「学生時代の内、一番楽しかったのはいつ?」と聞かれたら、私は「高校時代」と答えます。中学時代はぎすぎすしていて大変なことの方が多かったし、大学時代は格段に自由が増えた分、密度は薄まったかな、というのが正直な感想。その点、高校時代はそれなりに濃密ではあったけど、中学校ほど息苦しくなく、振り返ってみると楽しい思い出の方が多いです。

中学生ほど子どもではないけれど、まだ大人には程遠い。高校時代を扱った小説は、そんな不安定さをテーマにしたものが多いです。ジャンルも幅広く、部活動を題材にしたものなら平田オリザさんの『幕が上がる』や誉田哲也さんの『武士道シックスティーン』、ミステリーなら今邑彩さんの『そして誰もいなくなる』や辻村深月さんの『名前探しの放課後』、ホラー寄りなら秋吉理香子さんの『暗黒女子』や恩田陸さんの『六番目の小夜子』などなど、映像化された作品も少なくありません。当ブログではミステリーやサスペンス系の作品を取り上げることが多いので、今回は少し趣向を変え、恋愛小説をご紹介したいと思います。山田詠美さん『放課後の音符(キイノート)』です。

 

こんな人におすすめ

女子高生の恋愛模様を読みたい人

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