宮木あや子

はいくる

「花宵道中」 宮木あや子

一説によると、人類最古の職業は売春だそうです。実際にどうだったかは意見が分かれているようですが、相当に古い時代から存在した職業だということは事実の様子。人間の三大欲求である性欲に結び付いていること、体一つあれば就業可能なことがその理由なのかもしれません。

日本の場合、少なくとも万葉集の時代から売春が行われていたという記録が残っています。その時々で呼び方や就業形態は変わってきたようですが、現代では<女郎><遊女>という呼称がよく知られています。運と才覚に恵まれれば、花魁として上り詰めてお大尽すら袖にすることも、裕福な男に身請けされて贅沢三昧することも可能だった彼女達。と同時に、自由もなく借金漬けとなり、ひたすら体を酷使した挙句に働けなくなれば野垂れ死ぬしかなかった悲しい女性達です。今回は、そんな遊女たちの運命を描いた作品を取り上げたいと思います。宮木あや子さん『花宵道中』です。

 

こんな人におすすめ

遊女たちの切なく悲しい物語に興味がある人

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はいくる

「憧憬☆カトマンズ」 宮木あや子

明るくポップな雰囲気の小説と暗く重厚な雰囲気の小説、世間ではどちらの方が人気なのでしょうか。私はどちらも好きですが、その時の気分によって作風を選ぶことは当然あります。仕事で大失敗した時に道尾秀介さんの『向日葵の咲かない夏』は読みたくないし、ダイエットしたい時は山口恵以子さんの『食堂のおばちゃん』は避けますね。

そして、作家さんの中には、明るい小説と暗い小説の差が凄まじく、同一人物が書いたのかと疑いたくなるようなレベルの作品を書くがいらっしゃいます。作家なのだから当たり前、と言えばそれまでですが、やはりプロというのは凄いものなのだと感嘆せざるをえません。貫井徳郎さんの『慟哭』と『悪党たちは千里を走る』、重松清さんの『疾走』と『とんび』等々、その陰と陽の差に驚いたものです。そう言えばこの方も、明るい作品と暗い作品のギャップが大きいですよね。今回はそんな作家さん、宮木あや子さん『憧憬☆カトマンズ』を取り上げたいと思います。

 

こんな人におすすめ

気分すっきりなお仕事小説が読みたい人

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