取り上げる小説も、改めて内容について考えてみた時、その深さと重さに驚いた記憶があります。ハイラ・コールマンの『ママにグッバイ』です。
こんな人におすすめ
毒親問題に関心がある人
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皆さんは公共交通機関で移動中、何をして時間を潰しますか?スマホで動画鑑賞やゲームをする人、クロスワードパズルをする人、睡眠不足解消のため眠る人・・・過ごし方は人それぞれです。私の場合、ほぼ迷わず読書一択。昔、新幹線での出張が多い仕事をしていた時は、どの本を持って行くかを考えるのが最優先の検討事案でした(笑)
とはいえ、休日に自宅でゆっくり読むのと違い、交通機関内での読書は時間の制限があります。周囲の雑音等もありますし、集中力が続かないことだってあるかもしれません。そうなると、読破するのに時間がかかり、何十ページも前の伏線を覚えておく必要がある長編小説は読みにくいもの。そんな時には、一話一話の区切りがつけやすい短編集、特にショートショートがお勧めです。この作品は、移動中にぱぱっと読むのにぴったりですよ。アイザック・アシモフ他編『ミニ・ミステリ100』です。
こんな人におすすめ
ブラックな味わいのショートショートが読みたい人
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海外の創作物が日本でヒットする要因は何でしょうか。内容が肝心なのは言うまでもありませんが、翻訳の出来も、かなり重要な位置を占めます。学生時代、授業でやった英語一つ取っても、訳する人間が違えばニュアンスが大きく変わるもの。まして、商業的な作品、それも映像で物語を説明できない小説となると、翻訳のレベルが成功の鍵と言っても過言ではありません。
日本における翻訳者といえば、『ハリー・ポッターシリーズ』の松岡佑子さんのエピソードが有名です。日本語の一人称の多さや訛りを利用した訳し方は、老若男女問わず多くの読者を楽しませてくれました。もちろん、日本では他にも優れた翻訳者がたくさん活躍されていますよ。そんな翻訳の妙を堪能できる作品がこれ、ジェフリー・ディーヴァーの『ポーカー・レッスン』です。
こんな人におすすめ
どんでん返しの短編ミステリーを堪能したい人
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メリークリスマス!今年もクリスマスがやって来ました。この時期は街のあちこちにクリスマスツリーやリースが飾られ、クリスマスソングが流れます。キリスト教徒でなくても、なんとなくウキウキする人が多いのではないでしょうか。
そんな雰囲気のせいか、クリスマスをテーマにした小説は、心温まるヒューマンストーリーが多いです。チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』はもちろん、有川浩さんの『キャロリング』や伊坂幸太郎さんの『クリスマスを探偵と』、百田尚樹さんの『聖夜の贈り物』など、どれも希望と未来のある名作でした。たぶん、こういうヒューマンストーリーを取り上げるサイトは山ほどあると思うので、ここではあえてブラックな作品を取り上げたいと思います。ジェフリー・ディーヴァーの『クリスマス・プレゼント』です。
こんな人におすすめ
どんでん返しのあるミステリー短編集を読みたい人
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