作家名

はいくる

「ストロベリーライフ」 荻原浩

農業。日本人にとっては、昔からなじみ深いテーマです。美味しいお米や野菜、果物を作ってくれる農家は、まさに足を向けては寝られないような存在。反面、若者の都市部への流出や農業従事者の高齢化等により、深刻な後継者不足に陥っていることもまた事実です。

農業に勤しむ人々は、一体何を思って作物を作り続けているのか。心身共に負担のかかる重労働を経て、得られるものは何なのか。興味のある人は、この本を読んでみてはいかがでしょうか。荻原浩さんの直木賞受賞後初の長編小説、「ストロベリーライフ」です。

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「鏡よ、鏡」 飛鳥井千砂

仕事に恋に友情に、懸命に努力する人の姿は素敵です。私の場合、自分が女ということもあり、女性が頑張って働いたり、恋心に胸ときめかせたりする作品に無条件に惹かれてしまいます。実際、小説だけでなく映画でも漫画でもドラマでも、その手のテーマを扱ったものは数多くあります。

あまりにたくさんありすぎて取り上げる作品に悩むほどですが、まずはこれなんてどうでしょうか。個人的に、文章の柔らかさや繊細さでは国内トップクラスなのではないかと思っている作家さん、飛鳥井千砂さん「鏡よ、鏡」です。

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「絶望ノート」 歌野晶午

私は文章を書くのが好きということもあり、子どもの頃から日記を書いています。昔は日記帳に、今はパソコンを使って、一日の出来事を書き留めておきます。嫌なことや悲しいことがあっても、文字にしてしまうと、不思議とすっきりするんですよ。翌日マラソン大会がある日などは、「雨が降りますように」などと、神頼みしつつ書いたものです。

でも、そんな他愛ない願い事が、本当に叶ってしまったらどうでしょうか。しかもそれが、人を傷つけるような願い事だったら?というわけで、今日はご紹介するのはこれ、新本格第一世代の一人として名高い歌野晶午さん「絶望ノート」です。

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「ニュータウンは黄昏れて」 垣谷美雨

「お金より大事なものがある」「気持ちがあればお金なんて」・・・色々な局面でよく聞くフレーズです。なるほど、ごもっとも。この世の中、お金で解決できないことや手に入らないものは山ほどあります。

と同時に、お金で解決することが山ほどあることもまた事実。シビアなようですが、お金と生活は切っても切れない問題です。今日は、尽きることのない金銭問題を描いた小説をご紹介しましょう。垣谷美雨さん「ニュータウンは黄昏れて」です。

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「この女」 森絵都

「物書きの主人公が執筆依頼を受けたことを機に、物語が動き出す」。これ、フィクションの世界では結構よくあるシチュエーションです。文章を書くからには当然下調べや取材を行わねばならず、その過程で様々な物事に触れるわけですから、物語の取っ掛かりとして成立しやすいんでしょうね。

どちらかと言えばミステリーやホラーなどのジャンルに多いシチュエーションのような気がしますが、もちろん、その他の分野でも面白い作品はたくさんあります。というわけで、今日はこの作品をご紹介しましょう。大人向け小説だけでなく児童文学も数多く執筆し、二〇〇六年には直木賞を受賞した、森絵都さん「この女」です。

 

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「森に眠る魚」 角田光代

最初に受験をしたのは何歳の時ですか?私は私立中学を受験したので、十二歳の時です。残念ながら不合格だったものの、わざわざ家庭教師まで付けて応援してくれた両親には今でも感謝しています。

今や「お受験」という言葉はごく一般的なものとなり、早い子は幼稚園入園の段階から受験戦争に参戦します。そこで競われるのは、子どもの能力だけでなく親の熱意。今日は、お受験を機にもつれ、絡み合っていく人間模様を描いた作品をご紹介します。小説だけでなく、エッセイや翻訳など幅広い分野で活躍する、角田光代さん「森に眠る魚」です。

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「東京二十三区女」 長江俊和

東京二十三区。それは日本最大級の人口を擁する街であり、世界に名だたる大都市です。閑静な高級住宅街や日雇い労働者が住むドヤ街、若者に人気のプレイスポットなど、性別も年齢も違う人々が絶えず行き交っており、まさに日本の中心部の一つと言えるでしょう。

それだけの大都市であるからには、当然そこに至るまでの歴史があります。その歴史とは、華やかで生き生きしたものばかりとは限らないかも・・・今日ご紹介するのは、東京の闇の奥に眠る秘密を描いた作品です。ディレクターや脚本家、映画監督など様々な顔を持つ長江俊和さん「東京二十三区女」です。

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「女子的生活」 坂木司

「女子」という言葉を聞いて、どんなものが思い浮かびますか。お洒落、合コン、甘いお菓子・・・そんな可愛くて楽しいイメージが強いのではないでしょうか。実際、ドラマや雑誌に出てくる女の子の日常には、明るく華やかなものが溢れています。

とはいえ、実際に女子の生活が楽しいことだけかというと、そんなわけありません。幸せのため戦い、前進しなければならないのは、男も女も一緒です。今日は、そんな女子の暮らしを描いた作品をご紹介しましょう。性別すら未公表の覆面作家、坂木司さん「女子的生活」です。

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「猫には推理がよく似合う」 深木章子

皆さんは動物が好きですが?たくさんいる動物の中で、特にひいきの動物はいるでしょうか。私はずっとマンション暮らしだったため動物を飼った経験がなく、今は近所の猫カフェに通って癒されています。

フィクションの世界にも、人間以上に生き生きと活躍する動物がたくさんいます。児童文学なら「名犬ラッシー」、ノンフィクションなら「野生のエルザ」、最近の作品だと赤川次郎さんの「三毛猫ホームズ」シリーズなどが有名ですね。今日は、一匹の猫が中心となる小説をご紹介しましょう。深木章子さん「猫には推理がよく似合う」です。

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「行方」 春口裕子

ある日突然、大切は家族がいなくなったら・・・・・そんな想像をしたことはあるでしょうか。ついさっきまで当たり前のようにそこで笑っていた人が、跡形もなく消え失せる。しかもそれが、幼い我が子だったとしたら。一体どれほどの恐怖と絶望を感じるのでしょうか。

子どもの誘拐・失踪をテーマにした作品はたくさんあり、顛末も千差万別。ただ一つ共通しているのは、子どもを失った家族は例外なく生き地獄を味わうということです。今日は、そんな子どもの失踪を扱った小説をご紹介します。春口裕子さん「行方」です。

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