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「鍵のない夢を見る」 辻村深月

「犯罪」とは読んで字の如く「罪を犯すこと」です。テレビや新聞に目を向ければ、毎日のように新たな犯罪が起こっていることが分かります。それを見て大抵の人は不快感や恐れを感じ、同時にこう思うのではないでしょうか。「私には、犯罪なんて無関係だ」と。

ですが、犯罪とは決して遠い世界の出来事ではありません。ほんのちょっとしたきっかけで、自らが犯罪の加害者や被害者になることもありうるし、目撃者などの形で関わることもあるでしょう。今回紹介する本には、それぞれの形の犯罪と関わることになった五人の女性が登場します。辻村深月さんの直木三十五章受賞作『鍵のない夢を見る』です。

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「かがみの孤城」 辻村深月

何でも願い事を一つ叶えてあげる・・・物語によくあるシチュエーションです。もしそんな局面に直面した時、人は何を願うのでしょうか。私は想像力貧困ですので、いざそういう状況になったら、「家内安全、無病息災」くらいしか思いつかないかもしれません(笑)

しかし、世の中には、切実に叶えたい願いを持つ人もいます。どうにもならない現実に苦しみ、人ならざるものの力を借りてでもそれを打開したいと願う子どももいます。今日取り上げる小説には、そんな子どもたちが登場します。辻村深月さん『かがみの孤城』です。

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「盲目的な恋と友情」 辻村深月

「盲目的」という言葉を辞書で引くと、「愛情や情熱・衝動などによって、理性的な判断ができないさま」とあります。文字通り、目が見えなくなるほど強い感情。そんな感情に突き動かされて誰か・何かを思うのは、果たして幸せなことなのでしょうか。

フィクションの世界には、盲目的な愛情や友情、嫉妬心に憎悪などがしばしば登場します。良いものであれ悪いものであれ、五感を狂わせるくらい強烈な感情というのは、創作物のテーマにしやすいんでしょうね。今日は、あまりに強く恋と友情にのめり込んだ女性達の物語を紹介します。瑞々しく希望のある作風で有名な辻村深月さん。そんな彼女にしては珍しいイヤミス作品『盲目的な恋と友情』です。

 

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「娘と嫁と孫とわたし」 藤堂志津子

女性同士の人間関係は難しい。これ、色々なところでよく使われる言い回しです。女の立場から言わせてもらうと、男性同士の人間関係もけっこう難しいと思うんですが・・・とはいえ、同性ばかりが集まると、異性が混じっている時とは違う軋轢やしがらみが生じることは事実でしょう。

私はイヤミスが大好きなので、女性同士のドロドロを扱った作品はたくさん読みました。ですが、さすがに小説やドラマになるような争いなど、そうそう起こらないもの(と思いたい)。女性のリアルな駆け引きを描いた作品といえば、これなんてお勧めですよ。直木賞をはじめ数多くの文学賞を受賞し、エッセイストとしても有名な藤堂志津子さん『娘と嫁と孫とわたし』です。

 

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「クローバーナイト」 辻村深月

家庭の在り方は千差万別。共働き世帯もあれば、片方が働いて片方が専業主婦(夫)という家もあり、母子家庭や父子家庭だってあります。そして、家庭の数だけ喜びがあると同時に、悩みや悲しみも生まれます。

当ブログでも、家族にまつわる小説をいくつか紹介してきました。たくさんの作家さんに取り上げられるということは、それだけ「家庭」というテーマが興味深いものだからなのでしょう。最近、こんな家族に関する小説を読みました。辻村深月さん『クローバーナイト』です。

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