皆さんは文集を作った経験があるでしょうか。私の場合、小学校と中学校で、最低でも年に一回は文集を作った記憶があります。私は作文を書くことが好きだったのでそれほど苦ではありませんでしたが、苦手な子にとっては苦行でしかなかった様子。そんな生徒達のモチベーションを上げ、文集の体裁を整えられるだけの作文を集め、冊子としてまとめなくてはならないのですから、先生達もさぞ大変だったろうなと思います。
ただ、今になって文集に載った自分の文章を読み直してみると、恥ずかしくて頭を抱えたくなることがままあります。文章が拙いのは仕方ないとして、妙に傲慢だったり、甘えが過ぎたり、世間知らずにも程があったり・・・子どもって怖いものなしだなと、ため息つきたくなることもしばしばです。自分の書いた文章のせいで、自分が恥ずかしい思いをするなら、ある意味、仕方ないかもしれません。でも、それが、他人に影響を及ぼすことだったらどうでしょうか。それはきっと、恥ずかしいでは済まされない、生涯の後悔となることでしょう。今回ご紹介する小説にも、ほろ苦い記憶が封じ込められた文集が登場します。青井夏海さんの『せせらぎの迷宮』です。
こんな人におすすめ
子どもの悪意にまつわるミステリーが読みたい人