私は九州人ということもあり、子どもの頃から方言が身近に存在していました。成長後、地元を離れた時、標準語だと思っていた言葉が実は方言だと知って驚いたり、話し言葉から同郷出身者が分かって何となく嬉しかったりと、方言にまつわる思い出も結構あります。そう言えば、メダカは理科教育が広がるまで<メダカ>という統一名がなく、方言による呼び名が日本全国に五百個近くあると知った時は衝撃だったなぁ。

作中に方言が出てくる小説もたくさんあります。ぱっと思いつくのは、坂東眞砂子さんの『狗神』と、瀬尾まいこさんの『戸村飯店青春100連発』。前者は陰惨な土着ホラー、後者は後味爽やかな青春小説ですが、どちらも方言がうまく使われていました。小説で方言が使われると、標準語より感情が表れやすい分、暗い作風はより陰気に、明るい作風はよりユーモラスになる気がします。先日読んだ小説でも、方言がいい仕事をしていましたよ。佐藤青南さん『ある少女にまつわる殺人の告白』です。

 

こんな人におすすめ

・児童虐待をテーマにした小説に関心がある人

・インタビュー形式の小説が好きな人

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