物語には、お国柄というものが出ます。同じ設定でも、作者や舞台によって解釈・描写がまるで違うこともあり、比較するとなかなか面白いです。バーネット(国籍はアメリカだが、思春期までイギリスで育つ)の『小公女』が、リメイクされたアメリカ映画版だと<死んだはずの父親は、実は生還。意地悪な学長は、最後に仕事も立場も失い、煙突掃除人として働く>となるのは、いかにもアメリカらしくて笑ってしまいました。

当然、私が大好きなホラーの分野にも、国よる違いというものがあります。じっとりと陰気なジャパニーズホラーに、派手なアクションが繰り広げられるハリウッドホラー、アーティスティックな描写が多いフレンチホラーに、宗教や民間信仰の要素が絡む東南アジアホラーetcetc。それからお隣りの国・中国のホラーも、なかなかに独特のものがあるんですよ。今回ご紹介するのは、藤水名子さん『赤いランタン』です。

 

こんな人におすすめ

中国を舞台にしたホラー短編集に興味がある人

続きを読む